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いま「移動図書館」がアツい! 人口減少、デジタル化、過疎化…なのになぜ再評価? 単なる“本の配達屋”じゃない! 地域活性化の起爆剤を考える

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いま「移動図書館」がアツい! 人口減少、デジタル化、過疎化…なのになぜ再評価? 単なる“本の配達屋”じゃない! 地域活性化の起爆剤を考える

減少の背景

移動図書館は、車両やバスを活用して図書館サービスを提供することで、特に都市部や地方で図書館へのアクセスが難しい地域や、住民の移動手段が限られている場所に、図書館の蔵書やサービスを届ける重要な役割を果たしている。

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車内には書籍や雑誌、新聞などが積まれ、定期的に特定の地域に出向き、住民が本を借りたり返したりできるようにサービスを提供する。また、図書館職員が利用者と直接交流し、読書推進や情報提供を行うことも特徴だ。

このような移動図書館は、特に高齢者や子ども、交通が不便な地域に住む人々にとって、貴重な文化資源となり、情報アクセスの平等を促進する重要な役割を担ってきた。しかし、近年ではその数が減少している。日本図書館協会の統計によると、「自動車図書館」の数は1998(平成10)年をピークに減少しており、その背景には

・地域分館の整備
・経費削減
・自動車の排ガス規制

などが挙げられる。

とはいえ、その減少が需要の低下を意味するわけではない。むしろ、現代社会の変化に伴い、その役割や価値が再評価されつつある。また、地域のニーズに柔軟に対応できる点も大きな特徴だ。地元住民への書籍の貸し出しだけでなく、学校からのリクエストに応じて授業に関連する本を集め、配本するなど、きめ細やかなサービスを提供している。

本稿では、移動図書館が再評価される背景と、その新たな役割について詳しく解説する。

コロナ禍での活躍

我孫子市の移動図書館「そよかぜ号」の取り組みは、コロナ禍における子どもたちの読書環境改善に大きな成果を上げている。

市民図書館の統計によると、2020年度に7~12歳の利用者は4900人にとどまり、前年の1万人から大幅に減少している。この状況において、移動図書館は子どもたちに読書機会を提供する重要な役割を果たしている。

そよかぜ号では、市民図書館の蔵書に加え、新たに購入した6000冊を用意しており、絵本や調査学習用の本など多様なジャンルを取り揃えて、子どもたちの興味に応えている。さらに、学校図書室の不足を補うだけでなく、知的好奇心を刺激し、学習意欲の向上にも寄与している。

その活動は、単に本を貸し出すにとどまらず、読書を通じて学びや新たな発見の喜びを提供している。コロナ禍における移動図書館の取り組みは、子どもたちの読書環境を支え、健全な心身の発達を促す重要な役割を担っている。

国内外問わない重要性

移動図書館の重要性が増している背景を、具体的な事例を交えて紹介する。

例えば、大分県中津市の愛宕自動車工業が開発した「青空図書館」は、災害時にも活用できる新しい移動図書館車である。この車両は、ソーラーパネルと9.6Kwhの大容量蓄電池を搭載し、約2,000冊の書籍を収納できる。非常時には電源供給や物資運搬にも対応でき、地域の防災拠点としての機能も果たしている。

移動図書館は、災害時に単に図書サービスを提供するだけではない。被災者の

・コミュニティ形成
・心のケア

にも重要な役割を担っている。2011年の東日本大震災では、日産自動車がシャンティ国際ボランティア会(SVA)と協力し、「いわてを走る移動図書館プロジェクト」に移動図書館車のベース車両を寄贈した。これにより、仮設住宅での暮らしを豊かにし、地域交流の場としても利用された。

また、移動図書館は国内だけでなく、海外でも注目を集めている。特に発展途上国では、教育支援の手段として重要な役割を果たしている。カンボジアでは、僻地の小学校への補習支援の一環として移動図書館が活用されており、保護者向けにも子どもの教育や読書習慣の重要性を啓発する活動が行われている。これには、校長による説明や読み聞かせ、自由読書、折り紙、歌などが含まれている。

海外での移動図書館活動は、単に本を提供するだけでなく、地域のコミュニティ形成や教育支援にも大きな影響を与えている。特に教育資源が限られた地域では、移動図書館が貴重な学習機会を提供し、子どもたちの成長を支える重要な存在となっている。

高齢者・子育て世代の交流拠点

移動図書館は、地域活性化イベントへの参加など、新しい形での活用が進んでおり、注目を集めている。従来の定期巡回に加え、地域の祭りや文化イベントに出張し、その場で図書館サービスを提供する取り組みが増加している。このような活動により、普段図書館を利用しない層にもアプローチでき、読書の楽しさを広げる機会を提供している。

さらに、移動図書館は地域の高齢者や子育て世代にとって、重要な交流の場となっている。例えば、大阪府堺市の図書館が2017年に実施した利用者アンケートによると、移動図書館の利用者の約70%が60歳以上であり、「本を借りる」だけでなく、他にも

「おしゃべりを楽しむ」
「知り合いに会える」

などの回答が多く見られた。これにより、移動図書館が単なる本の貸し出し場所にとどまらず、地域コミュニティの中心的な役割を果たしていることが示されている。

移動図書館はその機動性と柔軟性を活かし、現代社会の多様なニーズに応える可能性を持っている。利用者が減少しているとはいえ、その価値は失われておらず、社会の変化に応じて進化を続ける移動図書館の今後に期待が寄せられている。

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みんなのコメント

1件
  • ******K
    新聞を取っている、モニター画面だけとなると体がおかしくなるから。頭では解っていても一切の操作が出来なくなる。だから、一日に何度かは紙の媒体が必要になる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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