小玉さんが手がける事業はWebサイト構築から商品ブランディング、アプリ開発に至る。東京・南青山にメインオフィスを構えている。
小玉さんが代表を務めるium(イウム)は、アルミニウムやカリウムなどの元素名に由来する。化学反応で陽イオンを生み出す金属元素のように、出来事を再構築して世の中をよりよくと願う。
フロントフェイスのデザインや足回りを大幅に改良したスバルのクロスオーバーSUV「フォレスター」
因数分解するように課題と向き合うこと
デザインの力を通じて企業やサービスの価値を高める。小玉さんの肩書のひとつであるUI/UXデザイナーの仕事をざっくりと要約するとこうなのだが、実際はデジタルか紙媒体かでもアプローチが全く異なるのはもちろん、単なるデザインの刷新ではなく、根本的なブランディングの再構築をクライアントから要求されるなど、その内容は実に幅広い。
さらに、これまで携わった案件のテーマはファッションからショコラティエ、生花などと深い専門知識が問われるものばかり。いかにして数多の要求を解決し、案件を成功へと導いてきたのか?
「クライアントはどう悩んでいるのか? 建前ではそう言っていても本当は違うのでは? まずはしっかり話し合う。あたかもお医者さんですね。当たり前のことですが嘘をつかない、真摯に課題に取り組むことを大切にしています。私のバックグラウンドが理数系なので、因数分解するようなイメージで課題と向き合って再構築する。そして再構築したものを答えにするのではなく、その先の+αまでつながるようなデザインに落とし込むことを常に心がけています」
このご時世これまで実店舗でのみ発売していたものをオンラインでも展開したいという案件が小玉さんのもとには数多く舞い込んでくる。得意のオンラインストアを手早く構築して完了かと思いきや、クライアントと会話を重ねるうちに課題が見つかることも多々あるという。定評ある店頭コミュニケーションをオンラインの世界でどう生かすか、ブランドの世界観を新規の顧客にどう伝えるか、といったことまで解決しなければならないがひたすらこれに向き合う。
「携わったブランドが長く愛されるようになってほしいですし、私も長く愛したいですね。ありがたいことに、たくさんお声がけいただいています。課題はあれこれありますが楽しくやっています」
試乗した瞬間のときめき。運転している間の一体感
かつては、毎月のように海外に足を運んでいた小玉さん。旅行の合間に仕事をするスタイルが定着してきた矢先のコロナ禍はライフスタイルを見直すきっかけとなった。逆風をポジティブに変換する発想も新たに芽生えたという。
「今の時代にどう変化していくか? 自分の生き方と重なる部分があると思っています。結局、コロナ禍ではなくても変化というのは常に起こっていて、それが何となく起こるちょっとした変化で、小さな積み重ねによるものだとしたら、誰も深くは意識しませんよね。でも明らかに大きい変化には、みんなに考える力が求められます。変わらなきゃいけないよねという力をポジティブに追い風に変えて、仕事をしていくべきだと感じました」
海外と国内、仕事とプライベート。これまでパッと分かれていた境界線がみるみる溶けていって、日常の中に非日常を見つけることができるようになっていった。おうち時間を快適に過ごそうと家具にハマり、家にいながら毎日ウキウキする。すると今度は、部屋に差し込む日差しの変化にも心が留まるようになり、日常の様々な変化にも向き合えるようになったという。そんな考え方の変化は、もちろん仕事にもいい意味で影響を与え、時代の不運ばかり嘆くことはなくなった。
さらにもうひとつ、小玉さんの日常に大きな変化が訪れたのが1年ほど前に手に入れたドイツ製のSUV。そもそも自動車を買う予定はなかったというが、友人が発した「雪山行きたいね」の一言に思うところがあり、まずはあれこれ試乗した。だが、これといった琴線に触れるクルマに出会えず、これで最後にしようと思って試した1台がズバッと刺さったという。
「試乗した瞬間にときめいて、運転している間の一体感がすごかったんです。初めて乗る大きなクルマで怖かったのですが、次第に怖さより楽しさのほうが増していきました。周囲の人からは心配されましたが、これなら相棒として乗っていけそうだと確信しました」
タフな相棒を手に入れてからは、端を発した登山はもちろん自宅から仕事場へ向かう道すがらにも日常のエッセンスを感じ取れるようになったという。電車の旅ならチケットに印刷された時刻どおりに事が運ぶが、クルマ旅では渋滞に巻き込まれることも日常。そんな時は下道に下りて温泉に立ち寄って帰ろうという行動力も身についたという。変化の時代だからこそ、予定外のことが起きてもカバーできる。心がときめくカーライフにはそんな不思議な力もあるらしい。
ライフスタイル4番目のポジション
ドイツブランドのクルマしかり、お気に入りのひとつというのがカメラだ。小玉さんは、機能美と骨組みがいい具合におもしろい関係性にあるものに心がときめくという。例えば、1枚の白紙があって何も書かれていなければそこに魅力を感じることはないが、仮に線が1本でも引かれていれば意味を感じて白紙と線の関係性にときめいて、その意味や機能に惹かれるそうだ。そんな小玉さんにオペルはどのように映っているのか。
「オペルを知った時、最新のテクノロジーと安全性、そして最先端でありながら柔らかな丸みを帯びたボディーの中にある、何か骨のようなものを感じました。骨に沿うような丸みのあるラインが印象的でした。ソフトとハードの融合とでも言うのでしょうか。感覚的な部分とロジックがうまく混ぜ合わさっているなと。デザイナーという職業もロジックだけで戦える世界ではないので、とても親近感が湧いてきました」
クルマとの距離がグンと縮まった小玉さんは最近、ひとりドライブを満喫しているという。そんな折に感じるのは、家でも職場でもない、行きつけのカフェがサードプレースと呼ばれたように、自身のライフスタイルの中で4番目のポジションが築けたこと。
「今は運転することが大好きです。運転というか、楽しく操縦できる最後のチャンスかなと思ってエンジン車を選びましたけど、最近はEVも気になりますね」
嘘をつかないこと。真摯に課題に取り組むこと。
細心の注意を払うクライアントワークだからこそ、どんな案件にも基本に立ち返って、真摯に課題に取り組むのが信条。
いつか手に入れたいと願っていた『Leica M10』に、フォクトレンダーの35mmレンズを装着。無骨なデザインが好み。
PROFILE
東京工業大学工学部社会工学科卒業。フリーランス、大手広告代理店での活動を経て、2017年8月にデザインスタジオium inc.を設立。アートディレクションやUI/UXのコンサルティングを担い、ユーザー体験を起点とした設計と作り込みを得意とする。
取材・文/堀田成敏 撮影/福永仲秋
160年の歴史を持つオペルのすべてがわかるブランドMOOK「&OPEL 未来を創るクルマ。」発売中
1862年の誕生以来、不断の進化によっていつの時代も時代も最先端のポップカルチャーであり続けたOPEL。そのブランドDNAとその魅力を、チーフデザイナーへのインタビューや歴史的名車の検証などをもとに解き明かすムック本「&OPEL」が発売されました。
ドイツの自動車メーカーOPELは、160年の歴史を持つ老舗ブランドです。日本との縁も深く、戦前から輸入され、2006年までは日本国内でも販売されていたので、ご存じ方はもちろん、実際に乗った/所有したことがある方も多いのではないでしょうか。
そして今、OPELが再び、日本に上陸するといわれています。今度、日本にやって来るOPELは、私たちがしばらく見ないうちに、すばらしくモダンで、ポップな佇まいに変身していました。ドイツ車としての信頼感と堅実さはそのままに、ガジェット感あふれるデザインやカラーリングからは、「どんな人生を愉しみたい?」と、クルマが語りかけてくるようです。そんな、ニュー・ジャーマン・カーで実現するライフスタイルのテーマは「リラックス」。
本書では、暮らしをアップデートするモダンジャーマンなクルマづくりの魅力を、160年の歴史とともに余すところなく、紹介します。
160年の歴史を持つオペルのすべてがわかるブランド大図鑑
『&OPEL(アンドオペル) 未来を創るクルマ。』
定価1650円(税込)A4変形判/132ページ
小学館刊
https://www.shogakukan.co.jp/books/09104254
■本書のコンテンツ紹介
PART 1 OPELが提案するRELAX LIFE
●人気モデル「CORSA」「MOKKA」「GRANDLAND」徹底解剖!
PART 2 Pop&Future! OPELの秘密
チーフデザイナー・Mark Adams インタビューファッションデザイナー・Marcel Ostertag インタビュー「ASTRA」「MANTA」「COMBO LIFE」最新モデルの魅力OPELと相性抜群のライフスタイル名品セレクションPART3 Just like an OPEL
注目のクリエイターが語るNEW OPELの魅力アンバサダーを務めるリバプールFC監督・ユルゲン・クロップ氏とOPELPART 4 ドイツから特報!元気なOPEL
「MOKKA」「CORSA-e」「GRANDLAND」現地試乗レポート詳報オペルCEO Uwe Hochgeschurtz氏インタビューPART 5 Republish of Historic car impression
革新的な挑戦を続けてきた自動車ブランドOPELの歴史
老舗自動車専門誌の編集者が語るOPELの魅力OPEL in Motorsports「CORSA」「ASTRA/KADETT」「VECTRA」「OMEGA」「SPEEDSTER」「GT」「MANTA」「CALIBRA」「ZAFIRA」PART6 「&OPEL」 Square
FUN collectionOPEL FUN in JapanOPEL Engineering HistoryLogo transition of OPELOPELディーラーの斬新なCI【オンライン書店で購入する】
Amazonで購入する
www.amazon.co.jp/dp/4091042546
楽天ブックスで購入する
https://books.rakuten.co.jp/rb/16892406/?l-id=search-c-item-text-02
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みんなのコメント
最近のデザイナーはライカM10のダサいデザイン評価するのか、ガッカリ。
ライカのデザインはM4まで、が世界の常識