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【F1第17戦無線レビュー(1)】「早く順位を返して。何を調査してるんだ!」コース外からの追い抜きにアロンソが不満

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【F1第17戦無線レビュー(1)】「早く順位を返して。何を調査してるんだ!」コース外からの追い抜きにアロンソが不満

 2年ぶりの開催となったF1アメリカGP。決勝当日は例年以上に気温が上がり、バンピーな路面と相まって厳しいレースになることが予想された。アメリカGP前半を無線とともに振り返る。

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アロンソ、コース外から追い抜いたライコネンに対する判定について「一貫性がない」と批判/F1第17戦

 決勝当日は午後になると晴れ渡り、気温は30度近くまで上がった。南東の風も前日の予選時以上に強い。グリッドに着く前のレコノサンスラップを終えた角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)が、マシンの印象を担当エンジニアのマッティア・スピニに伝えた。

角田:FP2で予想した通り、ちょっとアンダーステアが強いね。追い風の影響もあると思う。ターン6が特にひどい。セクター3は大丈夫だ
スピニ:ターン11のブレーキングに注意しろ
角田:そうだね。ちょっと攻めすぎた

 セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)はレコノサンスラップ中から、ドリンクシステムにトラブルが出ていた

ヒュー・バード:ドリンクをテストしろ
ペレス:ドリンクの漏れが止まらない。バラクラバ(耐火マスク)を替えないと。びしょびしょだよ

 しかしトラブルは解消されず、ペレスは「僕のキャリアで一番ハードなレース」を戦うことになる。

 スタート直後、ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)とランス・ストロール(アストンマーティン)が接触、ラティフィはフロントウイングを壊してしまう。

ストロール:後ろからぶつけられた。ダメージをチェックしてくれ
ラティフィ:ハースにサンドイッチされた! ウイングにダメージだ

 その前方ではエステバン・オコン(アルピーヌ)もフロントウイングにダメージを負っていた。

ジョシュ・ペケット:フロントウイングにダメージがある。感じないか?
オコン:いや、感じないね。大丈夫だよ

 しかしオコンは結局3周目にピットイン、フロントウイングを交換、最後尾まで落ちてしまう。

 一方上位勢では、ルイス・ハミルトン(メルセデス)がスタートで首位を奪ったものの、3周目前後には早くもタイヤが垂れてきているようだった。

フェルスタッペン:彼のスライドがひどいぞ!

 1秒以内の差をキープするマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を、ハミルトンは振り切ることができない。 

ハミルトン:彼の方が速い
ピーター・ボニントン:わかった

 しかしハミルトンに接近しすぎて周回した影響もあったのか、8周目あたりからフェルスタッペンのタイヤもタレ始めていた。

フェルスタッペン:タイヤがすごく熱くなっていて、僕らはそんなに速くない

 フェルスタッペンはアンダーカットを狙って、予定よりはるかに早い10周目にピットに向かった。メルセデス陣営にしてみれば、ハミルトンのピットインをできるだけ遅らせて、首位をキープする戦略が定石だ。フェルスタッペンもそこは十分警戒しており、チームにこんなメッセージを送った。
 
フェルスタッペン:チェコと(協力して)、ハミルトンがこれ以上走り続けないようしてくれ!
 11周目の時点で、首位ハミルトンと2番手ペレスの差は5秒余り。ペレスがアンダーカットを狙って12周目にピットインしたことで、ハミルトンも次周にピットに向かわざるをえなかった。これでフェルスタッペンが首位に立った。

 直後の14周目、すぐ前を走る角田を追い立てていたピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)が、緊急にピットに入っていった。

ガスリー:問題がある。マシン後方だ
ピエール・アムラン:リヤサスペンションだ。ボックスだ

 ガスリーはそのままリタイア。アルファタウリの期待は、角田ひとりにかかることになった。

 エスケープゾーンが広く、ほとんどがアスファルト舗装されているCOTAでは、コースからはみ出しながらのオーバーテイクが頻発した。

リカルド・アダミ:レースディレクターから指示が来た。1周目のターン12の追い抜きで、ランドに順位を戻さないといけない
カルロス・サインツ:いやだよ。ターン16でリカルドに譲ってるし

 結局、順位の変更はなく、カルロス・サインツ(フェラーリ)へのお咎めもなかった。一方16周目のキミ・ライコネン(アルファロメオ)とのバトルでは、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)があからさまな不平を漏らした。

アロンソ:ライコネンがターン1でアウトから抜いて行った。ポジションを返してほしい

 しかしそれから2周経っても、チームから返事はない。

アロンソ:早く順位を返してくれ。何を調査してるんだ!
カレル・ルース:今、見てるところだ
アロンソ:何も見ることなんてないだろう!

 しかしライコネンのオーバーテイクは問題ないとされ、アロンソの順位挽回はかなわなかった。すると今度はライコネンのチームメイト、アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)を20周目のターン12でオーバーテイク。しかし大きくコースオフしてしまう。
 
アロンソ:よし、やったね!

 アロンソは大満足だが、抜かれたジョビナッツィはあからさまな不満を漏らした。

ジョビナッツィ:おいおい、なんだよ、あれは!

 アルピーヌのスポーティングディレクター、アラン・パーマメインだろうか、FIAのマイケル・マシとこんなやりとりを交わしていた。

パーメイン:マイケル、アウト側から行ったんだったら、コースオフしながら抜くのはいいよね?
マシ:いや、コース外での追い抜きはできない
アルピーヌ:でもライコネンは、それをやったんだよ
マシ:わかった
アルピーヌ:じゃあ、いいんだね?
マシ:いや、だめだ
アルピーヌ:ライコネンにはいいのか?
マシ:いや、誰でもダメだ

 それを受けてチームはアロンソに、順位を譲れと指示した。

ルース:ジョビナッツィに順位を譲るんだ。でないと、5秒ペナルティを受けてしまう

 渋々順位を下げたアロンソ。しかしこれであきらめるはずもなく、ジョビナッツィに果敢に仕掛けていく。24周目にはターン12でインを刺して前に出かけたが、ジョビナッツィはアウト側にはみ出しながら11番手を死守した。しかし今度はジョビナッツィに非があると判断された。
 
ベッカー:順位をもどすんだ
ジョビナッツィ:あいつが僕を押し出したんだ
ベッカー:いいから戻すんだ

 今回のレースは特に、コースをはみ出してのオーバーテイクについて、微妙な判定が多いように思えた。エスケープゾーンがグラベルだったら、ドライバーたちもコースから出ることなく、オーバーテイクを仕掛けるのだろうが。

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(2)に続く

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