ピュアEV最後のシーズンとなる新年度“シーズン4”の開幕を控え、ワンメイク電動オフロード選手権『エクストリームE』の参戦チームや既存体制に続々と動きが出るなか、北米大陸からの刺客となる新規参入チームが登場。今季NASCARカップシリーズでトヨタ陣営にスイッチし、新型『トヨタ・カムリXSE』を走らせるLegacy Motor Club(レガシー・モーター・クラブ)が、チーム共同所有者でもあるジミー・ジョンソン自身のドライブに加えて、欠場ラウンドでのトラビス・パストラーナ起用も含めたシリーズ参画を表明した。
すでにFIA国際自動車連盟やF1との合同ワーキンググループを立ち上げ、2025年にも世界初の水素燃料モータースポーツ『エクストリームH』へと移行するプランを表明している同選手権だが、その前年度たる2024年が“最後のBEVシリーズ”となる状況も受け、新シーズン開幕を目前にして各陣営の撤退や活動休止、ドライバーラインアップの変更など大きな動きが出ている。
ジェンソン・バトンのJBXE、バッケルドのペアにサウジ出身ダニア・アキールを抜擢/エクストリームE
そんな激動のシリーズに飛び込む決断を下したジョンソンは、ストックカー昇格前にはオフロードトラックで“レースクラフト”を学んでいたこともあり、自身のキャリアにおける「ルーツに回帰するようなもの」だと語った。
「こうしてレガシー・モーター・クラブとしてエクストリームEのチャンピオンシップに、電動オフロード車両を投入する機会はさまざまな意味でエキサイティングだ」と、晴れてNASCAR殿堂入りも果たしたカップ通算“7冠”のレジェンド。
「我々は本質的にこのユニークで非常に競争の激しいシリーズでアメリカを代表するつもりでおり、この挑戦に全力で取り組んでいる。目標はできる限り多くのことを学び、将来何が起こるかを知ることだ。このシリーズが世界的な地理条件のもとで競争し、持続可能性、包括性、男女平等に重点を置いているという事実は、我々の興味を大いに掻き立てる」と続けた“J.J”。
「技術的な観点から見ると、2025年の水素への移行は非常に興味深いものであり、モータースポーツコミュニティ全体が注目している。自分にはオフロードのルーツがあり、キャリアをスタートさせたレースのカテゴリーに戻ることは、とても素晴らしい経験になるだろう」
今週末の2月17~18日に、サウジアラビアではリヤドと並ぶ二大都市ジェッダにて開幕する新シーズンは、NASCARカップシリーズ開幕戦の『デイトナ500』と日程が重複することから、伝統のオーバルでキャリア通算21回目のスタートを切る予定のジョンソンは欠場に。
■エクストリームE挑戦の知らせに「人生で一番興奮した」とリードベター
代わってワンメイク電動車両『オデッセイ21』の84号車のドライバーには、北米発のエクストリーム系ラリークロス選手権『ナイトロクロス』のシリーズ創設者兼初代シリーズチャンピオンであるトラビス・パストラーナが起用される。
「すべてが非常に早くまとまったが、この機会には本当に興奮している」とアメリカ・ラリー協会(American Rally Association/ARA)で6度のチャンピオンにも輝くパストラーナ。
「僕自身は(ナイトロクロスを通じて)電気自動車に関してはかなりの経験があるが、これまでエクストリームEのオデッセイ21に乗ったことはないんだ。同じく、多くのオフロード戦や(主に2輪で)いくつかの砂漠のイベントに出場しているが、これは僕らにとって本当に楽しいはずさ。僕はジミー・ジョンソンと彼のクラブをすべて信頼しているし、彼が僕に依頼した瞬間から迷うことはなかったね」
そんなビッグネームふたりのパートナーを務める19歳のグレイ・リードベターは、昨季に16歳でシリーズデビューを飾ったリア・ブロックに次ぐ若きスター候補であり「この機会にとても興奮しており、感謝している」と意気込みを語った。
「私自身もエクストリームEにはずっと興味があったけれど、足を踏み入れる適切な機会が見つからないでいた。先週、トラヴィスが『ジミー・ジョンソンやレガシー・モーター・クラブと一緒にレースできるかもしれない』とメールを送ってきたとき、人生で一番興奮したと思う(笑)」と続けたリードベター。
「まだこのクルマをドライブしたことがないので、冒険になることは間違いないだろうけど、私には素晴らしい仲間がいる。これは夢の実現ね!」
そのシリーズで創設初年度から参戦してきた“帝王”カルロス・サインツ率いるアクシオナ・サインツXEチームは、チームの重鎮ライア・サンズが引き続き女性リードドライバーを務めるかたわら、その相棒として今季活動休止を決めたX44からフレイザー・マッコーネルを獲得した。
「カルロスから『チームに加わるように』という電話を受けたのは、僕にとってとても現実離れした瞬間だった」と明かしたジャマイカ出身のマッコーネル。
「なぜなら、僕は子供の頃から大ファンだったし、今でも彼はとてもインスピレーションを与えてくれる存在だからね。彼は今でも一線級のドライバーであり、チーム内にそのエネルギーがあることは間違いなくレースに勝つのに役立つだろう。彼から多くのことを学ぶことができると確信しているよ」
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