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タイガーマスクの愛車に激似!! ランボ「エスパーダ」はタイプ1がオススメ

掲載 更新 28
タイガーマスクの愛車に激似!! ランボ「エスパーダ」はタイプ1がオススメ

■コンセプトカー「マルツァル」の市販化「エスパーダ」

 世界のクラシックカー/コレクターズカー・マーケットにおける年ごとの指標は、毎年1月下旬にアメリカ・アリゾナ州スコッツデールで開催される、主にアメリカ系企業を中核としたオークション群と、翌2月のパリ「レトロモビル」に際して開催される欧州系企業によるオークション群によって概ねの推移が見えてくるのが、今世紀に入ってからの不文律となっているようだ。

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 全世界が新型コロナウイルス禍に苦しめられた2020年は、当初マーケットも相当な冷え込みが予測されていたのだが、ことクラシックなランボルギーニについては大きな影響はなかったようで、欧米各国にてオンラインや感染対策おりこみ済みの対面型でおこなわれたオークションでも2019年と大差ない相場感。つまりは、かなりの高額で取引されていた。

 依然としてコロナ禍の収まらない2021年は、パリの「レトロモビル」も本来の2月から6月第1週に延期されることが既に決まっているものの、付随するオークションはイベント公式の仏「ARTCURIAL(アールキュリアル)」社を筆頭に、複数がおこなわれるようだ。

 今回は、業界最大手のRMサザビーズ「PARIS」オークションに出品される、1968年型ランボルギーニ「400GTエスパーダ・シリーズ1」を俎上に載せ、オークションのプレビュー(事前レポート)としよう。

●1968 ランボルギーニ「エスパーダ・シリーズ1」

 ランボルギーニ「エスパーダ」は、4リッターV型12気筒ユニットをフロントに搭載するフル4シーターGTである。フェラーリが常に2+2モデルしか持たないことから、ランボルギーニはフル4シーターモデルの商品化をベルトーネに発案。前後席をカバーする巨大なガルウイングドアを持つ、未来感あふれるコンセプトカー「マルツァル」を経て、1968年のジュネーブ・ショーにて「400GTエスパーダ」の名で正式デビューした

 マルツァルがミウラ用V12を半分にカットした2リッター直列6気筒エンジンをリアに置いていたのに対して、エスパーダは320psを発生する3929ccV型12気筒ユニットをノーズ先端に搭載。ランボルギーニの開祖「350GT/400GT」以来のフロントエンジン・後輪駆動とした。

 2+2の「400GT/イスレロ」よりも10cm長い、2650mmのホイールベースの延長分はすべてキャビンの拡充に充てられ、全高わずか1185mmながらフル4シーターを実現。現役時代のイタリアでは、リアシートをショーファードリブン的に使用するユーザーも存在したようだ。

 もちろんマルチェッロ・ガンディーニ作品であるボディは、マルツァルと酷似したプロポーションを持つが、ドアやウインドウグラフィックはコンベンショナルなものとされた。

 インテリアはランボルギーニのフラッグシップらしく極めて豪華なものとされ、エアコンディショナーやパワーウインドウはもちろん、ファーストオーナーの意向次第ではTV受像機やミニバーなどのオプションも装着できたという。

■「エスパーダ」はシリーズ1がもっとも美しい理由とは?

 エスパーダはクラシック・ランボルギーニとしては、カウンタック(シリーズ総計で約2000台)に次いで、2番目に生産台数の多いモデルといわれている。

 1968年から1978年の約10年間に、3世代(シリーズ1:1968-70年、シリーズ2:1970-72年、シリーズ3:1972-78年)にわたって、シリーズ総計で1217台が生産されたという。

●1968 ランボルギーニ「エスパーダ・シリーズ1」

 今回RMサザビーズ「PARIS」オークションに出品される個体は、デビューイヤーにわずか37台がサンタ・アガータ工場をラインオフしたといわれる内の1台。

 したがって、外側に薄く開くことのできるリアクォーターウインドウ、リアエンドパネル上部のガラスの上に取り付けられた垂直のスリットグリル。そして、ガンディーニとベルトーネがこだわったオクタゴン(八角形)デザインで構成された、メータークラスターのアヴァンギャルド的デザインなど、オリジナリティが好ましい初期のシリーズ1である。

 もともとは1968年11月に、イタリアのエミリア・ロマーニャ州ピアチェンツァで最初のオーナーにデリバリーされている。オークションの公式WEBカタログでは、その後のヒストリーは記されていないのだが、それから半世紀近くを経た2014年に北米テキサス州のディーラーから、ドイツ在住の現オーナーによって入手され、大々的なレストアを施すためにヨーロッパ大陸に戻されることになった。

 エンジン、トランスミッション、ブレーキ、サスペンション、ランニングギアを取り外して再生するこのレストアには3年の月日を要し、メカニズム系のオーバーホール作業はヨーロッパでもっとも有名なランボルギーニ・スペシャリストの一つ、モデナ近郊ノナントラの「Top Motor di Salvadori Luca(トップモーター)」によっておこなわれた。

 一方、延べ450時間を費やしたという内外装の修復は、ともにその分野を代表するプロフェッショナルに委ねられた。みごとなブルーメタリックのボディワークとリペイントは、リミニ近郊のボディ工房「Biondy e Parini(ビオンディ・エ・パリーニ)」社。チェリーレッドの本革レザーと、ネイビーブルーのカーペットでキャビンを完全にリトリミングする作業は、イモラ・サーキットにほど近いファエンツァの「Auto Interni(アウト・インテルニ)」社がそれぞれ担当していたとされる。

 これらのレストアに際して撮影された詳細な写真やオーナーへの請求書は、当時おこなわれたすべての作業をカバーしており、すべての項目が優れた基準のもとにおこなわれたことは、もっともシビアな審美眼を持つコニサー(通人)たちの目にも明らかと謳われている。

 この修復ののち、ランボルギーニ本社のクラシック部門「ランボルギーニ・ポロストリコ」によって、オリジナリティや時代考証の正統性について正規の認定を受けるとともに、2018年から2019年にかけてはサンタアガタ・ボロネーゼのランボルギーニ本社に隣接するオフィシャルミュージアム「ムゼオ・ランボルギーニ」に展示されたヒストリーを持つ。

 また、レストアが完了して以降の走行距離は200km未満で、新車時のコンディションを維持しているこの個体は、近年のクラシック・ランボルギーニ人気に伴って価格高騰を続けてきたエスパーダのなかでも、おそらく最高ランクの1台とのことなのだ。

 このエスパーダは、全シリーズのなかでも生産台数がもっとも少ないとともに、芸術的価値が高いとされるシリーズ1であることから、ランボルギーニ愛好家のコレクターズアイテムとして優れているばかりか、今後ヨーロッパ大陸におけるロングツーリングの手段としても素晴らしいものとなるだろう。RMサザビーズ欧州本社は、WEBカタログでそうアピールしている。

 そして注目のエスティメート(推定落札価格)は、18万-22万ユーロ、日本円に換算すると約2270-2780万円に設定されたが、もしもこの価格帯で競り落とすことができるならば、個体のコンディションや「ムゼオ」展示歴などを思えば、決して悪くない投資となることだろう。

* * *

 ちなみに、昭和40年代に人気だったアニメ『タイガーマスク』で登場するクルマが、エスパーダに非常に酷似しているが、フロントマスクを見る限り、エスパーダと同じくベルトーネがデザインしたコンセプトカー、ジャガー「ピラーナ」がモデルになっているといった方がいいだろう。

 ピラーナとエスパーダのデザインは、明らかに兄弟車と呼べるもので、ピラーナが市販されなかったため、タイガーマスクと同じクルマを所有したいのならエスパーダで代用するしかない。それにしても、タイガーがジャガーに乗るというのもいかにもシャレが効いているのではないか。

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みんなのコメント

28件
  • 当時はこのスタイルで4シーターは考えられなくて間延
    びしたスーパーカーでカッコ良いとは思えなかった。
    今やポルシェやフェラーリも4シーターがあるし、時代を
    先駆けたデザイナーは凄いと思う。



  • カッコいいから買おうと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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