緑と赤を纏った超レアなGT-Rが現存している!
総生産台数4万3934台。全世代のGT-Rのなかで群を抜いて多く作られたのがBNR32だ。そのなかの500台であるR32 GT-R NISMOも希少だが、たった1台しか存在しないボディカラーがある。そして都市伝説とまで言われた7台のクルマ。ここではR32GT-Rにまつわるレアなモデルを紹介していきたい。
世界にたった7台しか存在しない幻のGT-R!「HKS」が作った究極のR32「ZERO-R」とは
初出:GT-Rマガジン161号
開発者だから手に入れられた先行試作カラー!
総生産台数や生産期間が長かったにも関わらず、BNR32にはニスモ以外の限定車が存在しない。VスペックもVスペックIIも1000台を超えており、強いてあげればN1ベース仕様車は228台だ。とはいえ「レアモノ」がないワケではない。
まず、有名なところでは開発陣のひとりである渡邉衡三氏のBNR32だ。平成元(1989)年式の標準車。至って普通に聞こえるが、注目すべきはボディカラーである。写真ではほぼ黒に見えるのだが、実際は深緑。
C33ローレルの純正色「ダークグリーンメタリック(DH0)」なのである。途中で全塗装したワケではない。マイナーチェンジの先行試作として塗装されたもの。結局この色はGT-Rで採用されることはなく、世界で1台の存在になった。ちなみにR32スカイラインの基準車には、後期型からダークグリーンメタリックが設定されている。
日産には存在しない完全オリジナルの赤!
同じように色に関して言えば、都市伝説にもなっている「赤いGT-R」がある。通常設定されているレッドパールメタリックではなく、ソリッドな赤。発売当時、一部の関係者のために特別に塗装されたもので、色番号「301」は日産の設定では見当らない。噂では7台が存在するという。
こちらもあとから全塗装したものと勘違いされそうだが、コーションプレートにはしっかりとカラーとして「301」と刻まれている。かつてGT-Rマガジン誌の別冊で取材させていただいたオーナーは、たまたまオークションで見掛けて速攻で手に入れたとのこと。この存在を知らなければ、ただのオールペン仕様としか思えない。何でもこの赤はポルシェ911のレッドに近付けるよう調合されたとのことだ。もし街なかで真っ赤なRに出会ったら、ぜひコーションプレートを見せてもらうといいだろう。もしかしたら貴重な「301」に出会えるかもしれない。正確な総台数はハッキリしないのだが、そのなかの1台はGT-Rではなく、GTSだと言われている。
櫻井眞一郎氏が手掛けたコンプリート2モデル
さて、コンプリートモデルなどに目を向けてみよう。まずはスカイラインの父である故櫻井眞一郎氏率いる「S&Sエンジニアリング」が、32台限定で仕立てた「BNR32 S&Sリミテッドバージョン」だ。2000年10月に発売開始。当然生産は終了していたので、残念ながら新車ベースではない。程度のいい中古車を厳選し、ここにS&Sエンジニアリングの考えるファインチューンを施している。
販売の受付を開始するやいなやサイトへのアクセスが殺到。わずか1分で完売となったという逸話がある。キャンセル待ちは500人以上。恐るべしだ。気になる中身は、RB26DETTはリビルトされ、ヘッドを加工するとともにチタン製のバルブリテーナーも組み込んだ。ターボはR34標準仕様。レスポンスと耐久性を重視した結果だろう。最高出力は350psにおよぶ。また、減衰力16段調整式のS&Sエンジニアリングオリジナルサスペンションキットも組み込み、リンク類などはニスモを組み合わせている。櫻井氏が手掛けただけに、GT-Rらしく高性能であったことは間違いない。
そしてオーテックからは198台の4ドアセダンが誕生した。正確にはGT-Rではない。しかしGTS-4をベースにRB26DEを搭載。ターボではなくNAであり、すべてが不思議と感じるが、スカイラインの原点を考えれば納得がいく。こちらも櫻井氏が手掛けており、各部に哲学が見え隠れするのだ。
チューニング業界もこぞってコンプリートカーを製作
チューニング業界が作るコンプリートカーは「HKS」のZERO-Rのほか、トミーカイラRも印象深い。また、生産終了後には「マインズ」なども独自のコンプリートモデルを製作している。
細かいコンプリート化は数知れず。素性のいいR32だからこそ、それぞれの思う理想を描きたくなるのも当然。写真はないが「アペックス」が開発したA450というコンプリートモデルもあった。大人のツアラーを目指したそれは、あまりにもオリジナルに走り過ぎた。4つ目のヘッドライトも異質な雰囲気を醸し出していたが、さすがにレジェンドのテールレンズ流用はナシだったのではないかと今でも思うのだ。
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ターボモデルとはまた違うえらく甲高く乾いた排気音がカッコよかった