現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【くるま問答】ランチア デルタのリアスポは、なぜ真上を向いている?

ここから本文です

【くるま問答】ランチア デルタのリアスポは、なぜ真上を向いている?

掲載 更新
【くるま問答】ランチア デルタのリアスポは、なぜ真上を向いている?

今も見かけることのあるイタリア車のランチア デルタ(Lancia Delta)、そのルーフスポイラー(リアスポイラー)は立てられていることが多い。なぜ風を受けるように装着されているのか、その訳を追った。

WRCでの快進撃を知る必要がありそうだ
ランチアの初代デルタ。1979年に欧州でデビューしたこのイタリアンコンパクトハッチバックは、日本でも人気だ。登場から約40年・販売終了から25年近く経過したいまでも、キレイに整備された車両が多く走っている。

運転免許証の番号、12桁の意味。最後のひと桁でアレがわかっちゃう!【くるま問答】

ただ、街中で見かけるそのほとんどが、スポーティなフロントバンパーやブリスターフェンダーなどを採用したスポーツモデルである。そしてひときわ目立っているのが、ルーフ後端で天に向かってそそり立つように鎮座するスポイラーだ。必ずと言っていいほどの装着率ではないだろうか。

このルーフポイラーは真正面から走行風を受けて強いダウンフォースを発生させる、というより、素人目には走行の抵抗にしかなっていないように見えなくもない。クルマをよく知らなかった少年時代のボクは、「なんの意味があるの?」と疑問に思ったものである。

さてこんな疑問に答えるためには、ランチア デルタのWRCでの活躍を知る必要がある。ここから解説していこう。

言わずと知れた伝説のラリー車、ランチア デルタ。1987年から1992年までに果たしたWRC 6連覇という栄光は、今も破られることなく燦然と輝いている。

このラリーカーのベースとなっている初代ランチア デルタのコンセプトは、レース参戦を目的としたものではなかった。むしろラリーとはかけ離れた、高級路線の小さなハッチバックとして1979年に誕生していたのだ。

そんなデルタに、ラリー車ベースとして白羽の矢が立ったきっかけが、WRC参戦規定の改定(1987年シーズンから適用)だ。「継続した12カ月間に生産台数5000台以上」のモデルをベースとする、グループA規定のマシンを早急に用意しなくてはならないランチアは、FFのデルタに2L直4 DOHCターボ+4WDのパワートレーンを搭載。またボディや足まわりの補強などを施して、ラリー車に改装したのである。

1987年のWRC初戦、ラリー・モンテカルロで勝利を収めると、その後も快進撃を続け同年に13戦中9勝という圧倒的強さを見せつけ、マニュファクチャラータイトルで2位に大差をつけてチャンピオンを獲得した。

1988年以降、ブリスターフェンダー採用やタイヤの拡大、タービンやインタークーラの大型化、エンジンの16バルブ化、ブレーキ・サスペンションなどさまざまな改良を進めてラリー車としての戦闘力を増していく。

ライバルたちはその進撃を指をくわえて見ていたわけではなく、この頃からトヨタやマツダ、三菱、スバルなどの日本勢が頭角をあらわし始める。とくにトヨタ セリカGT-Four(ST165/ST185)の追い上げは凄まじく、1989~1992年のマニュファクチャラーランクで常に2位につけ、ランチア デルタを射程圏内に収めていた。

こうしたライバルたちを引き離すため、デルタの1992年モデルに採用されたパーツのひとつが「ルーフスポイラー」である。もともとファミリーカーだったデルタの直線的デザインは空力面で不利。そこで、スポイラーを思い切り立ててダウンフォースを稼いだわけである。

その効果もあってか1992年もマニュファクチャラータイトルを獲得、史上初の6連覇を達成することとなったのだ。ところが、ランチアはこの年を最後にWRCを撤退してしまう。

つまり、ルーフスポイラーを装着したランチア デルタがワークス車両としてWRCで活躍した期間は、意外にも短かったのだ。にも関わらず、街中をゆく多くのデルタが1992年マシンのようなルーフスポイラーを装着している。純正装着されていることはもちろんだが、ほかにも「6連覇」をリスペクトしているからこその後付けファッションというケースもあるようだ。

こんな記事も読まれています

日本に世界が注目!? 公道激走バトルの「ラリー」開催! 3年目の「ラリージャパン」どんな感じ? トヨタ会長が語る
日本に世界が注目!? 公道激走バトルの「ラリー」開催! 3年目の「ラリージャパン」どんな感じ? トヨタ会長が語る
くるまのニュース
新型3列シート電動SUV『アイオニック9』正式発表、充電中は4人が広々休憩も…ロサンゼルスモーターショー2024
新型3列シート電動SUV『アイオニック9』正式発表、充電中は4人が広々休憩も…ロサンゼルスモーターショー2024
レスポンス
全国に「警察軽トラ」配備へ なぜ? 警察庁初の取り組み、理由は? ダイハツ製61台を24年度中に導入! 各都道府県警察で運用
全国に「警察軽トラ」配備へ なぜ? 警察庁初の取り組み、理由は? ダイハツ製61台を24年度中に導入! 各都道府県警察で運用
くるまのニュース
転倒時にバイクを守る! エンジンガードは装着した方がいいのか?
転倒時にバイクを守る! エンジンガードは装着した方がいいのか?
バイクのニュース
『ランクル40 / 70』にもピッタリ! トーヨータイヤ『OPEN COUNTRY A/T III』がラインアップ拡充
『ランクル40 / 70』にもピッタリ! トーヨータイヤ『OPEN COUNTRY A/T III』がラインアップ拡充
レスポンス
寒いとバカっ速! ラスベガスで完勝ワンツーのメルセデス、懸念のグレイニングも一切出ず「不思議だね」とウルフ代表
寒いとバカっ速! ラスベガスで完勝ワンツーのメルセデス、懸念のグレイニングも一切出ず「不思議だね」とウルフ代表
motorsport.com 日本版
夢だけで終わらせたくない「マイ・バイクガレージ」 たぐちかつみ・マイガレージ回顧録 VOL.01
夢だけで終わらせたくない「マイ・バイクガレージ」 たぐちかつみ・マイガレージ回顧録 VOL.01
バイクのニュース
約99万円! トヨタ新型「“軽”セダン」発表! 全長3.4m級ボディで4人乗れる! 安全性向上&寒さ対策UPの「ピクシス エポック」どんな人が買う?
約99万円! トヨタ新型「“軽”セダン」発表! 全長3.4m級ボディで4人乗れる! 安全性向上&寒さ対策UPの「ピクシス エポック」どんな人が買う?
くるまのニュース
「(次期)セリカ、作ります!」ラリージャパン会場でトヨタ中嶋副社長が明言!! 開発開始を宣言、次期86も「出す」
「(次期)セリカ、作ります!」ラリージャパン会場でトヨタ中嶋副社長が明言!! 開発開始を宣言、次期86も「出す」
ベストカーWeb
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
WEB CARTOP
車載電池のノースボルト、米国で破産法を申請 事業継続にめど
車載電池のノースボルト、米国で破産法を申請 事業継続にめど
日刊自動車新聞
【初試乗!】さらにスポーティになった「メルセデスAMG GT 63 PRO」はポルシェとのGT対決に終止符を打てるか!?
【初試乗!】さらにスポーティになった「メルセデスAMG GT 63 PRO」はポルシェとのGT対決に終止符を打てるか!?
AutoBild Japan
レクサス新型「FF最大・最上級セダン」世界初公開に大反響! めちゃ“斬新グリル”&一文字ライト採用! “6年ぶり”に内外装刷新の「ES」中国に登場!
レクサス新型「FF最大・最上級セダン」世界初公開に大反響! めちゃ“斬新グリル”&一文字ライト採用! “6年ぶり”に内外装刷新の「ES」中国に登場!
くるまのニュース
20年前の個体なのに走行距離301キロ!? 555台の限定車 BMWアルピナ「ロードスターV8」がオークションに登場 極上車の気になる予想価格とは
20年前の個体なのに走行距離301キロ!? 555台の限定車 BMWアルピナ「ロードスターV8」がオークションに登場 極上車の気になる予想価格とは
VAGUE
完璧なシーズンでも届かない、王者の背中。ノリス「たとえミスがなかったとしてもタイトルを手にできたかどうか……」
完璧なシーズンでも届かない、王者の背中。ノリス「たとえミスがなかったとしてもタイトルを手にできたかどうか……」
motorsport.com 日本版
苦手な「前向き駐車」なぜコンビニで推奨されるのか? 「もちろんやってる」「出る時が怖い…」賛否あり!? バック駐車じゃない理由への反響は?
苦手な「前向き駐車」なぜコンビニで推奨されるのか? 「もちろんやってる」「出る時が怖い…」賛否あり!? バック駐車じゃない理由への反響は?
くるまのニュース
今でも現役! いろんなバイクに採用されています。「SOHC」とは?【バイク用語辞典】
今でも現役! いろんなバイクに採用されています。「SOHC」とは?【バイク用語辞典】
バイクのニュース
ダイハツ『タフト』安全性能向上で仕様変更、138万6000円から
ダイハツ『タフト』安全性能向上で仕様変更、138万6000円から
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

520.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

77.74785.2万円

中古車を検索
デルタの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

520.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

77.74785.2万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村