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「ポルシェ917」50周年スペシャルパレード! グッドウッド、もうひとつのハイライト

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「ポルシェ917」50周年スペシャルパレード! グッドウッド、もうひとつのハイライト

Goodwood 77th Members’ Meeting Part 2

Porsche 917 50th Special parade

「ラゴンダ」のコンセプトモデルに見る、近未来型ラグジュアリーの姿。

グッドウッド 77thメンバーズ ミーティング パート2

ポルシェ 917 50周年スペシャル パレード

代表的なポルシェ917が5台集結! 新旧ドライバーが参加

ポルシェGBがスポンサーの一翼を担っていることもあり、グッドウッド・メンバーズ・ミーティングでは、過去にもポルシェ911の50周年を記念した911(しかも1968年以前のショートホイールベース・モデル限定)のワンメイクレースなど、様々なプログラムを企画してきた。そんな彼らがフィーチャーしたのが、1969年のジュネーブ・ショーでヴェールを脱ぎ今年で誕生50周年を迎えたレーシングスポーツ、ポルシェ917だった。

1970年、1971年のル・マン2連覇のほか、マニュファクチャラーズ選手権や北米 Can-Amシリーズなど、世界中のスポーツカーレースを席巻した917に関しては、3年前にも1970年のル・マン24時間をテーマに掲げた際に、6台のフェラーリ512S/Mとともに9台のポルシェ917Kを集めたことがあったが、今回は第1号車である1969年の917-001から、Can-AM&インターセリエ用マシン917/30まで、5年に渡る917の歴史の中で登場した代表的な5モデルを集めてのデモランが行われた。

それらのドライバーを務めたのは、リチャード・アトウッド、マーク・ウェバーなど新旧ポルシェ・ワークスの面々で、時を隔てたコラボレーションに会場は大いに沸いていた。ちなみにこれらのマシンはイベント後、ドイツに帰国し、5月14日から9月15日までポルシェ・ミュージアムで開催される『”50 Years of Porsche 917 – Colours of Speed”』で公開されることとなっている。

1969 Porsche 917-001

1970年のル・マンで優勝したリチャード・アトウッドがドライブ!

1969年シーズンの5リッター・グループ4カテゴリー用に開発された917。520hpを発揮する4.5リッター空冷180度V12DOHC”912″ユニットを908を発展させた鋼管チューブラーフレームにミッドシップ・マウントしていた。その1号車である917-001は、1969年3月のジュネーブ・ショーで発表。スイス自動車クラブのブースで3万5000ドルというプライスとともに展示され話題となった。その後は一度も実戦を走ることなくPR用に使われ、1970年のル・マンの後で、優勝したザルツブルク・チームの姿にモディファイされた。近年までその姿のままポルシェ・ミュージアムに展示されていたが、50周年を前にオリジナルの姿にレストアされている。

908ロングテールの流れを汲むボディスタイル。リヤには可変式のスポイラーを備えていたが、レギュレーションの変更を受け使用禁止(ル・マンのみ特例措置で可動が認められた)となる。また当時デイヴィッド・パイパーにデリバリーされた917-010は、パイパー、ジョー・シファートとともに1969年日本グランプリにも出場している。

初日に917-001をドライブしたのは1970年のル・マン24時間でポルシェに初の総合優勝をもたらしたレジェンド、リチャード・アトウッド。「このスタイルの初期の917はドライブが難しいクルマだったが、ショートテールの917Kで改善された。排気管のレイアウトなどが変わって、かなり快適になったんだ。これは後に917Kスペックに改造されたモデルなので良くなっている。問題ないよ」

1970 Porsche 917KH-015

「栄光のル・マン」でお馴染み、ガルフカラーの917

1970年シーズンを前にポルシェは、それまでのライバルだったジョン・ワイア率いるJWオートモーティブ・エンジニアリングとパートナーシップを締結する。その最初のテストで917のシャシーバランスの悪さを指摘した彼らはボディをモディファイ。その好結果を得て開発されたのが、917K(Kはショートテールの意)である。

今回デモランを披露したのはミュージアム所蔵のシャシーナンバー015で、1970年のデイトナ24時間でP.ロドリゲス/L.キニューネン組が優勝。その後、035へと改番され1971年のブエノスアイレス1000km、BOAC1000km、スパ1000km、ワトキンス・グレン6時間に投入。スパではP.ロドリゲス/J.オリヴァー組が優勝している。この917Kが纏うガルフ・カラーは、スティーブ・マックイーン制作、主演の映画『栄光のル・マン』でおなじみのカラーリングでもある。

1971 Porsche 917/10-002

デレック・ベルがドライブした917/10

1969年の917PA(ポルシェ-アウディ)スパイダーを皮切りに北米Can-Amシリーズへの挑戦を断続的に開始していたポルシェは、1971年限りで917がマニュファクチャラーズ選手権に参戦できなくなるのが決まると、Can-Amでの活動に本腰を入れるようになる。917/10は1971年用に用意されたもので、630hpの5リッター12気筒を搭載。シャシーは各部に軽合金を多用し、わずか750kgと大幅な軽量化が図られていた。

この917/10-002は、1971年夏に製造された2台の自然吸気仕様の917/10のうちの1台で、ジョー・シファートのドライブによりロードアメリカ、ミッドオハイオで2位に入るなど活躍。その後ウイリー・カウーゼンに売却され、ターボエンジンに換装されるなどのモディファイを受け、欧州インターセリエ・シリーズに出場。2勝を挙げている。

カウーゼンがレースでクラッシュした後、長らく放置されていた917/10-002は1990年にレストアが施され、現在は個人が所有している。ドライブを担当したのは、ポルシェ・ワークスの一員として1981年、82年、86年、87年にル・マンを制しているデレック・ベル。「それまでフェラーリをドライブしていたけれど、ポルシェ・チームに入ったことで本格的なプロになれた気がする。グッドウッドは初めて917をテストした思い出の場所でもあるんだ」

1972 Porsche 917/30-001

ル・マン ウィナーのニール・ジャニも出走

917-001とともにレストア後初お披露目となった917/30-001。1973年のCan-Amシリーズに向け1972年末に完成したもので、ホイールベースの変更が可能なアジャスタブル・シャシーに5リッター12気筒ターボを搭載したテストカー的な意味合いの強いものだった。Can-Amに姿を見せることはなかったが、1973年にヴィック・エルフォードのドライブで、欧州インターセリエ・シリーズに出場し7月のホッケンハイムで優勝。1974年にはヘルベルト・ミューラーのドライブでカッセル-カルデン、ニュルブルクリンク、カザーレで優勝する活躍をみせた。現在のカラーリングは、917/30-001最後のレースとなった1975年のホッケンハイムでミューラーが優勝した時のものだ。

917/30-001をドライブしたのは、2016年のル・マン・ウィナーであり、2019/20年のシーズン6からフォーミュラEへの参戦も決定しているニール・ジャニ。「レースでもないし、路面もスリッピーなので気をつけて走るよ。50年近く前のマシンだけどすごいパワーだから」

1973 Porsche 917/30-002

マーク・ウェバーは2台の917をドライブ!

1972年からワークスとしてCan-Amシリーズでの活動をスタートしていたアメリカの名門、ペンスキー・チームとポルシェが共同で開発した史上最強のCan-Amマシン。排気量を5.4リッターに拡大した12気筒ターボは最大出力1100ps(1200ps以上という説もある)を発揮。前年は怪我で欠場したエース、マーク・ダナヒューのドライブで全8戦全てでポールポジションを獲得。第3戦から最終戦まで6連勝と圧倒的な強さを示しシリーズタイトルを獲得している。しかしながらその強さが仇となり、ポルシェのCan-Amにおける活動は1973年シーズンをもって終了している。ちなみに917はシリーズを通じショートテールおよびロングテールクーペが44台、PAスパイダーが2台、そしてたCan-AMおよびインターセリエ用のスパイダー19台の合計65台が製造されたといわれている。

ポルシェのアンバサダーとして活動するマーク・ウェバーは、917-001と917/30-002をドライブ。ジェット型ヘルメットしか持っていなかったため、スパイダーの917/30ではスピードが出せず、背の高さが災いしてクーペの917では頭を傾けないと乗れないと、散々だった様子。「フォーミュラと違ってステアリングもペダルもオフセットしてるしね。昔のドライバーのすごさを改めて感じるよ」

TEXT/藤原よしお
PHOTO/The Goodwood Estate / 藤原功三 / 藤原よしお

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