2024年F1前半戦第14戦までのドライバーたちのグランプリウイークエンドのコメントから、感情あふれる発言をピックアップ。勝利の喜びや安堵、接触への怒り、うまくいかないことへの苛立ちなどのドライバーたちの反応を通して、前半戦の出来事を振り返る。
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憤る5位フェルスタッペン「マシンに速さがないのに戦略も誤り3位を逃した」無線の激しい言葉への「謝罪は必要ない」
■「人生はまるでジェットコースター」
第3戦オーストラリアGP カルロス・サインツ(フェラーリ)
16日前に虫垂炎の手術を受けたばかりのサインツが、復帰戦オーストラリアで今季初優勝を挙げた。
「人生は時にクレイジーだ。今年の初めに起きたこと(注:フェラーリとの契約を延長しないことが決まったこと)、バーレーンでの表彰台、虫垂炎、そこから復帰、そして優勝。まるでジェットコースターだよね!」
■「『ランド・ノーウイン』は間違っていたと証明」
第6戦マイアミGP ランド・ノリス(マクラーレン)
マクラーレンでのF1デビューから110戦目にあたるグランプリで初優勝を挙げたノリス。なかなか勝てなかったことで、一部ファンから『ランド・ノーウイン(Lando No-wins)』と呼ばれていたことも知っていたという。
「僕は自分を信じる気持ちを失ったことがなかった。だから大勢の人たちが間違っていたことを証明できて、とてもうれしいんだ」
「Instagramにアクセスして、僕を罵倒しているコメントを見るのが好きだ。特に僕を『ランド・ノーウイン(Lando No-wins)』と呼んでいるようなこととかね。ついに彼らが間違っていたということを証明した。僕には無理だと思っていた人たちに対して、それが間違いだと証明することができたんだ。それを思うと、なおさら笑顔になるよ。彼ら全員に感謝だ」
■「涙で前が見えなかった。自分と父の夢を叶えられて嬉しい」
第8戦モナコGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)
ルクレールが母国グランプリ初優勝。ホームグランプリのモナコで数々の不運に見舞われてきたルクレールは、6度目の出場でついに悲願を達成した。
「最後の数周は、何も起こらないように祈ると同時に、感情が高まってきて、ドライビングへの集中力を失いかけていた。父のことを思った(注・父エルヴェは、ルクレールがFIA F2参戦時代の2017年に病気により死去)。父のおかげで僕は今日、ここにいる。父がしてくれたすべてのことについて考えた。ジュール(・ビアンキ。注:ルクレールにとって親友であり、モータースポーツの世界へと導いてくれた先輩。2015年7月17日に死去)についても考えた。このレースに勝つことが、僕たちの夢だった。彼らにこの勝利を捧げる」
■「涙が止まらない。二度と勝てないかもしれないと思った時もあった」
第12戦イギリスGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
ウエットからドライに変化する複雑なコンディションとなったホームグランプリで、ルイス・ハミルトンが、2021年第21戦サウジアラビアGP以来の通算104回目の勝利を挙げた。メルセデスの不振により、2シーズンにわたり勝利から遠ざかっていたが、実力で優勝をつかみ取り、フィニッシュ後に涙を流した。チーム代表トト・ウォルフも、「まるでおとぎ話のような勝利」と感無量だった。
「2021年から今までの間、僕には十分な力がないのではないかと感じたり、今日のこの位置にもう戻れないのではないかと思う日々があった」
「涙が止まらない。2021年以来、毎日立ち上がって戦いに挑み、トレーニングをし、この素晴らしいチームとともにハードワークに当たることに気持ちを集中させてきた。厳しい経験だ。重要なのは、どのようにして立ち上がることをやめないかということであり、どん底にいるように感じても、根気強く努力し続けることだった」
■「サインツが限度を超え、不必要な接触が起きた」
第5戦中国GP シャルル・ルクレール(フェラーリ)
ルクレールとカルロス・サインツがスプリントで激しい4番手争いを繰り広げるなかで、軽い接触が起きた。ルクレールはこれに対して苛立ちを示した。
「今日彼は限度を少し超えていた。今日、ふたりとも(スプリントで)フィニッシュできたのは本当にラッキーだった。あの接触は不必要なものだった」
■「チームの指示に背く行為」
第8戦モナコGP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
レース1周目、ポルティエコーナーで、ガスリーをチームメイトのエステバン・オコンがオーバーテイクしようとして、接触、オコンのマシンは宙に舞い、その際のダメージでリタイアした。幸いガスリーはレースを続けることができ、今季初入賞。しかしオコンへの怒りは収まらなかった。
「全く不必要な行為だ。特にチームメイト同士でこのような状況があってはならない。悲しいし、こんなことが起きてがっかりしている。レース前に、どうすべきかについての明確な指示を受けていた。予選で前だった方(注:ガスリー)を、後ろのマシン(注:オコン)がレースを通してサポートするはずだったんだ」
当時のチーム代表ブルーノ・ファミンも「このことが引き起こす結果についてはすぐに決定する」と憤りを示し、オコンが今季末でアルピーヌから離れることが翌週、発表された。
■「意味なくガスリーに譲った。僕はナイスガイすぎる」
第9戦カナダGP エステバン・オコン(アルピーヌ)
同士討ちが起きた次のレースで、オコンは、ガスリーを先行させるようにというチームの指示を無視。最後から2周目に従ったが、チームは、時間切れでガスリーは前のマシンに挑戦することができなかったと示唆。しかしオコンは「僕は自分の仕事を果たした。チームプレイヤーとして、ナイスガイとして振る舞った。ナイスガイすぎたぐらいだ」と自画自賛。
「僕は常にチームの指示には従っている。だけど、この指示には何の理由もない。ダニエル(・リカルド)をつかまえるというのが今回の指示の理由だったが、ダニエルに追いつける見込みはなかった」
「それによって僕は1ポイントを失った。ナイスガイすぎるのは、F1の世界に身を置くうえで正しい姿勢ではない。それでも僕は、自分がチームプレイヤーであることを示した。それが重要だ」
■「ルクレールは文句が多すぎる」
第10戦スペインGP カルロス・サインツ(フェラーリ)
レース序盤にサインツがルクレールをオーバーテイクしようとして軽い接触が起きた。サインツはコース外に飛び出し、そのままルクレールの前に出て走り続けた。ルクレールはこの接触によりフロントウイングにダメージを負い、無線で怒りを示していた。
事前の取り決めでは、序盤はタイヤを温存することに決まっていたとして憤るルクレールは「なぜあんなことをするのか、僕には理解できない。不必要な行為だ」「でも理解できる部分もある。彼にとってホームレースだし、キャリアにとって重要な時期でもある(注:当時サインツは2025年の移籍先が決まっていなかった)。だから、何か派手なことをしたかったんじゃないかな」と皮肉も込めて批判。
この発言を聞いたサインツは「彼はレース後に何かについて不満を言うことが多すぎる」と反撃した。
■「謝罪の必要はない」「気に入らないなら家にいれば」
第13戦ハンガリーGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
3番グリッドから5位という結果にとどまったフェルスタッペンは、レース中、無線を通して激しい言い回しでチームの戦略とマシンへの強い不満を示し続けた。レース後、無線でのチームに対する発言に対して謝罪する意思はあるかとメディアから聞かれたフェルスタッペンは「謝罪する必要はない」と答えた。
「僕たちに必要なのは、もっと良い仕事をすることだ。無線で声を上げるべきでないと考える人がいるが、僕にはなぜだか分からない。これはスポーツだ。気に入らない人は、家にいればいい」
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