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ポルシェ911 GT3xGT3カップ 9割の類似性を確かめる 抜群のシャシーバランス 前編

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ポルシェ911 GT3xGT3カップ 9割の類似性を確かめる 抜群のシャシーバランス 前編

992型911 GT3とGT3カップの類似性とは

人間のDNAはチンパンジーのものと99%の共通性がある、という話を耳にすることがある。豚とは98%、バナナとは60%程度だとか。

【画像】9割の類似性 ポルシェ911 GT3カップと911 GT3 GT3 RSとケイマン GT4 RSも 全108枚

ポルシェによれば、カレラカップに出場するレーシングカー、最新の911 GT3カップと公道用911 GT3には、90%の類似性があると説明する。マニアならまったくの別物だ、と冷笑するかもしれないが、同社GT部門の戦略としては真面目な主張のようだ。

それでは、その90%の類似性とは何なのか。10%の違いで、どんな差が生まれるのか。これが今回、英国編集部が設定した比較テーマだ。

親切にも、こんな疑問へ答えを導くべく、ダッカムズ・ユアサ・レーシング・ウィズ・レッドライン・チームが協力に応じてくれた。最新の911 GT3カップと、911 GT3を直接乗り比べることが実現した。まずは、この場を借りてお礼を申し上げたい。

ちなみに、同一車種で競われるワンメイクGTカー・チャンピオンシップのポルシェ・カレラカップGBは、2022年で20周年を迎える。ワンメイクレースでは英国最速がうたわれ、2003年から英国ツーリングカー選手権のサポートレースとして開催されてきた。

これまでの19シーズンを通じて、6名の勝者がプロのレーシングドライバーとしてのステップアップを掴んだ。ル・マンで優勝したニック・タンディ氏もその1人。英国モータースポーツの登竜門の1つとしても機能している。

水平対向6気筒エンジンは基本的に同一

さて、もちろんレーシングカーは公道を走れない。比較場所は、グレートブリテン島中部に位置する、ドニントン・パーク・サーキットに設定された。

このダッカムズ・ユアサ・チームは、ポルシェ・カレラカップGBで過去に優勝経験を持つ。2022年シーズンは、取材時点で3位にランクインする強豪といえる。

その好成績に貢献しているのが、カレラカップGBジュニアのチームドライバー、アダム・スモーリー氏。サーキットで911を可能な限り速く走らせる方法に関しては、熟知しているといっていい。今回は彼にもご同席いただいた。心強い限りだ。

まずは、冷静に2台を観察するところから始めよう。事前に知っておくべきは、最初に開発されたのが公道用の992型911 GT3だということ。これを経て、911 GT3カップが仕上げられている。

GT3カップの4.0L水平対向6気筒エンジンは、基本的に公道用のGT3と同一。吸排気系のみがレース専用品へ交換されている。2022年のグッドウッド・フェスティバルでお会いした、ポルシェGT部門のアンドレアス・プレウニンガー氏は次のように話していた。

「公道用のGT部門とモータースポーツ部門は、本質的には同じ部署といえます。レーシングカーとしても競える堅牢さや信頼性を備えたモデルを開発することは、お互いにとって利益のあるものなのです」

実はかなり近いアグレッシブな容姿

最高出力510psを発揮する6気筒エンジンのメンテナンス間隔は、ポルシェの推奨によると本域走行で100時間毎。これに従えば、2シーズンは大きなメンテナンスなしで走れることになる。

つまり、公道用のGT3で年に数回サーキット走行を楽しんだとしても、メカニズムへ与える影響は過度に心配する必要はない。驚くべき事実だといっていい。

サスペンションも同様。GT3カップのダンパーとスプリングは、サーキット前提のアイテムが組まれている。だが、ダブルウィッシュボーン式のフロントも、マルチリンク式のリアも、GT3のものとまったく変わらない。

2台で最も大きな違いといえるのが、トランスミッション。GT3では7速デュアルクラッチAT(PDK)が標準装備となるが、GT3カップには軽量な6速シーケンシャルMTが組まれている。

アグレッシブな容姿も、実はかなり近い。並べて駐車すると、エアロキットは公道用とサーキット用で大差はない。スワンネック状のアームで支えられたリアウイングも、大きく口を開いたフロントマスクも共通している。

GT3カップの方が、カタチをなぞりながら僅かにボリュームアップしていることも事実ではある。派手なスポンサーカラーで、少々認識しにくいけれど。

明らかな相違点は、カレラ4Sのボディから派生したGT3には備わらない、リアフェンダーに開けられたエアインテークだろう。GT3カップのボディは、911 ターボをベースとしている。目的は、エアフローをモータースポーツに最適化するためだという。

この続きは後編にて。

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