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40年不変“荒野のベーシックカー”乗り味は ロシアSUV「ラーダ・ニーヴァ」いよいよ変化へ

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40年不変“荒野のベーシックカー”乗り味は ロシアSUV「ラーダ・ニーヴァ」いよいよ変化へ

「ラーダ・ニーヴァ」ってどんなクルマ?

 世界のSUV人気を背景に新モデルも次々と登場するなか、なんと40年以上も前からクラシカルなデザインのまま、最新の2021年モデルも発売されているSUVが存在します。それが「ラーダ・ニーヴァ」、ロシアのクルマです。

【画像ギャラリー】「ラーダ・ニーヴァ」の内部&豊富なバリエーション

「ニーヴァ」は、1977(昭和52)年、旧ソ連のヴォルガ自動車工場(現アフトワズ)が「ラーダ」ブランドにて発売して以来、現在まで40年以上、ほぼ変わらずに生産され続けています。もっとも日本では「ラーダ・ニーヴァ」とブランド名まで含めて呼ばれることが多いです。

 モノコックボディに、フロントがダブル・ウイッシュボーン、リアが5リンク・リジッドのコイルスプリングという足回り、さらにデフロック、ハイ/ロー2段階の副変速機付きトランスファーを有する悪路に強いフルタイム4WDであり、誕生当時としては先進的なSUVでした。

 ボディタイプは、3ドアとそれを単純にストレッチした5ドア、ピックアップトラックの3種類。近年には、ウレタンバンパーやアルミホイールなどでアップデートしたグレード「アーバン」や、ハイリフト、ビッグタイヤなどでカスタムされた「ブロント」も追加されました。

 後継車として、イマドキなデザインの「ニーヴァ・トラベル」が発売されてからは、もとのニーヴァは「ニーヴァ・レジェンド」に改名されています。

「ラーダ・ニーヴァ」に乗ってみる!

 乗ってみると、当たり前ですが1970年代のプリミティブな乗り味。それも新車の状態ですから、タイムマシーンで70年代に戻ったかのようです。

 シートは柔らかで座り心地が良く、ストロークがあり粘る足回りのおかげで、乗り心地もしなやかで意外と良い。マニュアルシフトを駆使して非力なエンジンに頑張ってもらうと、決して速くはないですが、トルクがそれなりにあり、意のままに操れる……。

 何かに似ていると思ったら、初代フィアット「パンダ」です。それもそのはず。アフトワズの前身であるヴォルガ自動車工場は、1966(昭和41)年にフィアット124のライセンス生産から始まった会社であり、その技術やデザインが、ラーダ各車に受け継がれているからなのでしょう。実際、日本でニーヴァを購入する人には、初代パンダの元オーナーが多いそうです。

 アフトワズは現在、ルノー・日産アライアンスの一員です。そのため、ニーヴァは年々マイナーチェンジされ、品質が劇的に向上、乗り心地や操作感がなめらかに進化しています。パワーウインドウや電動調整ドアミラーなどの便利な装備も追加され、エアコンも日本の夏でも全く問題ないほど、キンキンに冷えるようになっています。

「ラーダ・ニーヴァ」はなぜ、こんなに長寿?

 なぜ、ニーヴァがこんなに長く生産され続けられているのでしょうか。

 ロシアの郊外では、国道をちょっと外れると道のない荒地が多く、冬にはマイナス20度にもなる厳しい土地。そんな場所で、猟や釣り、仕事などに出掛けるのに走破性が高く、壊れてもなんとか自分で修理できるほど簡素で、安価な庶民の足――ニ―ヴァは、そうしたニーズがある“荒野のベーシックカー”なのです。

 聞くところによると、プーチン大統領も猟に出掛ける時に使っているといいます。しかし実際には、モスクワなど大都市圏でニーヴァが走っているのは、ほとんど見かけません。

※ ※ ※

 このニーヴァ、実は日本でも買えるのです。東京・千駄ヶ谷の「ルパルナス」に取材したところ、このクルマのプリミティブな魅力に惹かれ、2010(平成22)年より200台以上も、ロシアからシベリア鉄道とフェリーで直輸入しているといいます。ルパルナスでの価格は、諸費用消費税オールイン乗り出し298万円 。

 ルパルナスでは納車前に、各部の点検、予防的調整、改良を施した上で、ユーザーに引き渡していますが、現代の新車といっても基本設計が古いため故障も少なくないといいます。しかも左ハンドルでトランスミッションもマニュアルしかないため、オーナーになるのは知識と覚悟が必要です。しかし、購入したオーナーの多くは、気がつけばニーヴァを難なく乗りこなす強者になっているようです。

 40年以上も続いたニーヴァにも、変革の時が近づいています。間もなく5ドアが生産終了、3ドアも2024年にフルモデルチェンジする予定なので、この稀有な存在の1台に乗りたいと思った方は、急いだほうがいいでしょう。

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