■上陸間もない「RS3セダン」に富士スピードウェイで試乗
アウディでは、サーキットでドライビングを存分に楽しんでもらう「Audi driving experience(アウディ・ドライビング・エクスペリエンス)」をはじめ、安全運転やスポーツ走行を学べる各種イベントを実施しています。
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なかでも、アウディ スポーツが開発した「R8」やRSモデルなど高性能モデルの卓越したパフォーマンスを堪能すべく、2016年にスタートした「Audi Sport Circuit Test Drive(アウディスポーツ・サーキット・テストドライブ)」は、毎年この時期、オーナー向けのイベントの翌日に、我々メディア向けにもアウディスポーツが手がけた高性能車をイッキ乗りできる機会が設けられるのが恒例となっています。
今回ドライブしたのは、400馬力の「RS3セダン」、645馬力の「RS e-tron GT」、620馬力の「R8クーペV10パフォーマンス」、600馬力の「RS6アバント」という4モデルです。
日本での発表は2021年11月27日と、上陸してまもない新型RS3についても、この日のために用意された貴重な1台に乗せてもらい、いちはやくその走りを味わうことができました。他モデルでは富士スピードウェイの本コースを2周のところ、RS3はアウトインの1周のみで、話題となっているドリフトモードも使用しないようにと伝えられたのですが、その刺激的な走りの片鱗をうかがいしるには十分でした。
新型RS3は、従来比で20Nm増の500Nmの最大トルクを発揮する2.5リッター直列5気筒ターボエンジンは、速さに加えて5気筒ならではのエキゾーストサウンドも独特です。さすがは9年連続でエンジン・パフォーマンス・オブ・ザ・イヤーに輝いたというだけあって、味わい深いエンジンです。
さらに、トルクスプリットを搭載していて、リアデフの左右にクラッチを搭載していて、ハンドリングも面白い。どれぐらいステアリングを切ってアクセルを踏んでいるかに合わせて積極的に後輪をベクタリングしているようで、小さな舵角のままグイグイと曲がっていくのは、ちょっと不思議な感覚です。4輪の駆動力を緻密に制御していることが伝わってきます。
今回はあっという間に入魂の1周が終わってしまいましたが、いつかぜひ話題のドリフトモードを試してみたいと思わずにいられません。
RS e-tron GTは、640馬力で830Nmというアウディ史上もっともパワフルなスペックを誇ります。
3チャンバーを備えたアダプティブエアサスと可変式ダンパーを標準装備し、ロールやピッチが巧みに抑えられていて、その走りは地を這うかのようにフラット。車高は90km/hでは11mm、180km/hでは22mm、自動的に低くなります。
リアモーターに2段の変速ギアを備えているのも特徴で、通常は2速で走行し、最高速が苦手とされるEVながらメインストレートではメーター読みで250km/h出ることも確認しました。
逆にドライブセレクトでダイナミックモードを選択すると、90km/hまで1速ギアを使うようになり、低速コーナーからの立ち上がりがより俊敏になります。
4WS機構も効いて大柄ながらクルマの動きに一体感があるので、車重が約2.3トンもあることを忘れてしまいそうですが、いかにもキャパの大きそうなブレーキがついているおかげで、減速時にも不安に感じることはありません。今回ドライブした4モデルのなかでも、一番乗りやすかったと感じています。
e-tron GTが出てから、すでにいろいろなシーンを走らせる機会があり、感心してきましたが、今回サーキットを全開で走らせて、あらためてとてつもないEVであることを思い知った次第です。
■圧倒的に高性能ながら乗りやすいのがアウディRSモデルの特徴
久々に乗ることができたR8は、他のクルマとぜんぜん雰囲気が違って、やはりスーパースポーツであることを感じさせます。
アウディの歴史上で唯一のミッドシップであり、貴重な5.2リッターという大排気量の自然吸気V型10気筒エンジンは9000rpm近くまで回り、グッと低いシートポジションの後方で轟くエンジンサウンドも迫力満点!
俊敏な回頭性とトラクションを極めた走りも、他のモデルとは一線を画します。それでいて、200km/hオーバーの世界でも極めて安定しているのに、スリリングな速度感は味わえるという、ちょっと不思議な感覚もあります。
R8は登場からだいぶ時間が経過していますが、まだまだアウディスポーツのフラッグシップとして君臨しつづけて欲しいと思わずにいられません。
そして、最後に乗ったのは最高出力600馬力で最大トルク800Nmの4リッターV型8気筒ツインターボを搭載する世界最強のワゴン、RS6アバントです。
かつてのV10ツインターボを凌ぐスペックのとおり、この速さもまた強烈です。
ただし、同じ600馬力級でも、RS e-tron GTやR8とはまた違った味わいです。過給機付き内燃エンジンを、しかも車両重量が2.2トンに達していながらも、富士スピードウェイの後半のテクニカルセクションでもまったく重さを感じさせない、意のままの走りを実現していることにも驚かされました。
こうしたボディ形状で荷物がタップリ積めるクルマでありながら、こんな走りができるなんて、本当に感心せずにいられません。さらには、48Vマイルドハイブリッドやシリンダーオンデマンドを搭載するなど、先進テクノロジーを駆使した環境への配慮が見られるのも特徴です。
※ ※ ※
富士スピードウェイでアウディRSの4モデルを全開で走らせてみて印象的だったのは、いずれも圧倒的に高性能でありながら極めて扱いやすく、非常に快適なままドライブできたということです。
600馬力級のとてつもないパワーを手の内で操れてしまう。ただし、じつは裏ではクルマが非常に高度なことをやっていて、それをけっしてひけらかさない。しかも、走っている姿がとても美しい。「Super Car に知性を。」というスローガンは、アウディスポーツの世界観をひとことで上手く表現していると思います。
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