■本当にマイチェンなの!? と思うくらい変更されたクルマたち
ほとんどのクルマは新型がデビューすると数年でマイナーチェンジをおこないます。理由はいろいろありますが、商品力をアップさせるためということが多いでしょう。
マイナーチェンジという呼び方からわかるように、通常は小変更にとどまりますが、時にはデザインやメカニズムが大きく変わることもあります。
そこで、マイナーチェンジで大変身した国産車を5車種ピックアップして紹介します。
●三菱「デリカD:5」
三菱「デリカD:5」は、ミニバンでありながら本格的な4WDシステムを搭載し、優れた悪路走破性を持つ唯一無二のSUVミニバンです。発売は2007年で、じつに12年ものロングセラーなモデルとなっています。
アウトドア好きのファミリー層に絶大な人気を誇っており、当初はガソリンエンジンだけでしたが、ディーゼルエンジンも加わり、人気に拍車を掛けました
しかし、それほどアウトドアに興味がないユーザーからは、悪路走破性よりも日常の使い勝手やデザインなどが優先されるため、日産「セレナ」やトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」のようなモデルが売れているわけです。
そんな状況を打破するべく、デリカD:5は2018年11月に大規模なデザイン変更がおこなわれました。これまでのオフロードをイメージさせるアクティブな印象から、都会的な重厚感をもたせたフロントフェイスに変わります。
また、パワーステアリングシステムの変更や静粛性を向上させ、走りの質もアップさせました。
このマイナーチェンジについての評価は賛否両論ありましたが、ガソリン車のみ従来型も併売しているので、選択肢は残されています。
●トヨタ「プロボックス/サクシード」
トヨタを代表するビジネスカーといえば「ハイエース」と「プロボックス/サクシード」です。どちらも発売から15年をオーバーするロングセラーですが、一般的に商用車はフルモデルチェンジのサイクルが非常に長く、マイナーチェンジが2年から3年ごとにおこなわれます。
そして、2002年に発売されたプロボックス/サクシードは、発売12年となる2014年にマイナーチェンジとは思えないほどの変更を受けることになりました。
それまで、プロボックスとサクシードは前後のデザインと、内装の装備、積載量、全長が異なっていましたが、マイナーチェンジ以降はエンブレム以外統一されます。
そして、フロントフェイスと内装のデザインは、一新されました。内装は先代以上に使う人に寄り添うアイデアが盛り込まれ、ほかにも衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備も搭載。
また、2018年8月にはハイブリッドモデルもライナップに加わりました。
プロボックス/サクシードは発売から17年も経ちますが、大規模なマイナーチェンジを受けたことで、まだまだ現役でいられそうです。
●スズキ「SX4 Sクロス」
スズキ「SX4 Sクロス」は、迫力のある外観のデザインや広い居住・荷室スペースを備えたクロスオーバーSUVです。
国内デビューは2015年で、スズキのハンガリーの子会社であるマジャールスズキ社で生産し、日本では輸入車として販売されました。
4WD車には、スズキ独自の4WDシステム「ALLGRIP(オールグリップ)」が採用され、さまざまなシーンで優れた走破性と走行安定性を実現しています。
そして、発売からわずか2年後の2017年に、フロントフェイスの大幅変更がおこなわれました。ヘッドランプ、フロントバンパー、フロントグリル、ボンネットフードの意匠が一新され、まったく別のモデルというくらいの印象になりました。
なお、2019年4月のマイナーチェンジでは、ミリ波レーダー方式の衝突被害軽減ブレーキが搭載されるなど、安全装備が充実しています。
■押し出し感が足りなかったビッグセダンとは!?
●レクサス「CT200h」
現在、レクサスのエントリーモデルとして販売されている5ドアハッチバックの「CT200h」は2011年に発売されました。
CT200hはハイブリッドのみのプレミアムコンパクトという位置づけで、パワートレインなどのコンポーネントの多くとシャシを「プリウス」などと共有していますが、内装や走りの質感はレクサスならではのものとなっています。
そして、発売から3年後の2014年に、ビッグマイナーチェンジがおこなわれ、フロントフェイスが一新されました。
もともと、フロントグリルが上下2段に別れたデザインから、現在のレクサス車のフェイスデザインに共通している「スピンドルグリル」が適応されます。
CT200hはレクサスのラインナップのなかでも小型な部類なので、スピンドルグリルが似合うかといと、賛否両論がありそうです。
●ホンダ「レジェンド」
初代ホンダ「レジェンド」は北米市場向けブランド「アキュラ」のフラッグシップセダンとして1985年に登場しました。現行モデルは2014年にモデルチェンジされた5代目です。
特徴的なのがパワートレインで、314馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒エンジンと、7速DCTに47馬力のモーターを内蔵して前輪を駆動し、左右のリアアクスルにはそれぞれ37馬力のモーターを搭載することで、システム最高出力は382馬力を誇ります。
このハイブリッドシステムは「NSX」のものと構造は同じで、前後逆にレイアウトしたカタチです。
2018年のマイナーチェンジでは、4輪の駆動力制御やボディの熟成をおこない、高速道路走行時にドライバーの疲労軽減を実現する「トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)」を追加しました。
同時に、フロントフェイスが一新され、それまでのスポーティなイメージから、押し出しや重厚感のあるフロングリルに変えられます。
後から押し出し感を出す同様な手法は、歴代のレジェンドで何度か実施されましたが、最初から押し出し感を重視しないのが理解しがたいところです。
※ ※ ※
マイナーチェンジで大幅に見た目を変更するのは、テコ入れといわれます。つまり、多くは販売が芳しくない状況となっているケースです。
テコ入れで販売状況が好転すればよいですが、必ずしもそうならないのが難しいところで、新型車の開発費に比べれば安いとはいえそれなりのコストが掛かりますから、メーカーも重要な経営判断に迫られるということでしょう。
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