ベスト・ドライバーズカーだった初代
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
【画像】最新BMW M4と2シリーズ 競合のコンパクト2ドア2+2クーペも 全118枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
F22型の初代2シリーズで、ベスト・ドライバーズカーと呼べる見事なクルマを完成させたBMW。2代目となる次期型も、技術的な仕様に大きな変更が与えられる可能性は低かった。
新しい2シリーズの中で、4ドアのグランクーペは前輪駆動で横置きエンジンのプラットフォームを採用する。だが、BMWでドライビング特性を取り仕切る技術者のヨス・ヴァン・アスによれば、2ドアクーペでの利用は視野になかったという。
ミュンヘン郊外にあるBMWの試験施設で、プロトタイプを目の前にしながら生粋のクルマ好きでもある彼が話す。もし次期型が期待通りのパフォーマンスや操縦性を得ることができなければ、新しい2シリーズ・クーペは生き残れないと。
特に興味深かったのが、新しい2シリーズ・クーペの開発は最新のZ4と並行して進められた、ということ。実際、この2台はエンジンなどのパワートレインや、CLAR(クラスター・アーキテクチャ)と呼ばれるプラットフォームを共有する。
フロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式となるサスペンションも共通。「2台でシェアできる部分は沢山あります」。とヴァン・アスは説明する。
「2シリーズ・クーペでは、ボディ剛性を最大40%も先代から向上させています。ステアリングの精度などで、大きな違いが生まれる数字です。ステアリングラック周辺の剛性も高まりますから」
「フロントサスペンションも新しく、ネガティブキャンバーの角度を強めることも可能になりました。実感できると思いますよ」
従来的なロングノーズの3ボックス
試験の真っ最中となる、プロトタイプへの試乗を許された英国編集部。全体のプロポーションは従来的なロングノーズを備えた、3ボックスを形成している。偽装は厚く、最新のBMWらしい何かを感じ取ることはできない。
明らかにわかることは、次期2シリーズ・クーペがひと回り大きくなっていること。ホイーベースは初代から51mm長くなり、トレッドはフロントで52mm、リアで31mmも広げられている。
複雑な模様の入ったボディをよく観察すると、ホイールアーチが広がり、フェンダーラインもふくよかになっていることがわかる。ヴァン・アスによれば、19インチのホイールまで用意されるという。
BMWは、4種類の2シリーズ・クーペを英国では提供予定とのこと。エンジンによって後輪駆動と四輪駆動が選べる。220iと220d、230iとM240i xドライブの4種類がやって来るらしい。225iも存在するものの、英国に来るかは不明だ。
後輪駆動の230iには、B48型2.0L 4気筒ターボガソリン・エンジンを搭載。最高出力は248psが与えられる。
今回試乗したM240i xドライブには、B58型の3.0L 6気筒ターボガソリン・エンジンが載る。次期M2の登場までは、新しい2シリーズ・クーペのトップ・パフォーマンスの座に着くことになる。
M240i xドライブの最高出力は379ps。先代比で19psパワーアップしており、M2コンペティションと比べると、31psの差にまで詰めている。
少しの運転でわかるエンジンやATの優秀さ
今回の試乗では、チャレンジングなドイツ郊外の道と、ガラガラのアウトバーンで完成前のM240i xドライブを味見させてもらった。正式な発表は、6月初めへと迫っている。ちなみに次期M2は、2023年の発売が予定されている。
2シリーズ・クーペの車内に乗り込むと、BMWらしい馴染み感のあるインテリアが迎えてくれる。ほとんどの部分が、厚い布で隠されていたけれど。
ダッシュボードやメーターパネル、中央に据えられるタッチモニターや周辺の操作系、内装トリムなど、主要部分のデザインは2シリーズのグランクーペと近似しているようだ。着座位置は低く、運転姿勢は丁度いい。
BMW製の6気筒エンジンは改良を受け、驚くような二面性が与えられている。パワーアップしていながら、滑らかで扱いやすいという特長は変わらない。軽快に吹け上がりつつ、最大トルクは50.6kg-mとたくましい。
ほかの4気筒エンジンを積んだライバルには届かないような、非常に幅の広い動的性能を獲得している。少し運転しただけで、素晴らしいエンジンだと気付くほど。
今回のプロトタイプに組まれていたトランスミッションは、先代のアップデート版となる8速AT。こちらもエンジンと同様に、ドライブモードに関係なく、驚くほど滑らかに素晴らしい変速を決めてくれる。
BMWはまだ最高速度などの数字は明らかにしていない。少なくとも0-100km/hまで4.5秒位で加速し、249km/hでリミッターが掛かることは充分予想できる。
ステアリングもサスペンションも明確に進化
新しい2シリーズ・クーペは、間違いなくドライバーへ喜びを与えてくれるだろう。現行のM2のような、研ぎ澄まされたエッジ感まではない。でも、それに匹敵するほど速い。
BMWが次期2シリーズ・クーペで特に注力した部分が、サスペンションまわり。ブレース類が追加され、新しい4シリーズ・クーペのものと似た構造を得ている。そのメリットとして、従来以上に楽しめる操縦性を得ていると感じた。
M240i xドライブのオンロードでの質感は、とてもバランスが高く魅力的。路面変化が大きい区間でも、見事な姿勢制御を叶えている。
Mスポーツ・サスペンションらしく、典型的な硬さはある。しかし、乗り心地を犠牲にしているほどではない。スポーティなドライブモードを選んでも、充分しなやかさは残されている。
M240iにはオプションで提供される、高性能なアダプティブダンパーの効果も大きいだろう。サスペンションまわりにはアルミニウムが多用され、細かな揺れも巧みに処理することには感心した。
さらに目に見えて進化したといえそうなのが、ステアリング。明確に精度が向上しており、ステアリングホイールの重さは、切り始めから一定度を高めている。ネガティブキャンバーが強められ、ターンインの積極性も身に着けている。
四輪駆動システムは、常にリアタイヤが主導となるように駆動力を分配。電子制御のデフも備える。グリップ力は高く、路面が濡れていてもコーナリングスピードは息を呑むほど高次元だ。
クルマと極上な一体感が得られる
M240i xドライブはとても自然な挙動で、自信を持ってコーナリングできる。クルマと極上な一体感が得られることを、保証しよう。
ドライブモードには、エコ、コンフォート、スポーツなどが用意され、ステアリングのアシスト量やアクセルレスポンス、トランスミッションの変速マナー、アダプティブダンパーの特性などを変えられる。
この中で筆者がベストだと感じたのは、アダプティブ・モード。郊外の道をハイペースで駆け抜けて、市街地に入り速度を落とすと、ステアリングやスロットル、8速ATやダンパーの特性が自動的に穏やかになる。
混雑を抜けて開けた道に入り、アクセルペダルを踏み込めば、再びスポーティな設定に復帰する。この幅の広い特性が、2シリーズ・クーペの訴求力を高めている。
細部まで初代2シリーズ・クーペのように感じられたということも、重要なポイントだろう。それでいて、走りの積極性は高められている。
現在BMWは、メキシコ・サンルイス・ポトシ工場での生産準備に慌ただしい。すべての2シリーズ・クーペは、そこで生産されることになるそうだ。
最終的に新しいBMW 2シリーズ・クーペの特長を見極めるには、2021年後半の完成を待つ必要はある。英国では、年内には発売が開始される予定。期待してメキシコからの到着を待っていよう。
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みんなのコメント
わかりやすいが良さは伝わりにくい
このまんまで何故か成田ナンバーやった。
台東区走ってたけど、BMWだったんだ。
小さいからホンダシビックか何かかと思った。