この記事をまとめると
■ホンダが2021年に販売を終了した5代目オデッセイを一部改良して販売を再開させた
中国産のオデッセイにタイ産のトライトン! 海外生産の日本車の「品質」を心配する声もあるが実際どうなのか?
■グレードはアブソルート、パワートレインは2リッターエンジン+モーターのe:HEVのみの展開
■復活したオデッセイの最大のハイライトは2列目シートの快適性の向上
2年ぶりにオデッセイが日本に帰ってきた
1994年に誕生し、日本の多人数乗車、ミニバンのパイオニアの1台として君臨してきたのがホンダ・オデッセイ。その歴史は2013年11月に登場した、オデッセイ初の両側スライドドアを備えた5代目まで続いた。しかし、2021年12月24日、クリスマスイブの日についに生産終了。2022年9月には在庫が完売し、オデッセイの28年もの長い歴史、長い冒険旅行(オデッセイの意味)に終わりを告げたのだった。
が、歴史あるオデッセイゆえに多くのファンを持っていることから、復活が熱望されていた。ホンダがその要望に応え、5代目の一部改良モデルのオデッセイが、ついに2023年12月7日に発表、12月8日に再発売されることになった。
今回のオデッセイは中国の広汽本田汽車で生産される5代目一部改良モデルの逆輸入車となり、全長4860×全幅1820×全高1695mmの基本ボディ、ホイールベース2900mmのプラットフォーム、パワートレイン、パッケージなどは基本的に日本仕様の5代目を踏襲。が、もちろん、しっかりと改良が行われた最新モデルとなる。
グレードは人気かつ販売の主力だったアブソルート、パワートレインは2リッターエンジン+モーターのe:HEVのみの展開。スペックはエンジン145馬力/6200rpm、17.8kg-m/3500rpm、モーター184馬力/5000-6000rpm、32.1kg-m/0-2000rpmという、ホンダのHVではおなじみの内容だ。WLTCモード燃費は最高19.9km/Lとなる。
タイヤサイズはベースグレードのe:HEV ABSOLUTEが215/60R17。中間グレードのe:HEV ABSOLUTE EX、および新設定のブラッククロームメッキのフロントグリル、ブラックスモークレンズのリヤコンビランプ、マットベルリナブラック仕上げのアルミホイール、ブラックのルーフ/ピラーライニングなど、内外装の随所にブラック加飾を施した、一段と精悍なe:HEV ABSOLUTE EX BLACK EDITIONが225/50R18となっている。
すでに説明したように、基本ボディ、インパネ、シートなどのデザイン、パッケージ、室内空間は日本仕様の5代目と同じ。しかし、新しさもちりばめられていて、エクステリアではフロントグリルを一新。上部のメッキ面積を減らし、開口部を大きく取り、ノーズに突き出たエンブレムとすることで、迫力と高級感をUP。
受注段階で60%以上の受注率というe:HEV ABSOLUTE EX BLACK EDITIONは、専用のスモークレンズ、ベルリナブラック(マットブラック)の18インチアルミホイール、エンブレム、ブラック基調のインテリアのピアノブラック加飾などが特徴となり、プラチナホワイトパールのボディではそのブラックパーツが際立ち、2色あるブラックボディ(プレミアムヴィーナスブラックパール/フォーマルブラック)ではアブソルートの迫力、精悍さを一段と増すことに成功している印象だ。
機能面では減速セレクター(パドルシフト)をe:HEVオデッセイとして初採用したほか、シフターをホンダの最新モデルに用いられているボタン式エレクトリックセレクターに変更。
ミニバンの特等席である2列目席が大幅進化
そして、最大のハイライトと言えるのがミニバンの特等席となる2列目席。5代目オデッセイの特徴とも言えた、ふんわりしっかりと体をサポートしてくれる極上のかけ心地、快適感が味わえた170度リクライニング、中折れ機構、オットマン付きのプレミアムクレードルシートの基本はそのままに、全タイプに4ウェイパワーシート(オットマンとリクライニング操作のみ)を標準化。
ミニテーブル付きアームレスト、折り畳み式シートサイドテーブル(右側席サイドにセット)、シートヒーター、足もとのUSBチャージャー(type-C×2)も備わっている。
また、e:HEV ABSOLUTE EX、e:HEV ABSOLUTE EX BLACK EDITIONは本革シート、ワイヤレス充電器、ハンズフリーアクセスパワーテールゲートなども備わり、5代目オデッセイの商品価値を一部改良で一段と高めたことになる。
ただし、6代目ステップワゴンe:HEVモデル同様に、車内でノートPCを充電でき、車内外で家電品が使えるAC100V/1500Wコンセントの装備は見送られている(泣/USB PDチャージャーはアクセサリーとして用意)。
ちなみにセンターディスプレイ&ナビゲーションは、ホンダ純正アクセサリーのギャザズナビのホンダコネクト対応11.4インチと9インチの3タイプが用意されている (先代は最大10インチ)。画面サイズの拡大もポイントだ。※工場オプションのナビはない。
ホンダの国内販売車の多くに採用されている新世代コネクテッド技術のHonda CONNECTもオデッセイとして初採用。Honda Total Careプレミアムの加入で緊急サポートセンターのサービス(緊急通報ボタン、トラブルサポートボタン)から、スマホを使ったリモート操作のドアロック&アンロック、リモートエアコン、自動地図更新、クルマを探す機能などを基本パックとして月額550円(税込み/初回申し込みから12カ月は無料)で利用できるほか、追加オプションサービスとして車内Wi-Fi(月額330円/1G)などの便利機能を使いこなすことができる。
日本仕様の5代目オデッセイで気になる人は気になった、電子パーキングブレーキの作動、つまり解除はアクセルONで行えるものの、かける際はスイッチ操作、それも一般的な方向とは逆の操作になる点はそのままだ。一方で、ホンダ車としてはヴェゼルから採用された、オートブレーキホールド機能のメモリー機能はついに実現している!!(祝)
2021年の生産終了から約2年。先進運転支援機能は日進月歩で進化しているわけだが、ホンダセンシングも最新版を用意。先代の単眼カメラ+レーダーから、100度の広角カメラ+ソナータイプにアップグレード。ソナーのおかげで対象物が拡大し、夜間を含む歩行者、自転車運転者、ガラス(コンビニなどの窓)に対応。オートハイビーム、近距離衝突軽減ブレーキなどもこれまでのオデッセイになかったホンダセンシングの機能である。
さて、2020年末に最後のビッグチェンジを行った日本仕様のオデッセイに試乗した記憶を蘇らせながらこのオデッセイに乗り込んでみると、運転席、1列目席からの眺めはボタン式のエレクトリックセレクターぐらいの違いでしかないものの、2列目席キャプテンシート(今回はベンチシート仕様なし)に着座してみると、違いは歴然。一部の電動化はもちろん、アームレスト、ミニトレー、折り畳み式テーブルの高級感が新しい。
記憶ではシート表皮下に20mmほどのウレタン層を用いたシートによるソファ感覚のかけ心地の良さも健在で(フレーム、クッションなどは不変)、2列目席の居心地の良さはなるほどレベルアップ。本革シートだと硬めのかけ心地になる上級キャプテンシートがほとんどだが、このプレミアムクレードルシートを基本とした新シートは、本革使用でもやはり一流であることを再確認。ぜひ座ってその快適度を味わってほしいものだ。
価格は全車e:HEV、FF、2列目キャプテンシートの7人乗りで、e:HEV ABSOLUTE 480万400円。本革シートを奢るe:HEV ABSOLUTE EX 500万600円。すでに人気NO.1のe:HEV ABSOLUTE EX BLACK EDITIONが516万4500円となる。
とくにホワイト、ブラックのボディカラーを選択するなら、装備的にはEXと同等ながら、内外装の随所にブラック加飾を施し、一段と精悍な佇まいを演出してくれるe:HEV ABSOLUTE EXのBLACK EDITIONがイチオシだと思える(だから現在、人気NO.1なのだろう)。
いずれにしても、オデッセイの復活は、ホンダファン、オデッセイファンならずとも、国産上級ミニバンの選択肢を広げてくれる意味もあり、大歓迎すべきことではないだろうか。
このあと、ホンダ・オデッセイとステップワゴンのパッケージ、2列目席のヘッドクリアランス、ニースペース比較、2021年当時の最終モデルの試乗から予測する最新のオデッセイの走り、さらにホンダアクセスが提供する純正アクセサリーなどについても報告する予定だ。
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古すぎる。