メルセデス・ベンツ日本は2016年6月2日、最高級ロードスターの「SL」をマイナーモデルチェンジして発売を開始した。今回は内外装の意匠を刷新したほか、最新世代の3.0L直噴ツインターボエンジンや電子制御9速ATの9G-TRONICを新たに搭載。ABC(アクティブ・ボディ・コントロール)サスペンションにダイナミックカーブ機能を導入したこともトピックだ。
エクステリアではフロント部を中心に、その特徴をより鮮明に強調するデザインに刷新した。インテリアではアンビエントライトを備えて、エモーショナルな雰囲気を演出。ダッシュボード上部をドアのベルトラインと一体化し、円形エアアウトレットを4個配備したデザインでスポーツ性を強調。マルチファンクションステアリングには軽量なマグネシウム材を採用して操作性を向上している。
エンジンラインアップも変更され、4つのユニットが用意されることになった。注目はSL400に搭載される3.0Lの直噴ツインターボV6エンジンで、最高出力270kW(367ps)/最大トルク500Nm(51.0kgm)というパフォーマンスと環境性能を高いレベルで両立している。さらに4.7LのV型8気筒直噴ツインターボエンジンをSL550に搭載。AMGブランドを冠したSL63には5.5LのV型8気筒直噴ツインターボ、同じくSL65には6.0LのV型12気筒ツインターボエンジンが搭載される。
そして今回SLに初めて、電子制御9速オートマティックトランスミッションの9G-TRONICが採用された。ダイナミックなレスポンスによる爽快なドライビングフィールと滑らかで俊敏な変速を行うとともに、ひとつのギヤが受け持つ速度域が狭くなるため、変速ショックとエンジン回転数の上昇が抑えられ、静粛性と省燃費の両方を高いレベルで実現する。
また従来からの「ダイナミックセレクト」はSL400とSL550に標準装備。これは選んだモードに応じて、エンジン/トランスミッション/エンジンサウンド/サスペンション/ステアリング制御、ECOスタートストップ機能の有無が変化。ダイナミックカーブ機能がONになる「Curve」、快適性と燃費性能を優先する「Comfort」、スポーティな「Sport」と「Sport+」が選択可能だ。さらに「Individual」では好みで自由に設定して、オリジナルのモードがカスタマイズできる。
次にSL63とSL65に標準装備されるのが「AMGダイナミックセレクト」。センターコンソールのスイッチですべてのセッティングが変更できるが、前述した「ダイナミックセレクト」の各モードに加えて、サーキット走行のためにすべてのパラメーターが変化する「RACE」を、SLとしては初めて搭載している。
ABC(アクティブ・ボディ・コントロール)サスペンションは、走行性能、走行安定性、快適性を飛躍的に向上させるデバイスだ。発進・加速・減速・旋回時などに発生する車体の動きと、乗員を含めた車両重量を感知して、4輪それぞれの コイルスプリングの作動を瞬時に電子制御。車体のロールを低減し、フラットな車体姿勢を保ってコーナーを駆けるダイナミックな操縦性と、マイルドで快適な乗り心地を高次元で両立させる。
さらに今回、コーナリング時に車両が内側に傾く「ダイナミックカーブ機能」をSL400とSL550に新たに搭載。ステレオマルチパーパスカメラがコーナーを検知し、コーナー内側の車高を下げて外側を持ち上げることで、自動的に瞬時に車両を制御。コーナリング時でも乗員はより安定して座っていることを実現。かつてない爽快なコーナリング体験だと自負する。
なお今回の新型から、ルーフの開閉を走行速度が約40km/hまで継続して行なうことが可能となった(ただし開閉を開始できるのは停車時のみ)。またルーフを開ける際にトランク内のカバーが自動で動くようになったことにより、いつでもワンアクションでバリオルーフを開閉できるように進化している。
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