地域ごとに異なる?バイクの変わった呼び名とは
ひとくちにバイクと言っても、その呼ばれ方にはさまざまな言葉が存在します。特定のモデルを指すザリやゴキ、ゼッペケやゼッツーなどの愛称を耳にする機会は多いかもしれませんが、バイク自体を指す地域ごとの呼び名は、知らない人も多いのではないでしょうか。
バイクの呼び名の違いは単に方言や地域性に起因するものではなく、地域ごとの文化やバイクに対する親しみ、さらにはバイクの歴史までもが反映された結果と言えます。
各地で呼ばれているユニークな名称は、そこに暮らす人々の想像力やユーモアのセンスを映し出しています。また、その地域の文化や歴史を色濃く反映しているものや、バイクの特徴やエンジン音、外見などからインスピレーションを得たものが地域特有の言葉を通じて形になったものも多いようです。
では、具体的にどのような呼び名が存在するのでしょうか。由来や背景について深堀りしていきながら、日本の多様なバイク文化の一端に触れていきましょう。
たとえば静岡県では、バイクや原付などの二輪車を「ポンポン」という独特な愛称で呼ぶことがあります。これは浜松の方言、すなわち遠州弁。どうやら、かつて浜松地域で製造されたバイクのエンジン音が関係しているようです。
「ポンポン」と呼ばれるようになったのは、本田技研工業の創業者である本田宗一郎氏が1946年に開発した自転車用補助動力エンジンと、その後1947年に販売した「ホンダA型」の排気音が由来と言われています。
当時、この製品はエンジンの騒音から「バタバタ」とも呼ばれていましたが、浜松市民の間で新たに「ポンポン」という呼称が生まれ、原付や自動二輪車一般を指す言葉へと変化したようです。
また三重県では、「バタ」や「ゴンタ」が原付の愛称として用いられることがあります。これらの言葉は、主に年配の方々が使用するケースが多いことから、バイクが誕生し身近な存在になっていった変遷を感じられそうです。
さらに関西地方に目を向けると「ゴキ単」「ババ単」「ジジ単」「パッツン」という言葉を耳にすることがあります。これらは警察が使用する原付を指す言葉で、その独特なデザインや使われ方から生まれたとされる呼び名です。
言葉の起源については諸説あり、暴走族を取り締まるために導入された覆面車両「黒バイ」の小回りの効いた動きをゴキブリにたとえた説や、「ゴキ」の俗称で知られるスズキのGSX400Eが由来とされる説などが考えられます。
ババ単やジジ単などは、高齢者が乗る単車を略したものと言われています。しかしこれらの呼び名は地域や年代、コミュニティーで異なることが多く、なぜそう呼ばれるようになったのかはわからないものの、言葉だけ残っているケースがほとんど。仲間内で使っていたスラングが徐々に広がっていき、地域全体まで影響を及ぼしたのだろうと推測されます。
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それぞれの地域で異なるバイクの呼び名が存在することは、バイクが地域社会に大きな影響を与えてきたことを物語っています。
バイクの愛称やあだ名を知ることは、各地域の特色や文化を理解するひとつの方法であり、その地域の人々とのコミュニケーションを深めるきっかけにもなるでしょう。地元以外をツーリングする際は、こうした文化の違いに接してみるのもおもしろいかもしれません。
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