クルマにはさまざまな単位の「1」があり、また、その「1」の違いが大きなものなのかもクルマやスペックなどによってさまざま。燃費、ホイール、最高出力……クルマのいろんな「1」の違いが大きいのか、小さいのか? に迫ります!(本稿は「ベストカー」2013年8月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:渡辺陽一郎、国沢光宏、編集部
最高出力1ps ホイール1インチ…… ぶっちゃけそんなに違うんか? クルマ界 いろんな「1」の違い【10年前の再録記事プレイバック】
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■最高出力「1ps」の差
共同開発車の日産デイズ
●デイズ/eKワゴンのパワーは49ps。もう1psあれば50psだが…販売面で不利になってないか?
今、ノンターボの軽自動車の最高出力は50ps以上が当たり前のなか、デイズ/eKワゴンは49psとやや非力。あと1psプラスの50psにすれば、販売面の印象がよくなりそうだが、実際セールスマンはどう思っているのか? 三菱ディーラーに聞いた。
「確かに、詳しいお客様には他車やi(アイ)より馬力が低いことをご指摘いただいています。ただ、今のところ試乗されたお客様からは力がないといった話はございません。今は49psというスペックが営業上で不利に感じることはないですね」
最近は馬力よりも燃費の数値を気にするお客さんが多いそうで、1psの違いは以前ほど大きくないのかもしれない。
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■燃費「1km/L」の違い
トヨタ オーリス
●オーリスは燃費が1km/L向上するOPのアイドリングストップを装着したほうがいい?
オーリスは1.5Lエンジン搭載車に5万4600円でアイドリングストップを設定する。装着するとエコカー減税が50%から75%に向上し、減税額が3万5000円増える。この金額を差し引けば、装着車は約2万円の負担増加だ。
JC08モード燃費は非装着車が18.2km/L、装着車は19.2km/Lだから、ちょうど1km/Lの違いになる。
実用燃費をJC08モード85%、ガソリン価格を150円/Lとすれば、非装着車の1万km当たりのガソリン代は9万6700円、装着車は9万2000円だ。1万km当たり4700円の差額になる。
約2万円の実質差額は約4年で埋まると思えるが、実は違う。ネッツ店によれば、非装着車のバッテリーは2万1630円、装着車は容量が大きく3万7800円。差額は1万6170円で、3年ごとに交換すると1年当たりの負担は5390円だ。
1年に1万kmを走って4700円を節約しても、バッテリーの価格差で帳消し。アイドリングストップ車は割高だ。(渡辺)
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■ホイール「1インチ」の違い
86のGTグレードは17インチ装着
●例えばトヨタ86の「G」の16インチと「GT」の17インチの走りの違いは?
タイヤサイズの場合、ホイールサイズの差より銘柄の差のほうが大きい。一般的に16インチタイヤは燃費や乗り心地など重視したECOタイヤ&コンフォートタイヤ。17インチタイヤになるとスポーティさを重視したタイヤになる。
当然のごとくトレッド面の硬さやコンパウンド、サイドウォールの「しなり」まで違う。
したがって16インチタイヤと17インチタイヤを乗り比べたら、誰でも明確にわかることだろう。ただ17インチに乗り心地指向を、16インチにスポーツタイヤを選んで乗り比べれば、評価は逆転するから面白い。
まったく同じような特性を持つタイヤであれば、サーキットなどで乗り比べすると判別できます。(国沢)
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■ATの「1速の数」の違い
プレマシーのSKYACTIV搭載車のATは6速を搭載
●トヨタのクラウンなどの8速AT、日産のフーガなどの7速ATの性能の差は大きいの?
7速と8速の差は乗っていても“ほぼ”体感できない。
走り出したらあっという間に3速くらいまで入っちゃってますから。そもそも多段化はアメリカなどで表示される「高速燃費」をよくするために有効。
パワーに余裕あるクルマだとTOPギアのレシオを高くしたほうが燃費よくなるのだった。そうなると街中燃費モードで使えるギアが少なくなってしまう。5速ATで巡航用に1速分を確保すると、燃費計測は4速しか使えない。
したがって今やパワーのないクルマでも6速が最低レベル。だからこそSKYACTIVは6速ATになった(5速と6速の差は明確)。
トルクに余裕あったり、過給エンジンであれば低い回転域を使いたいため、7速程度のギアが欲しくなる。7速AT、現在パワフルなエンジン積むクルマの標準的なギア段数といっていい。
8速になればどうか? 文頭に書いたとおり「体感できない」。燃費の差も2~3%。これまた走り方による差で上下しちゃいます。(国沢)
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■乗車定員「1名」の差
トヨタ ウィッシュ
●ウィッシュなどのミニバンは7名乗車と6名乗車があるが、その違いは大きいか?
ウィッシュで最上級の2.0Zは、2列目シートがセパレートタイプ。
両側にアームレストが付いて座り心地が向上し、中央は通路になるが、ベンチタイプと違って3名掛けは不可能だ。なので乗車定員が7名から6名に減る。
いっぽう、ヴォクシーは2列目がベンチタイプでも、乗車定員はウィッシュよりも1名多い8名だ。3列目に充分な幅があり、2列目と同様に3名が並んで座れる。だから1名増えたが、重要性は使い方次第で変わる。(渡辺)
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■開発者にとっての「1の違い」とは?
「置かれた状況によって、1という数値の持つ重さは大きく変わってきます」とは、元初代レクサスIS開発責任者の福里健氏。
「例えば、全幅が1797.5mmのクルマは0.5mm違うだけで、表記は5mm刻みのため、1800mmになるか1795mmになるか大きい違いがあります。国内販売だったら立体駐車場に入れやすく感じる1795mmにしたいし、海外で売るなら1800mmにしたい。
そんな場合に、1mmをどっちに振り分けるのか、凄く難しい決断が必要になってきます。このように小さな差がすごく大事な場合がありますが、逆にどうでもいい場合もけっこうあります」
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■燃費差「1.0km/L」の同車種はどっちが買いなのか?
●レクサスGS350 Fスポーツ(9.8km/L) VS レクサスGS250 Fスポーツ(10.8km/L)
レクサスGS
燃費や経済性を気にするなら、低価格で手に入るISハイブリッドを選ぶべきだ。むしろ気にすべきは90万円の価格差。GSは2.5Lと3.5Lのエンジン差額を約80万円としている。Fスポーツの差額は90万円だが、3.5Lには4輪操舵のLDHが備わる。この高度な機能が10万円で付けば安い。燃費の差ではなく、LDHの割安感で350Fスポーツが買い得だ。
●日産ラフェスタハイウェイスターG(16.2km/L)VS 日産ラフェスタハイウェイスターGスプレモ(15.2km/L)
日産ラフェスタ
Gは15インチタイヤだが、Gスプレモは17インチで1km/L低下した。Gに16インチをオプション装着しても1km/L下がる。Gスプレモは26.1万円高いが、専用の17インチタイヤを履いてシートは本革。買い得ではないが、最上級が欲しいユーザーには燃費が悪化しても魅力だろう。ただし17インチは乗り心地が硬い。ベストなのはGに16インチを履くことだ。
●トヨタヴィッツ1.0F(20.8km/L)VS トヨタヴィッツ1.3Fスマート・ストップパッケージ(21.8km/L)
トヨタヴィッツ
燃費以前にヴィッツの1Lはダメ。車両重量に対して動力性能が不足し、ノイズも騒々しい。登坂路の多い地域の販売店では、顧客に1Lは避けるよう伝えている。価格差をF同士で比べると9.5万円だが、1Lは後席が分割可倒にならず実質7.5万円の違い。1気筒+300cc増える1.3Lが買い得だ。スマートストップパッケージは横滑り防止装置も付いて安い。
●ホンダストリーム 2L車(14.2km/L)VS ホンダストリーム 1.8L車(13.2km/L)
ホンダストリーム
2Lが14.2km/Lで、1.8Lが1km/L低い13.2km/L。1.8Lは面目丸つぶれだ。2Lが魅力的に思えるが、今ストリームを買うマニアは1.8Lを選ぶ。ATは2LのCVT(無段変速)に対して1.8Lは5速。そのために燃費で不利になったが、有段ATの変速感覚がストリームにはピッタリだ。減税対象外でもあり、割安感は抜きに楽しみたい。
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■約1万円の差のライバル対決、どっちがお薦めか?
●スズキアルト F 4AT(80万8500円)VS ダイハツミライース D CVT(79万5000円)
ダイハツの販売店では「ミライースDはまったく儲けがない」と嘆き、スズキでは「依然としてアルトFの人気は根強い」と言う。ミライースDは集中ドアロックも付かず超不便。アルトFは4輪ABSがオプションなのは要注意だが、キーレスエントリーやCDオーディオまで標準装着される。私のような最廉価グレード・フェチな人を除けば、どう考えてもアルトFが魅力だ。
アルトがお薦め!
●日産セレナハイウェイスターS ハイブリッド(259万8750円)VS ホンダステップワゴンG インターナビEセレクション(258万3200円)
ミニバンは競争が激しく、相手を見据えてグレードを設定する。ステップワゴンのインターナビEセレクションは、セレナSハイブリッドが登場する直前に用意され、カーナビ標準装着の先手を打った。なので買い得だが、ホンダは30万円のディーラーオプションサービスを展開する。ナビが標準装着されると付ける装備がない。ならば素直にミニバンらしいセレナを選ぶほうがトクともいえる。
セレナがお得か?
●スズキワゴンR FX CVT(110万9850円)VS 日産デイズ S CVT(112万350円)
全高が1600~1700mmの軽自動車では、120万~130万円が買い得車の激戦区。ワゴンRはFXリミテッド、デイズはXがベストだ。110万~120万円のワゴンR・FXとデイズSは割高だが、この2車で競えばワゴンR。デイズではタッチパネル式オートエアコンがウリなのに装着されず、ワゴンRには一応オートが付く。ただし乗り心地とシートの座り心地を重視するならデイズだ。
ワゴンRが買い!
●ダイハツムーヴ X SA CVT(125万円)VS 三菱eKワゴン G CVT(124万円)
買い得感を競う激戦区の戦い。ムーヴがマイナーチェンジされる前ならeKワゴンの勝ちだったが、今なら1万円高くてもムーヴ。低速域における衝突回避の支援機能、横滑り防止装置、前後輪のスタビライザーはeKワゴンではオプションですら付けられない。タッチパネル式オートエアコンとリアビューモニター付きのルームミラーだけでは厳しい。
ムーヴがお薦め!
●日産デイズ J CVT(106万7850円)VS 三菱eKワゴン E CVT(105万円)
コアな最廉価姉妹車対決。デイズJはeKワゴンEよりも1万7850円高いが、eKワゴンでオプション設定される電動格納式ドアミラーやリアワイパー&ウォッシャーなどが備わる。このオプション価格は1万5750円だから、2100円ほどeKワゴンが買い得だ。しかしフロントマスクの見栄えは、デイズが少なくとも1万円分はカッコイイ。と思う人はデイズを選ぶのがいいでしょう。
eKワゴンがお得か?
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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みんなのコメント
そんなぴったりカタログのままの馬力になるわけない。
当たり外れがあるから、下手したら数馬力とかそれ以上違うんじゃない?
同じ個体でも、季節とか、乗り始めと1時間乗ったあととか、数万km乗ったあととか、全部違うでしょう。
妄想、ウソ、無責任なデマ情報ではベストカーは1位だろ。
釣り記事ではくるまのニュースとか。