1970年代の後半に大ブームが起き、今もなお人々を魅了してやまないスーパーカーたち。そんな懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまでを紹介していく、スーパーカークロニクル。今回は、ピニンファリーナ ミトスだ。
ピニンファリーナ ミトス(PININFARINA MYTHOS:1989)
フェラーリとピニンファリーナとは、当時(編集部註:1980年代)は切っても切れない関係にあったということは今さら説明の必要もないだろう。その密接な協力関係によって、量産車だけでなく多くのショーカーやコンセプトカーが送り出された。1989年の東京モーターショーにサプライズでワールドプレミアされた「ミトス」は、1984年に発表されたフェラーリ ピニン以来、5年ぶりにピニンファリーナの名を冠したフェラーリだった。車名の「ミトス(Mythos)」とは、英語で神話などを意味する言葉だ。
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ベースとなったモデルは、フェラーリ テスタロッサ。そのデザインの最大のポイントは、イタリア語でオープン2シーターを意味する「バルケッタ」を基本コンセプトとしたことだ。つまり、ソフトトップや折りたたみ式ハードトップなどは、あえて設定されていない。これは、スポーツカーとレーシングカーがもっと近い関係にあった時代、フェラーリのレーシングカーの多くはピニンファリーナが手がけたバルケッタ ボディを採用したことへのオマージュだという。
デザイン的に圧倒されるのは、2100mmまで拡幅されたリアセクションの量感だ。トレッドも、フロントはベースのテスタロッサと変わらない1518mmだが、リアは70mmほど広げられて1728mmもあった。とはいえ、ミトスはデザインコンセプトであったから、ベースとなったテスタロッサからパワーユニットなどはとくにチューンされておらず、最高出力390ps/最大トルク55.0kgmというパワースペックは変わっていない。
それでも、車速が100km/h以上になるとフロントノーズ下面のリップスポイラーが30mm前にせり出し、同時にリアウイングが300mmもライズアップするという空力デバイスが採用されていたのは、コンセプトカーらしいといえる。ミトスは生産を目的としたモデルではなかったが、ミリオネアなどのオーダーに応じて、数台が実際に生産されたらしい。ピニンファリーナの傑作のひとつともいわれるミトス、そのコンセプトは後に登場するフェラーリ F50に引き継がれたといわれている。
ピニンファリーナ ミトス 主要諸元
●全長×全幅×全高:4305×2100×1055mm
●ホイールベース:2550mm
●車両重量:1250kg
●エンジン種類:180度V12 DOHC
●総排気量:4942cc
●最高出力:390ps/6300rpm
●最大トルク:55.0kgm/4500rpm
●燃料:無鉛プレミアム
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●タイヤサイズ:前245/40ZR17、後335/25ZR17
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かつて自動車評論の巨匠、徳大寺氏もその関係に触れていたが、HONDA自身、その事はあえて公表していないことが、かえって謎めいた感じもありビートファンとしては大いにそそられる。