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軽くて安くて乗り味よし!? 次期スイフトスポーツも絶対いいわ!!! 「新型スイフト」公道試乗で見えた劇的進化

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軽くて安くて乗り味よし!?  次期スイフトスポーツも絶対いいわ!!!   「新型スイフト」公道試乗で見えた劇的進化

 2023年末に登場したスズキの屋台骨を担う新型5代目スイフト。その注目の乗り味はいったいどうなのか、一般道と高速道路でテストドライブした渡辺陽一郎氏が次期型スイフトスポーツの存在を含めて詳細をレポートする!

文/渡辺陽一郎、写真/中島仁菜、ベストカーWeb編集部

軽くて安くて乗り味よし!? 次期スイフトスポーツも絶対いいわ!!! 「新型スイフト」公道試乗で見えた劇的進化

■スズキのグローバルでの最多販売車種がスイフト

新型スイフト。ついに公道でその実力を確認できる機会に恵まれた!

 スズキは軽自動車メーカーという印象も強いが、2023年に国内で売られたスズキ車のうち、小型車が18%を占めている。スズキが小型車に力を入れる一番の理由は、軽自動車市場に対する危機感だ。

 近年ではホンダや日産も軽自動車市場に参入して、競争が激化している。その一方、軽自動車税が年額7200円から1万800円に値上げされるなど、需要の先細りも懸念される。

 そこでスズキは2015年の中期経営計画で、国内の小型車販売台数を年間10万台以上に高める目標を掲げ、2023年も約12万台を登録した。この販売実績は、スバルや三菱の国内販売総数を上回っている。

 国内で販売されるスズキの小型車で、最も登録台数の多い車種は背の高いソリオだが、海外も含めるとスズキの最多販売車種はスイフトだ。インドで絶大な人気を得ており、欧州の販売台数も多い。

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■3ナンバー車のように見えるのが新型スイフトの外観だ!

新型スイフトの開発者によれば、「ボンネットとボディパネルの隙間を均一にするなど、生産にも困難を伴った」と言う。それだけに外観の存在感は強いと筆者は指摘する

 このスズキを支えるスイフトが2023年12月にフルモデルチェンジを実施した。外観は、ボンネットから前後のドア、リアゲートにかけて、ボディを囲むようなキャラクターラインが入る。

 開発者は「ボンネットとボディパネルの隙間を均一にするなど、生産にも困難を伴った」と言う。それだけに外観の存在感は強く、全幅を1730mmくらいに広げた3ナンバー車にも見える。

 運転席に座って前方を眺めると、ボンネットの手前が視野に入り、ボディの先端や車幅もわかりやすい。後端のピラー(柱)は少し太く、斜め後方の視界が今一歩だが、全長は3860mmで最小回転半径も4.8mに収まる。狭い駐車場でも扱いやすい。

■インパネは先代型より立体感を向上

新型スイフトのインパネ。先代型よりも立体感を高めて質感を向上させているのがポイントだ

 インパネの周辺は先代型も上質だったが、新型は立体感を強めた。中央のディスプレイやエアコンのスイッチは、先代型もドライバー側へ5度傾けたが、新型は8度に増やしている。ドライバーは車両との一体感を得やすく、左端に装着されたスイッチの操作性も向上した。インパネは助手席の前側も立体的な形状だ。

 ステアリングホイールは、直進状態で下側を平らにしたD字型になる。開発者は「小柄なお客様は足がペダルに届きにくく、スライド位置を前方へ寄せる。そのために大腿部とステアリングホイールが近付くこともあり、D字型にした」と言う。

 前席の基本的な骨格は先代型と同じだが、ウレタン材質は変更され、座り心地も向上した。シートのサイズに余裕があり、背もたれの下側は腰を包む形状になる。体重が加わる座面の後方もしっかりと作り込まれ、背中から大腿部までを確実に支える。運転姿勢も自然な印象で長距離の移動にも適する。

 居住性は前席を優先させ、後席はあまり広くない。身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席に座る乗員の頭上空間は握りコブシの半分程度で、膝先空間は握りコブシひとつ半だ。

 背もたれの角度は、日本車のなかでは立たせている。後席の作りは、頭上や足元の広さ、着座姿勢を含めて先代型と共通だ。そのために座り心地に古さを感じる。柔軟だが着座姿勢が安定しにくいため、体が座面に沈んだところで、もう少し確実に支えて欲しい。

 ルームランプはフロントウィンドウの手前だけに装着され、夜間の後席周辺は暗い。後席はドアの開口部の上端が低めだから、乗降時には頭を少し下げる。4名乗車は可能だが、前席に比べるとさまざまな快適性が下がってしまう。基本的には2名以内で使うコンパクトカーだ。

■パワートレーンは新開発の直3、1.2Lを搭載

試乗した新型スイフトハイブリッドMZは新開発の直列3気筒エンジンを搭載する

 エンジンは先代型が直列4気筒1.2Lだったが、新型は新開発の直列3気筒1.2Lだ。グレードは3種類あり、2グレードはマイルドハイブリッドを搭載する。今回の試乗車はハイブリッドMZであった。

 エンジン性能は平均的だが、スイフトは車両重量が軽く、最上級のハイブリッドMZでも950kgに収まる。そのために加速は軽快だ。発進直後の2000回転付近でも駆動力が相応に発揮され、4000回転を超えた領域の吹け上がりも活発。

 登り坂でアクセルペダルを踏み増すと、3気筒エンジン特有の粗さを感じることもあるが、通常の走行ではあまり意識させない。

■燃費が新型スイフトの注目点!

新型スイフトをドライブする筆者。曰く、「カーブに入った後、ステアリングホイールをさらに内側へ切り込んだ時の動きも安定していて旋回軌跡を拡大させにくい」

 注目されるのはWLTCモード燃費で、マイルドハイブリッドを搭載する2WDはCVTが24.5km/Lで、5速MTは25.4km/Lに達する。先代型のマイルドハイブリッドはCVTが21.0km/Lだったから、新型に乗り替えるとガソリン代を約14%節約できる。

 ステアリング操作に対する車両の反応と走行安定性も進化した。先代型もコンパクトカーでは上質だったが、新型はさらに向上して、小さな操舵角から車両が正確に進行方向を変える。カーブに入った後、ステアリングホイールをさらに内側へ切り込んだ時の動きも安定している。旋回軌跡を拡大させにくい。

 その一方、下り坂のカーブを曲がったり、危険を避けるために車線を変えたりした時は、後輪が確実に接地して挙動が不安定になるのを防いでくれる。ボディが軽いこともあり、適度によく曲がって安定性も損ないにくい。

■乗り心地にやや不満あり?

高速道路で新型スイフトをドライブする筆者。先代モデルよりも操舵感や走行安定性の向上が感じ取れたという

 新型スイフトのプラットフォームや16インチタイヤの構造は先代型と共通だが、構造用接着剤を使うなどボディを補強した。それにより操舵感や走行安定性が向上している。

 その代わり、乗り心地は時速50km以下で硬めに感じる。タイヤは転がり抵抗を重視したタイプで、指定空気圧も燃費向上のために前輪が250kPa、後輪は220kPaと高めだ。これらの影響で乗り心地が硬くなった。

 ただし、タイヤが路上を細かく跳ねる粗さはない。大きめの段差では突き上げ感が生じるが、通常の走行では満足できる。

 開発者は「ボディの軽さは走行性能では有利だが、乗り心地ではボディを路面に押さえ付ける力が不足するから不利になりやすい」と言う。タイヤと空気圧の変更次第で、乗り心地は向上するだろう。

 装備は安全面を中心に改善された。衝突被害軽減ブレーキは、自車が右左折する時でも、直進車両や横断歩道上の歩行者に対応する。全方位モニター付きメモリーナビをオプション装着すると、ドライバーの脇見/居眠り運転などを検知して警報を発するドライバーモニタリングシステムも備わる。

■ステアリング操作に対する挙動の正確さは白眉! 推奨グレードは「MX」

今回試乗した新型スイフトハイブリッドMZだが、筆者の推奨グレードは中間のハイブリッドMXだという

 新型スイフトのグレードは3種類だが、最も推奨されるのは中級のハイブリッドMX(192万2800円/2WD)だ。ベーシックなXG(172万7000円/2WD)に比べると、マイルドハイブリッド、アイドリングストップ、フロントメッキグリル、エアロパーツ、アルミホイールなど、22万円に相当する人気の高い装備を加えている。それでいて価格アップは19万5800円だから買い得だ。

 試乗した最上級のハイブリッドMZ(216万7000円/2WD)は、ハイブリッドMXにハイビーム状態を保ちながら対向車の眩惑を抑えるアダプティブハイビーム、電動パーキングブレーキ、ディスプレイオーディオ、パドルシフトなどを加えている。

 パーキングブレーキが電動化されることで、全車速追従型クルーズコントロールが追従停止した後も、そのまま停車を続けられる。ほかのグレードは追従停車の後、2秒ほどで再発進するが、ハイブリッドMZならそれはない。

 そしてハイブリッドMZは、ハイブリッドMXに28万円相当の装備を加えて、価格の上乗せは24万4200円だ。つまりハイブリッドMZも買い得だが、ハイブリッドMXなら、ニーズの高い装備を過不足なく加えて価格は200万円未満に収まる。従って推奨グレードもハイブリッドMXとした。

 以上のように新型スイフトは、車両の性格や車内の広さは先代型を踏襲しながら、内外装の質や操舵感、走行安定性に燃費、安全装備などを幅広く向上させた。特にステアリング操作に対する挙動の正確性と走行安定性は注目される。

■ベースのスイフトがここまで進化すると新型スイフトスポーツにも期待大?

現行型スイフトスポーツは直4、1.4Lターボを搭載するが、次期型ではマイルドハイブリッド化されて登場か?

 この進化のありようは、今後登場するスイフトスポーツにも当てはまるだろう。峠道などを走ると、車両の動きはさらに正確性を高め、操舵角に応じて確実に曲がる。旋回速度を高めながら、後輪の接地性も向上させ、危険回避時を含めた安定性も進化するだろう。

 次期スイフトスポーツのエンジンは直列4気筒1.4Lターボを踏襲するが、マイルドハイブリッドの機能も加わり、燃費も向上するだろう。マイルドハイブリッドのモーターは駆動力は小さいものの、エンジンの駆動力が下がっている2000回転前後では、走りにもいい影響を与える。

 低回転域で緩やかにアクセルペダルを踏み増した時は、反応のすばやいモーターがエンジンの駆動力をサポートするからだ。マイルドハイブリッドの採用により、走りが滑らかで上質になる。

 新型スイフトは今後登場する次期型スイフトスポーツを含めて、クルマ好きに好まれる貴重なコンパクトカーになるだろう。特に最近は、上質なクルマの価格が高騰しているから、新型スイフトのニーズはますます高まると思う。

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