Q:西日本豪雨の影響で、7月の登録車販売が前年比14.5%減(1万2107台)と落ち込んだマツダ。8月の販売成績は回復したか?
text:Naojiro Onuki(大貫直次郎)photo:Keisuke Maeda(前田惠介)A:登録車の前年同月比が概況で11.1%増(1万1863台)とプラスに転じる。
マツダ改良型アテンザ・セダン Lパッケージ、車内360°カメラ画像(前席・後席)
懸命の操業回復やグループ在庫の最大限の活用などが奏功した。
8月の新車販売 2カ月連続の前年実績超え
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会がまとめた2018年8月の全体での国内新車販売台数は、前年同月比2.5%増の36万4210台と2カ月連続での前年実績超えとなった。
カテゴリー別では、
・登録車:同0.2%減の23万3358台(2カ月ぶりのマイナス)
・軽自動車:同7.7%増の13万852台(2カ月連続のプラス)
を記録した。
市場動向について業界団体の関係者は、「8月の新車販売は、軽自動車が好調に推移したこともあって2カ月連続でのプラスを成し遂げた。登録車については、乗用車が新型車効果などで前年同月比2.1%増となったものの、商用車の落ち込みをカバーしきれずに全体として微減。一方で軽自動車は乗用車と商用車ともに好セールスを記録し、高水準のプラスを達成した」と分析。
「登録車のブランド別では、新型クラウンや新型カローラ・スポーツを発売したトヨタ自動車が前年同月比0.6%増(10万5012台)と2カ月連続での前年超えを記録。さらに、eパワー・モデルの販売が堅調な日産自動車が同7.7%増(2万9995台)、新車攻勢をかけるスズキが同21.1%増(8611台)、三菱自動車が同38.0%増(3278台)、レクサスが同21.3%増(3019台)、ダイハツが同17.7%増(2684台)と好成績を記録した」
「また、前月は西日本豪雨の影響で前年割れとなったマツダは、懸命の操業回復やグループ在庫の最大限の活用などによって同11.1%増(1万1863台)とプラスに転じる。一方、燃費および排出ガスのデータ書き換えなどが影響してブランドイメージの悪化が長引くスバルは同16.0%減(8491台)と苦戦が続いた。軽自動車のブランド別では、新型ジムニーを投入したスズキが速報値で前年同月比11.2%増(4万1183台)を記録し、3カ月ぶりのシェアトップにつく。また、新型N-VANを発売したホンダは、同30.4%の大幅増(2万4306台)を成し遂げた」と解説する。
今後の見通しについては、「話題の新型車が相次いで月販目標台数を大きく上回る受注を記録しており、乗用車を中心に今後も好成績が続く可能性は高い。8月9日に公表されたスズキとマツダの検査データ不正問題も、販売にはそれほど影響なく済みそうだ。一方、販売台数の前年割れが続いているスバルは、新中期経営ビジョン “STEP” の策定および実施や新型フォレスターの発売などで出直しを図っている。これらがどれくらい効果を上げるかは、今後の注目ポイントになるだろう」と予測した。
2018年8月 車名別 販売台数ランキング
(日本自動車販売協会連合会/全国軽自動車協会連合会)1位 ホンダN-BOX 1万5509台
2位 スズキ・スペーシア 1万974台
3位 日産ノート 1万647台
4位 日産・デイズ 9995台
5位 ダイハツ・タント 9716台
6位 トヨタ・アクア 9054台
7位 ダイハツ・ミラ 8556台
8位 トヨタ・カローラ 7991台
9位 ダイハツ・ムーヴ 7964台
10位 トヨタ・プリウス 7471台
11位 トヨタ・ヴィッツ 7253台
12位 スズキ・ワゴンR 7105台
13位 日産セレナ 6359台
14位 トヨタ・ヴォクシー 6305台
15位 トヨタ・ルーミー 6179台
16位 トヨタ・CH-R 6075台
17位 ホンダ・フリード 5824台
18位 トヨタ・クラウン 5674台
19位 トヨタ・シエンタ 5538台
20位 ホンダ・フィット 5418台
ホンダN-BOX 12カ月連続でトップ
月間の乗用車の車名別ランキングでは、依然として “軽高登低” が続いている。トップに立ったのは昨年9月に全面改良を実施したホンダN-BOXで、前年同月比53.9%増の1万5509台の販売を成し遂げて12カ月連続での首位につく。続く第2位には、同63.8%増の1万974台を販売した新型スズキ・スペーシアが前月と同様に位置。第3位にはeパワーの4WDモデルの追加などで同9.9%増の1万647台を達成した日産ノートが前月の5位から順位を上げて入った。
続く第4位には同3.6%増(9995台)ながらワンランクダウンした日産デイズが、第5位には同11.1%増(9716台)で3ランクアップを果たしたダイハツ・タントが位置し、トップ5のうち4モデルを軽自動車が占有する。また、トップ10を一覧すると、登録車は4車種で、残り6車種が軽自動車。この比率になるのは、10カ月連続である。
カローラ、ジムニーは?
話題の新型車の動向をチェックしていこう。6月にトコットを設定したダイハツ・ミラは同7.0%増(8556台)を記録して第7位に、6月にハッチバックモデルのスポーツ、8月にスポーツのMT車を追加したトヨタ・カローラは同60.8%の大幅増(7991台)を成し遂げて第8位に、5月に安全性能の向上など一部改良を図ったトヨタ・ヴィッツは同34.8%増(7253台)を達成して第11位に、3月にeパワー・モデルを追加した日産セレナは同21.3%増(6359台)を実現して第13位に位置。
6月末にフルモデルチェンジを実施したトヨタ・クラウンは同210.9%の大幅増(5674台)で第18位に、7月にフルモデルチェンジしたスバル・フォレスターは同145.8%の大幅増(3036台)で第32位に、7月に仕様変更を実施したスズキ・スイフトは同28.0%増(2529台)で第39位に、7月にニスモ・モデルを追加した日産リーフは同283.8%の大幅増(2065台)で第43位に、7月にフルモデルチェンジしたスズキ・ジムニーは同120.2%の大幅増(1894台)で第45位につける。
また、6月に7人乗り仕様を追加した新型3列シートクロスオーバーSUVのマツダCX-8は月販計画1200台を上回る1398台を販売して第49位に、8月末にまずガソリン車を発売した新型ホンダCR-Vは1344台を登録して第50位にランクイン。注目の新型軽バンであるホンダN-VANは2567台の月販台数を記録した。
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