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スバルの次世代戦略 2030年代前半に全車電動化と死亡交通事故ゼロを目指す

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スバルの次世代戦略 2030年代前半に全車電動化と死亡交通事故ゼロを目指す

スバルは2020年1月20日、メディア向けに「スバル技術ミーティング」を開催した。その内容は、久しぶりとなるスバルのブランド戦略と次世代技術の方向性を示すものであった。最初に中村知美社長がブランド戦略と、自動車メーカーとしてのアジェンダを語り、最高技術責任者の大抜哲雄取取締役専務が、スバルが目指す技術についてプレゼンテーションを行なった。

ブランド戦略

アメリカでの運転支援システム評価テスト No1はGMの「スーパークルーズ」だった【動画】

ブランド戦略では、スバルの独自性は真面目なクルマづくりと、ユーザーとのコミュニケーションの深さを源泉とし、アメリカ市場で成功しているような「スバル・ラブ」を追求して行くことをアピールした。

このスバルの独自性(Different)は、トヨタとの提携を深めつつあるスバルがトヨタ化するのではないかという懸念に対する回答だ。

こうしたブランドの独自性と、同時に自動車メーカーとして課せられるのが社会的な責任だ。これに対して中村社長は、2030年にスバル車による死亡交通事故をゼロを目指すことを宣言した。もちろん、そのためにはさらなる技術的な投入が求められることは言うまでもない。

もうひとつの、地球環境保護に対しては、長期的なテーマとして「2050年にWell to WheelでCO2排出量を2010年比で90%以上削減する」こととし、中期目標としては「2030年までにグローバルでの販売台数の40%以上を電気自動車とハイブリッド車にすること、2030年代前半にはすべてのスバル車に電動技術を搭載する」ことを明らかにした。

電動化戦略

もちろん、そのためには電気自動車、ハイブリッド車については、トヨタとのアライアンスを活用することが前提となっている。すでにスバルはヨーロッパでは販売台数が少ないため高額ではないものの、企業平均燃費に対してペナルティを支払う状況となっており、電動車、ハイブリッド車の投入は待ったなしの状況だ。

電気自動車に関しては、2019年6月にトヨタとCセグメントのSUV・AWD電気自動車、Dセグメントの電気自動車を共同開発することが合意されており、2021年後半には市場投入される計画だ。

※関連記事:トヨタとスバル EV専用プラットフォームとSUVモデルを共同開発

このAWDの電気自動車は、各社の合弁会社「EV C.A.スピリット」で構想された電気自動車プラットフォームを採用する第1弾となる。このSUVのEV・AWD車のデザイン・スタディ・モックアップが今回初披露されたが、デザインもスバルが担当し、もちろん開発もスバルが担当するので、事実上のスバルの電気自動車ということができる。

よりハイレベルな走りの追求

スバルの次世代に向けた技術的な方向性は、ブランドを守るために走りの質を高めること、AWD技術の向上、より高次元な安全性の追求のためにAI技術を盛り込んだ高度運転支援システムの実現、コネクティビティの併用、エンジンジン技術では、希薄燃焼などを採用し、ハイブリッド向けのエンジン開発がテーマとなる。

また電動化では、電気自動車、トヨタ・ハイブリッド技術を採用するハイブリッド/PHEV、現在の「e-ボクサー」に加え次世代のマイルド・ハイブリッドという3本立ての展開とすることが明らかにされた。

まずは走り=SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)について。スバルは、ラインアップ車種が少ないため、SGPはモジュラー化を追求するプラットフォームというよりは走りの質(動質)を高めるために使用されており、このプラットフォームと強固なボディ骨格を組み合わせることで、衝突安全性能を高める手段と位置づけている。

そのため、今後もスバルのブランドを際立たせ、自動運転時代であっても安心で楽しい走りを実現するために、SGPをより発展させるという。そのため、車両応答の良さ、車両応答の正確さ、外乱に対する直進性の高さを追求し、さらに将来的にはAI技術を組み合わせることで、フィードフォワード制御を実現していくとしている。

具体的には2020年秋に登場する新型レヴォーグが第1世代・SGPの最終型となり、2021年以降は第2世代へと進化していく。特に車両応答の正確性や、高速での直進安定性の良さはさなどは、運転支援システムの性能向上に直結するため、ステアリングの取り付け剛性や摩擦抵抗の少なさ、サスペンション・メンバーの取り付け剛性向上など、細部にまでこだわった開発を進めることにしている。

またスバルのアイデンティティの一つであるフルタイムAWD技術もさらに高めることにも努め、人間の体が心地よく感じ、運転がうまくなっと感じるような走りを開発していくとしている。

安全性能の向上

安全性能に関しては、これまでにスバルは各国のNCAP評価試験などでトップ・レベルの結果を得ているが、リアルワールドでも、スバルの分析によればアメリカ市場、日本市場でともに主要他メーカーより死亡事故率は明確に低い傾向にある。

今後、0次安全ではドライバー・モリタリング・システム(DMS)機能の拡張、走行安全では車両運動制御技術の向上、予防安全ではアイサイトの画像認識性能の向上、衝突安全では歩行者に加えサイクリストの保護性能の向上、運転支援システムの機能向上による衝突事故の回避、さらには通信技術を利用した事故自動通報システムを盛り込むことで、2030年の死亡事故ゼロを目指すことになる。

死亡交通事故を実現するロードマップは、高度運転支援システムの性能向上により65%低減させ、事故自動通報システムと衝突安全性能の向上で35%低減できれば、自車起因の事故、他車起因の事故を含めて死亡事故ゼロを実現できるとしている。

アイサイトに関しては、新型レヴォーグでは高精度デジタルマップを採用することで渋滞時の手放し運転、高速道路でのカーブ自動減速、レーンチェンジ支援などが実現する。その後はステレオ・カメラのさらなる性能の向上、カメラ+AI技術の搭載を行ない、市街地道路での事故の回避性能の向上を図り、インフラ設備との通信利用や、自動駐車技術の導入、アイサイトとドライバー・モニタリング・システムの協調なども組み合わせ、事故回避性能、運転支援レベルの向上を図ることにしている。

内燃エンジンの進化

新型レヴォーグでは、スバル初の希薄燃焼を採用した新開発の1.8L直噴ターボ・エンジンを搭載する。リーンバーンと出力を両立させるためにアップサイズしたエンジンで、熱効率は40%を超えているという。つまり、リーンバーンの採用によりガソリンエンジンとしてトップレベルの熱効率と、ターボ過給による高出力を両立させているエンジンということができる。

こうした技術をベースに、さらなる圧縮比の向上、よりリーン(希薄)での燃焼、高速燃焼、ノック限界の向上、断熱化など冷却損失の低減、フリクションの低減などを追求し、熱効率45%超えを狙うとしている。

ハイブリッドに組み合わされる専用エンジンは、より運転領域を狭くできるため、現状の熱効率40%からさらに高効率化を目指している。

主流はHEVとM-HEV

今後のスバルのパワートレーンは、ハイブリッドとマイルドハイブリッドが主流になる。スバルは既に2018年春から、アメリカでPHEVを採用したXV(アメリカでの車名:クロストレック)を市場投入している。

そのハイブリッド・パワートレーンは、スバル製のハイブリッド専用エンジンと、トヨタのFR用ハイブリッド・モーター/電気的無断変速システムをスバル用に設計し直した縦置きハイブリッドシステムを組み合わせて採用している。

したがってこのTHSハイブリッド・システムはトヨタ製のモーター/ジェネレーター、トヨタ製の電気エネルギー・マネージメントシステムを採用しているが、今後はさらに量産拡大し、PHEV/ハイブリッド用として採用することになっている。

このハイブリッド・システムにはAWDシステムを採用しており、前後の車軸は電子制御カップリングで締結されてる。通常の2輪駆動のハイブリッドより、AWDの方が前後輪で回生できるため減速回生の効率が約30%高く、さらにカップリングを制御することで滑りやすい路面での安定性も確保できるというAWD技術との組み合わせの有利さが訴求点となっている。

その一方で、現在では日本、中国などでトランスミッションにモーターを組み込んだ「e-ボクサー」をラインアップしているが、今後は「xEV」と呼ぶ、第3のマイルドハイブリッド、おそらくは高電圧の1モーター・ハイブリッドもラインアップされる計画で、THSハイブリッドと合わせ、3本立ての戦略で2030年代前半には全モデルを電動化することが想定されている。

また現在開発中の電気自動車SUVは、EV専用プラットフォームを採用し、前後にそれぞれ駆動モーターを配置したAWDで、ホイールベースはCセグメントながら2800mmに近いとされ、その一方でオーバーハングは極端に切り詰められたEVフォルムとなっている。また2モーターをそれぞれ精密に制御することで、高い走破性や安全性、操縦安定性などを実現し、操ることの楽しいAWDを目指すとしている。

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