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忘れた頃に雪は降る……最新オールシーズンタイヤの魅力とは? TOYO TIRE「CELSIUS」試乗記

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忘れた頃に雪は降る……最新オールシーズンタイヤの魅力とは? TOYO TIRE「CELSIUS」試乗記

TOYO TIREのSUV向けオールシーズンタイヤ「CELSIUS(セルシアス)」を小川フミオが試した。スタッドレスタイヤとの違いなどをリポートする。

オールシーズンタイヤとは?

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TOYO TIRE(トーヨータイヤ)が、2019年8月に販売開始した「CELSIUS(セルシアス)」は、オンロード(一般路上)と、雪上をカバーするオールシーズン タイヤである。今シーズンは、全国的に雪が少なかったものの、いざというときの備えとして、売れ行き好調という。

したがって、「もう春じゃないか!」というこの時期でも、オールシーズンタイヤの情報は有効であると思った次第。3月29日には、東京で1センチの積雪を観測したのも記憶に新しい。

今回、雪道での性能を確認出来る機会を得た。2月下旬、北海道・常呂郡佐呂間町にあるTOYO TIREのサロマテストコースで、CELSIUS装着車両をテストした。

北見駅前から45分ほど走っていく。いつもなら深い雪に覆われるという山間部にあるテストコースは、暖冬の影響で、例年より雪が少ない。訊くと、降雪量があまりにも少ないと、タイヤ開発にも影響が出かねないという。とはいえ、ごく普通のドライバー、しかも首都圏在住の筆者からしたら普段見ることのできない積雪量である。したがって、十分意味のある試乗になった。

「CELSIUS」は乗用車市場でのメインストリームとなったSUV向けに開発されたという。テストコースには、CELSIUSを装着したトヨタ「RAV4」(2.0リッター直列4気筒ガソリン+4WD)がスタンバイ。「このタイヤのターゲット車種(のひとつ)」と、技術者がRAV4を選んだ理由を述べていた。

オールシーズンタイヤとは、呼んで字のごとし。夏でも冬の雪道でも走れる性能を有したタイヤだ。分類ではサマータイヤになる。いっぽう、(国連欧州経済委員会のお墨付きである)スノーフレークマークがついていれば、降雪に伴う冬用タイヤ規制があっても、そのままで走れる(チェーン規制の場合は走行不可)。そのため、降雪の少ない地域では1年を通し、オールシーズンタイヤを装着するユーザーが増えているという。

とはいえ、新雪からシャーベット、そして凍結まで、さまざまな冬季路面に対応するという点ではスタッドレスタイヤが優れる。雪の季節を迎えるとき、どちらを装着すべきか迷う……。

雪国だったら、スタッドレスタイヤのほうが良いだろう。オールシーズンタイヤより、とくに凍結路面でのグリップ性能が優れているからだ。ただ、シャーベット路面や圧雪路面では、オールシーズンの性能も相当高い。したがって、降雪がほとんどない首都圏ユーザーにはオールシーズンタイヤがオススメかもしれない。

CELSIUSの雪上性能

CELSIUS装着のRAV4は、しっかりした雪上での走りを体験させてくれた。雪道でのグリップがよく、加速も操舵も、それに停止もそつなくこなす。安心感が高い。

参考用に、TOYO TIREのスタッドレスタイヤ「Winter TRANPATH TX」を装着したRAV4とも乗りくらべが出来た。SUV向けの最上級スタッドレスタイヤである。

さすがに、というべきか、Winter TRANPATH TXのグリップ力は高い。走行中、多少荒く操舵したり、急な加減速を試したりするも、クルマの挙動は安定している。つまらないぐらいなにも起こらない。

RAV4そのものが、高度な電子制御式4WDシステムを搭載し、走行性能を確保するセッティングだ。強めにアクセルペダルを踏んでも、後輪のトルクはしっかりコントロールされている。リアが張り出すこともなく、軌跡は乱れない。

Winter TRANPATH TXに対しCELSIUSは、路面の状態によっては、操作に気を遣う必要がある。摩擦係数が低い場所では、グリップ力があきらかに落ちる。そのため、操舵の速度や減速タイミングは、スタッドレスタイヤより慎重であることが求められる。

ただし、滑りだすときは、きちんとステアリング ホイールをはじめ、ドライバーにわかるよう”情報”が伝わってくる。なので、オールシーズンタイヤが一般的に苦手とする、凍結に近い摩擦係数の低い個所でも、“無理をしてはいけない”と、すぐにわかるのだ。

CELSIUSは、これまでの経験にくわえ最新の知見を駆使し設計したという。「トレッドなどの設計には自信があります」と、TOYO TIREの技術者が話していたのが印象的だった。

具体的には、スノー性能とドライとウェット(雨など)性能の両立を目指したという。タイヤのトレッド面は非対称パターンだ。端的にいうと、内側がスノー性能重視、外側がドライ・ウェット性能重視である。

内側と外側に共通するのは、同社が「3Dグリップサイプ」と呼ぶサイプ(細い溝)が刻まれている点。このサイプによって、路面にかかわらずグリップ力を確保するという。

くわえて、内側(車体側)には、雪上での駆動力を確保する「ジグザグ ブロック」を採用。いっぽう外側には「両方向連結ブロック」と「溝底補強ブロック」が組み合わされて、接地性と操縦安定性を高めているという。

欧米では、汎用性の高さからオールシーズンタイヤが人気という。そのためCELSIUSも、2015年から欧米で先行販売されている。ようやく日本も、汎用性の高さに気づいたのかもしれない。

今の時期、首都圏で雪が降る可能性は低い。とはいえ、絶対に降らないとも限らない。調べると、2019年は4月10日に東京都内でも雪が降ったという。そんなこと、すっかり忘れていた。手帳を読み返すと、この日は都内にいたのに……。

滅多に雪が降らない首都圏にこそ、オールシーズンタイヤは最適だ。スタッドレスタイヤのように煩わしい交換や保管も不要。忘れた頃に雪はまた降るのだから、通年で使えるCELSIUSはいざというときに安心である。日本でも今後、欧米とおなじく装着率が高まりそうだ。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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みんなのコメント

1件
  • 雪国育ちは、圧雪なら自転車でも、長靴でも、駆け抜ける感覚を身に付けている。
     スッテンコロリンの、都会の人間がオールシーズンタイヤを、使いこなせるのかね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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