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豪州SC:BTCC責任者アラン・ゴウがGen3規定に緊急提言「エンタテインメントに徹するべき」

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豪州SC:BTCC責任者アラン・ゴウがGen3規定に緊急提言「エンタテインメントに徹するべき」

 BTCCイギリス・ツーリングカー選手権の運営団体であるTOCA代表を務めるアラン・ゴウは、オーストラリア大陸を代表するツーリングカー選手権、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーが策定中の新規則『Gen3』に対し、レギュレーション制定時に陥りがちな“エンジニアリング・マスターベーション”ではなく「エンタテインメントに焦点を当て続けるべきだ」との提言を行った。

 新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの影響で、開幕戦アデレード400を終えてシリーズ休止が続いているVASCだが、その状況下でもスーパーカーの技術部門は2020年にアナウンスを予定する新技術規則Gen3の策定を進めている。

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 この新規則はチャンピオンシップに関連する全分野のコスト削減を目指すとともに、この春にもGM(ゼネラル・モータース)から発表されたホールデン・ブランドの廃止にも対応する内容が盛り込まれるという。

 BTCCの運営責任者であると同時にFIAのツーリングカー・コミッション理事も務めるゴウは、1990年代初頭のスーパーツーリング時代を経て、長い低迷期に入っていたBTCCを再建した立役者でもあり、減少したグリッド台数を急回復させた実績を持っている。

 従来のBTCと新たにS2000規定の双方を導入したのち、2011年には現行規定に続くシリーズ独自の“NGTC(New Generation Touring Car)規定”を採用したゴウは、TBLと呼ばれる参戦枠をTOCAで管理して参戦上限を30台に設定。ここ数年はフルグリッドの盛況ぶりとなっているが、TOCAとしてさらに2台のTBLアディショナル枠を保有し、最大で32台まで拡張することも可能としている。

 このNGTC規定が成功した最大の要因は、サスペンション、ギアボックス、電子機器などの主要制御部品をすべて共通パーツに指定して車両製作コストを抑制し、チームは必要に応じてTOCAの用意する共通エンジンを搭載することで、すぐさまシリーズ参戦が可能となっている点だ。

 現在、バーチャルレースシリーズの『Supercars All Stars Eseries』を実施しているVASCだが、同国のカテゴリー情報を広く取り扱うV8 Sleuth podcastにゲスト出演したゴウは、新規則策定中のスーパーカーに対し「BTCCが良き先例として範を示せる部分があると思う」との持論を展開した。

「スーパーツーリングはBTCCにとって異例の時間だった。FIAが1994年に制定したこのレギュレーションは、費用が爆発的に上昇し、たとえ国内選手権だろうと数百万ポンドを投じなければ勝負もできない状況を生み出した」と振り返ったゴウ。

「そんな大金を費やすマニュファクチャラーが10社ほども集まり、ドライバーもレースに巨費を注ぎ込んだ。これが持続可能でないことは明らかであり、当時は(運営側に)規則を管理する権限もなかったから、我々にできることは限られていたんだ」

■「エンジニアリング・マスターベーションを取り除かなければならない」

「その後、予想どおりにチーム側がインフラや研究開発に費やされるコストに音を上げ始め、ついにはシリーズから脱落し始めると、その後はゲームのように次々とピースが抜けていき、最後には崩れ落ちる『ジェンガ』のような様相だった」

 しかしゴウはこのスーパーツーリング時代こそ、現在に繋がる成功への大きな学びがあった時代だとも指摘する。

「お金を無駄にしない方法や、TV視聴者やサーキットの観客が見たいものを本当に理解する方法について、大きな学びがあった。我々は多くの調査やリサーチを行い、巨額の費用が投じられたエンジンにも着目した」

「グランドスタンドにいる誰もが、エンジン内部の働きなど気にしていない。ギヤボックスがどうか、サスペンションの構成がどうか、電子機器がどう働くか、マシンとピットでどんなテレメトリーが作動しているか、その存在そのものを気にしてなどいないんだ」

「ファンが見たがっているのはハードな接近戦だ。ときにはコンタクトを伴うような闘志を感じる種類のね。それを実現し、不要なコストを取り除けば成功への方程式が完成する。真に面白く、迫力あるモータースポーツを提供したければ、“エンジニアリング・マスターベーション”を取り除かなければならない。それが我々の仕事だ」

 さらにゴウは、そうした技術的要素に加えてコスト削減にも貢献しつつ、トラック上のドライバーがより魅力的なレースを戦う手助けをする方法として、テレメトリーの禁止を例に挙げている。

「BTCCは技術的な演習の場ではない。NGTCからロードカーに還元できる技術はないが、これは世界のシリーズを見渡しても非常に稀な状況になっている。なぜ、人々はそんなに技術的な方向へ進みたがるのだろう。スーパーツーリングは本当にあらゆる分野で無駄遣いが散見された」

「なぜ、マシンとピットのリアルタイム・テレメトリーが必要なんだ? ドライバーに情報を提供しすぎると、彼らは自らの経験に基づいてではなくエンジニアの指示によってドライブすることになる」

「BTCCではテレメトリーを許可していない。ドライバー自身が周囲のレースを理解し、数値の情報に基づいてブレーキやタイヤ温度などに対処する必要もない。感覚を頼りに、ただ周りのライバルたちに対峙することになるんだ。それこそが、激しい競争を演出する方法だと考えている」

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みんなのコメント

3件
  • ロングディスタンスでなければテレメトリはなくていいかな。1つ。スーパーGTでもそうだけど、ベース車の外見から大きく『離れてもいい・離れてしまう』規定は要らないと思う。タイヤハウスがボンネット上面より上に突き抜けてたり明らかにサイドシルを削ってるような、そんなダサいのは困る(´・ω・`)。ちょっと前のDTMとか初期のグループAラリー程度で丁度いいんだよね。
  • モータースポーツからメーカーにとっての技術実験室という大義名分を奪ってしまったら、株主はメーカーのお遊びなんかに金を出しますかね?
    そもそも"自動車メーカーを持たない小さな島国のローカルレース"を建て直した程度で、今じゃTCR規程の前の風前の灯火でしかないNGTC規程を成功したと評して良いのか疑問です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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