VWはすべてのセグメントにEVをラインナップ。BMWは300億ユーロを投資
新型コロナウイルス蔓延による世界的な販売台数減に見舞われている今、自動車メーカーの電動化戦略、次世代パワートレイン戦略が岐路を迎えている。業績悪化が避けられないなかで既存パワートレインに頼って開発費を節約するのか、あるいはこれを機に次世代化を大きく進めるのか、手腕が試されることになる。
フォルクスワーゲン・グループ(VW)は、主力のVWブランド乗用車の電動化を大規模に進めていくことを表明。新世代プラットフォームMEBを採用した電気自動車(EV)、ID.3は今年夏から欧州でデリバリーが開始され、続いてSUVのID.4を発売する予定だが、2022年までには主要セグメント全車にMEB採用のEVを展開するとしている。その販売予測は2025年時点で年間約150万台と、2019年に販売されたVWブランド車約628万台と比べると4分の1程度に過ぎないが、まだ1%程度の世界のEV普及率を考えると野心的な計画といえるだろう。
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BMWもここにきて電動化の姿勢を強め、2021年までに5モデルのEVを投入すると発表。i3でプレミアムコンパクトEVのカテゴリーを作り上げ、欧州ではテスラに次ぐシェアを誇るBMWだが、さらにiX3、i4、iNEXT、ミニEなどに第5世代の電動パワートレイン搭載車を登場させる。従来車種にはPHEVシステムを搭載して欧州CO2規制のクリアを目指す同社ながら、プレミアムEVのカテゴリーでもリーダーの座を目指す姿勢を明らかにした。この第5世代の電動パワートレインは次期7シリーズへの搭載も考えており、PHEVからEVへのシフトも進める構えだ。
そのためにBMWは2025年までに研究開発費300億ユーロ(約3兆5000億円)を投じる考えで、そのすべてが電動化に向けられるわけではないにしても、生き残りを賭ける投資となることは間違いない。新型コロナウイルスによる世界的な景気後退は避けられない状況にあるが、ここで踏ん張れるか踏ん張れないかで将来が決まる。VWやBMWの強い意志が自動車業界でのアドバンテージをより高めることになるのか、注目したい。
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スポーツでも、自分たちに有利なようにルールを変えるのは欧州のお家芸。