今季よりNitroRX改め『Nitrocross(ナイトロクロス)』へとリブランドした北米発のラリークロス選手権は、来季2024からサポートクラスの“NEXT”に既存のFC2プラットフォームを再利用した新しいワンメイク車両『FC2ネクスト・エボ』を導入すると発表。スウェーデンの“名門”オルスバーグMSEによって製造された内燃機関モデルのスーパーカー・ライツをベースとし、完全に化石燃料を使わないCNF(カーボン・ニュートラル・フューエル)での走行を予定している。
世界中でラリークロスの人材を育成してきた長い歴史を持つスーパーカー・ライツの車両だが、アメリカでも2013年からGRCグローバル・ラリークロスのステップアップカテゴリーで採用されてきた。
新生ナイトロクロス初年度最終戦は、2024年3月にラスベガスF1パドック至近の特設トラックで開催
その車両製造を担うオルスバーグMSEは、今回FC2と呼ばれる同車の規定を「リサイクルおよびアップサイクルする」と発表し、この取り組みに同意したナイトロクロスが世界で最初に新しいプラットフォームを採用するシリーズとなる。
今週末の11月10~11日にはアリゾナ州フェニックスで開催される、おなじみワイルドホースパスでの1戦を控えるシリーズだが、ゼネラルマネージャーを務めるチップ・パンコウは「これはこのチャンピオンシップにとって大きな飛躍を意味する」と、次世代モデルの導入に期待を寄せる。
「この次世代モデルは、既存の車両を改修することで、わずかなコストでシリーズが設定したすべての目標を達成しているんだ」と続けたパンコウ。
「こうしたアップサイクルカーは、モータースポーツのこの段階で最も興味深い開発手法のひとつになると思われる。次世代の才能あるドライバーがこれらの高性能な車両で競技参加できることを期待している」
チャンピオンシップの環境保護理念に沿って、完全に化石燃料を使わない合成燃料で走行する計画の次世代FC2だが、前世代からのプラットフォームの進化を反映し『ネクスト・エボ』と呼ばれることになる。
「FC2をベースにした新しい『ネクスト・エボ』は、車両全体をアップグレードする革新的かつ効率的な方法を採り入れている」と語るのは、今回オルスバーグMSEと共闘して開発に当たるベンチャー企業で、最高峰クラスの水素燃料電池搭載モデル『FC1-X』も手掛けたファーストコーナーのCEO、アンドレアス・エリクソンだ。
「非常に人気のあるスーパーカー・ライツ・コンセプトに基づいたこのアップグレードキットは、コストを比較的低く抑えながら、ドライバーと顧客が望むすべての領域に対応する。次世代のドライバーたちが『NEXT EVO』でトラックに登場し、勝負を始めるのが待ち切れない。これはシリーズとドライバーにとって大きな前進になるはずだ」と同氏は語った。
■元GRC経験者のブライアン・ディーガンがナイトロクロス初参戦
そのナイトロクロスの2023年第4-5戦となるワイルドホースパス戦には、元GRC経験者で『X GAMES』ではメダル16個獲得のブライアン・ディーガンが初参戦することもアナウンスされた。
「この新たな挑戦を本当に楽しみにしている」と、2011年から2016年までGRCに出場し、オフロード、ロードトラック、さらにフリースタイルモトクロスなど、あらゆるエクストリーム系競技で実績を残してきたディーガン。
かつてはシリーズ創設者のトラビス・パストラーナの盟友として二輪界で名を馳せ、親友とともに四輪進出を果たしたディーガンは、オルスバーグMSEで3シーズンを戦い、その後はチップ・ガナッシ・レーシング(CGR)とのパートタイム・プログラムを継続。2012年にはタナー・ファウストに次ぐランキング2位も記録した。そんな“レジェンド”は今回、ナイトロクロスの強豪として君臨するドレイヤー&レインボールド・レーシング・ウィズ・JCレーステクニークに合流しての勝負となる。
「このナイトロクロスはまったく違う“アニマル”だが、僕は自分の限界を超えて新しいことに挑戦するのが大好きだ。モンスターエナジー&DRR JCはチームチャンピオンシップを獲得し、ドライバーズチャンピオンシップでもワン・ツー・スリーを達成するという強力な実績を誇っており、このパートナーシップは勝利のためになると信じている」と、愛娘ヘイリー・ディーガンがNASCARエクスフィニティ・シリーズとクラフツマン・トラック・シリーズに参戦中の父ブライアン。
今季前半に起用したコナー・デイリーのシートを埋める候補として、強力な実績を誇るスターを招聘したチームオーナーのデニス・レインボールドも「第4戦と第5戦に、あのブライアン・ディーガンがチームに加わってくれてとてもうれしく思っている」と期待を寄せた。
「ブライアンの恐れを知らない態度と新たな課題を克服する意欲は、我々のチームに深く共感する資質だ。我々は、このコラボレーションがレース界に興奮とさらなる衝動をもたらすと信じている」
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