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あなたの運転間違ってない!? 燃費向上のための「べからず」運転とは?

掲載 更新 82
あなたの運転間違ってない!? 燃費向上のための「べからず」運転とは?

 ガソリン価格が18週連続の値上がりと聞くと、さすがに少しは燃費のことを考えてみないといけないかと思う。

 いっぽうで、これだけ新車のハイブリッド化、広い意味での電動化技術の採用が進めば、おのずと燃費を向上させるための走り方も見直す必要も出てくる。

航続距離を延ばすのに効果的!?  なぜルーフのソーラーパネルは普及が進まないのか?

 ここで、改めて燃費走行の基本をおさらいしながら、燃費向上のためのドライビングテクニックを考えてみよう。

文/岩尾信哉、写真/ベストカーweb編集部、Adobe Stock、スバル、ダイハツ、トヨタ、日産

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■燃費運転の基本とは?

レヴォーグのアクティブレーンチェンジアシスト。ドライバーの運転感覚に近い滑らかな制御によって、車線変更をアシストする

 燃費を良くするための運転の基本は、エンジン車とHV(ハイブリッド)、それぞれの走行モードに関係なく、「エンジンを必要以上に回さない」「急なアクセル/ブレーキペダルの操作をしない」というふたつの「べからず」が基本となることは言うまでもない。

 たとえば、日産 スカイラインの「プロパイロット2.0」やスバル レヴォーグの「アイサイトX」、メルセデス・ベンツの「アクティブレーンチェンジングアシスト」。

 EVではテスラモーターズの各モデルなどで採用された自動車線変更技術では、ウィンカーの操作によって自動的に車線変更を実施する機能が与えられている。

 これらが急加減速を行わないのは、移動する車線を走行する後方車両の接近を考慮する必要があるためで、我々の普段こなしている車線変更が、広く考えれば「急ぎ気味」なことを実感させてくれる。

 車両側で操作が危険と判断すれば禁則機能が働くとはいえ、普段から注意を怠らないようにするべきだろう。

■ブレーキによるエネルギー回生の効果

ハイブリッド車では減速時のエネルギー回生によってエンジンの負荷を減らし、燃費の向上に寄与する(写真はヤリスハイブリッド)

 エンジン車とHV(EV)で燃費向上の要素として明確に異なるのは、ブレーキング時の回生エネルギーを回収できるかどうかだ。

 たとえば、HVで都会の渋滞の中を走らせていると、走行可能距離がいつのまにか伸びている、あるいはほとんど変化しないことさえある。そのぶん、より多く電動モーターで走行できることになる。

 電動化車両に特有な機能として、回生ブレーキの利用を意識することはマストといえる。

 ガソリン車のエンジンブレーキでは減速のみで速度(走行)エネルギーを捨てているのに対して、ブレーキペダルを踏んでブレーキ回生を利用しつつ、フットブレーキを使わずに減速することで電気エネルギーを得られるという、両面で燃費を向上させるうえで大きい。

 このようにHVで“電費”を稼ぐためには、アクセルオフでもハイブリッドはエネルギー回生を実施するので、全般的にアクセルペダル操作を控えめにすることには燃費向上に意味がある。

 加えてエンジン車でもフューエルカット(惰性走行時に燃料噴射を低減する制御)などの燃費向上技術も加わっていることも頭に置いておきたい。

■一般道での燃費向上策

加減速の機会が多い一般道では、エンジンへの負荷をなるべく低減させることが重要となる(写真/Adobe Stock naka)

 ではより具体的に一般道での燃費向上策から解説していきたい。

●エンジンを急作動させるべからず

急なアクセル操作など、「急な運転操作」を避けることはエコドライブだけでなく、スムーズな運転のための基本中の基本だ(写真/AdobeStock Paylessimage)


 燃費向上の基本中の基本といえるのが前述のように「急な操作をしない」ことであることは間違いない。

 ハイブリッドでもエンジンの回転数の上げ下げを急に行えば(多くの場合は表示がないのでエンジン音でしか確認できない)、エンジン内部の摩擦損失の増加など細かいことを言わなくとも、エンジンが発するうなりが大きくなれば、エネルギーロスが生じていることを誰もが体感するからわかりやすい。

 ハイブリッドシステムといえども主役はあくまでエンジンであり、エンジンの燃料消費率(やや難しくいえば熱効率)の向上のために、いかにエンジンを効率よく作動されるかに焦点が当てられているわけで、電動モーターはあくまでエンジンのサポート役を担っているからだ。

●アイドリングストップ機能を切るべからず

タントのアイドリングストップシステム。停車する場面の多い街中などは、多少なりとも燃料の消費を抑えられる

 「アイドリングストップは煩雑だからイヤだ!」というユーザーがいることは承知しているつもりだ。

 HVではモーターを介しているので振動やノイズなどが抑制されているので感じにくいとはいえ、エンジン車ではエンジンの停止ではまだしも再始動では目立ちがちになってしまう。クルマによっては解除スイッチが依然として見られるのは想像するよりもこうした意見が多いのだろう。

 一般的にアイドリングストップの燃費向上代は約5%と言われ、後述するエアコン使用などで相殺されてしまうとかエンジンへの負荷が大きくなるとの意見もあるが、エンジンを停止している限り燃料は消費されないことは事実だから、ドライバーがこの不自由さをどう捉えるのかに委ねたい。

●エアコン作動は控えめに

エアコンは付けっぱなしにせず、天候を考慮して設定温度の調整やオン/オフの切り替えを行いたい

 エンジンの作動をなるべく抑えるためには、エアコン温度を低く設定することも工夫のひとつ。エアコン・オンでの電気的負荷はEVを運転するとよくわかる。

 たとえば、エアコンをオフからオンに切り替えると航続可能距離が十数km減少することさえあることから、エンジン車やHVなどでは実感しにくいエアコンの負荷がはっきりと認識できる。

●無駄な荷物を積んだままにしない

タントの荷室。積載性の高さは魅力だが、使わない荷物の積みっぱなしは重量増となり、エンジンの負担が大きくなる

 燃費をよくするために忘れてはいけない事前の準備としては、日常的にドライバーの心得として使わないモノを積みっぱなしにしないことも重要だ。

 「燃費にとって車重は軽ければ軽いほどよい」というなんとも基本的な部分ながら、開発時に軽量化に腐心しているエンジニアの苦労を無駄にしていると思えば、無駄積みを意識しやすいかもしれない。

■高速(自動車専用)道路での燃費向上策

高速(自動車専用)道路では一定の速度を保ち、無駄な加減速を抑えるようにしたい(写真/Adobe Stock taka)

 続いては高速道路での燃費を向上させる運転を解説していきたい。

●オートクルーズコントロールを活用すべき

レヴォーグのアイサイトXはACCをセットしたままで料金所手前に来ると、ETCゲートを安全に通過できる速度まで減速し、通過後はセット車速まで加速する機能も備えている

 高速道路を走らせるうえで、無駄なペダル操作を抑えるという点では一定速度の高速巡航を実現するオートクルーズコントロール(ACC)を使うことは、いうまでもなく欠かせぬテクニックといえる。

 JAFホームページより抜粋させていただくと、ACCと燃費数値と題した項目では、「アクセル操作が一定になるACCでは一般的に燃費数値が向上する傾向にあります。JAFユーザーテスト(JAF Mate2014年6月号掲載)では、高速道路でACCを使用した場合と、ACCを使用しない場合で燃費数値を比較測定した結果、ACCを使用すると最大で12%も燃費数値が向上する結果となりました」(出典:JAF)とある。

 むろん、走行した道路状況や天候や走行時刻、ドライバーの運転経験によって数値は変化する。

 「JAFユーザーテストの結果からは、ACCを使用するとドライバーのアクセル/ブレーキペダルを操作する時間や回数が減少することにより、ドライバーの運転操作に対する負担が減るだけでなく、それによる燃費向上効果も認められることがわかりました」(出典:JAF)とされている。

 たとえばアイサイトVer.2に採用された「ツーリングアシスト」機能では、0~120km/hの速度域で自動的な前方車両追従機能を備え、追従機能の安楽さとともに無駄なエンジンの作動を車両側で抑制してくれるから燃費向上にも貢献することになる。

●道路の勾配を意識すべし

 ともかくエンジンの使用割合を減らすことが肝心だが、高速巡航を効率よくカバーするためにトヨタが副変速機を追加してハイブリッドシステムをTHSIIに進化させたことはよく知られた話だ。特に高速道路の上り坂に差し掛かった場合の対処法については、再度JAFのコメントを例に挙げてみよう。

 「上り坂ではアクセルを一定に踏んでいると次第に速度が落ちてきます。しかし、速度を保とうとアクセルを踏み増すと、走行抵抗が大きいため燃費が大幅に悪化してしまいます。 速度が落ちるほど加速に要する力が大きくなるので、速度が落ち始める前にアクセルを踏み増しましょう」(出典:JAF)とある。

 対して、長い下り勾配に差し掛かろうとする場面では、速度を一旦上げて、下りで惰性走行(コースティング)を利用して燃費を稼ぐワザもある。これも周囲の交通状況への配慮を必要とする。

 HVでは電費を稼ぐためには、アクセルオフでもハイブリッドはエネルギー回生を実施するので、アクセルペダル操作を控えることには燃費向上には意味がある。

 勾配を意識して走らせるのは、燃費運転のなかでも最も「言うは易し」の好例ではないだろうか。経験と視野の広さ、そして運転技術が加わった「交通状況に応じた予測運転」という知的作業というべき、ハイレベルなドライビングテクニックといえる。

 ちなみに、エンジン車では前述のコースティング機能を有効活用して負荷を減らすことができるため、エンジンとトランスミッションの結合を切り離すことになるニュートラル(N)ポジションを選択するというやり方があるが、個人的にはあまり推奨できない。

 不意のトラブルに合った際に瞬時に車速をコントロールできないデメリットをどう捉えるかによるだろう。

●巡航速度のツボをとらえる

プリウスなどのハイブリッド車ではエンジン回転数が表示されないこともあるが、ガソリンエンジン車では一定の(なるべく低い)回転数をキープした走行を心掛けるようにしたい

 ここから高速巡航での燃費が向上しやすい“ツボ”をどう捉えるかという感覚的な話をしてみたい。高速走行時の燃費性能を形作るのは、ボディサイズや車重、エンジン排気量(ターボ装着の有無)と繋がるパワーとトルク、HVでは駆動用バッテリー搭載量(容量)など様々な要素が絡み合う。

 実体験を加えておくと、かつて在籍した自動車雑誌編集部で試乗する際の燃費計測では100km/h巡航のテストモードが設定されていて、2時間程度(すなわち約200kmの走行距離)を走行して満タン給油して燃費を計測していた。

 HVではエンジン回転数が多くの場合表示されないことが多いとはいえ、ギア比(CVTならプーリー比)が高ければ、多くの場合、1000rpm前後から1500rpm程度に設けられているはず。

 経験上では輸入車の場合は燃費が伸びる巡航速度域が日本車と同クラス車両と比べると高めに設定され、なおかつ100km/hと120km/hプラスαの速度域での燃費の差が少なかったことが印象として残っている。

 すなわち日本車での「燃費のツボ」が100km/h前後であるのに比べ、輸入車は120km/h超あたりに存在するように感じられた。

 最近では各メーカーがエンジンの排気量抑制+ターボ化による“ダウンサイジングターボ”を開発など低回転でのトルクを改善する努力の結果、より低い回転域でのドライバビリティの改善と燃費の向上を両立させてきた。

 それでもフォルクスワーゲングループのモデルでは、様々な要因によって主力となる直列4気筒エンジンの排気量を1.4Lから1.5Lへと変更するなど試行錯誤は続いているから、エンジン開発は一筋縄ではいかないことが見てとれる。

■いかに運転に余裕を生み出せるか

レヴォーグのアイサイトXは、自動車専用道路上での渋滞時(0km/h~約50km/h)、一定の条件を満たすと、ステアリングから手を放すことが可能。ドライバーの負担を軽減してくれる

 ここまで燃費を向上させるための物理的な「べき」「べからず」を書いてきたが、ドライバーの心得としては、基本的にいかに精神的なプレッシャーを遠ざけるかにかかってくると思っている。具体的に以下の項目を挙げた。

●長距離移動を伴うスケジュールに余裕をもたせる

急な悪天候時などは無理せず休憩できるように、スケジュールに余裕を持たせることも重要だ(写真はレクサスLS)

 リラックスして運転することがなにより大切。休憩をこまめにとるというのは長距離移動では大切だから、休憩時間を考慮したスケジュールを事前に立てておきたい。

●ガソリン満タン、満充電にしておく

給油のための停車時間を減らすために、事前にガソリン満タンにしておこう

 単純に余分な停車時間は少なくなるから、当然ながら効率は上がるというものだ。ともかく、穏やかに走らせることを意識すれば燃費にも効いてくるのは間違いない。

 最後を精神論で締めくくるのはいささか気が引けるとはいえ、重要な要素なのだから致し方ない。いうなれば、無理に意識することなく、自然と燃費が良くなる運転になるというのが理想に思えるのだが、いかがだろうか。

 “燃費運転”について、JAFが推奨する運転マナーは基本的にはツボを抑えていることはよく知られている。ただし、たとえば街中での「ふんわりアクセルスタート」についてだが、要は程度の問題であり、周囲の交通状況を無視してまで燃費向上運転に固執して危険を増すようでは意味をなさない。

 むろん、JAFのホームページではきちんと但し書きが用意され、「日本の交通事情では、青信号で一気に発進加速をしても、混雑や渋滞、赤信号ですぐに減速しなくてはならないことが多く、せっかく加速しても燃料のムダになります」(出典:JAF)としている。

 その一方で「後続のクルマのストレスになったり、渋滞の原因を作るようなゆっくり発進はしないようにしましょう。他のクルマの燃費が悪化し、全体として地球環境に悪影響を与えてしまうことになります」(出典:JAF)とコメントしている。

 以下にJAFのACC(アダプティブクルーズコントロール)についてのデータを抜粋。

 「約400kmに及ぶ比較測定走行時にドライバーがアクセルペダルを踏んだ時間については、ACC使用時が1分6秒(総走行時間4時間31分)であったのに対し、ACC未使用時が4時間31分57秒(同4時間56分)と、ACCを使用するとドライバーのアクセル操作が圧倒的に少なくなりました。

 ブレーキ操作回数も、ACC使用時の4回に対して、ACC未使用時は82回へと大幅に減少しています」(出典:JAF)。

 逆に、EVを高速道などでアクセルペダル踏み込みっぱなしでハイペースを保てばみるみるうちに航続可能距離が減っていくから、車速を意識して、想定速度に達したら速度を維持することに専念したい。

■ワンペダルは有効か?

リーフはアクセルを戻した時にブレーキペダルを踏んだような減速感を得られる「eペダル」を採用している

 最後に、ひとつ気になったのは日産のワンペダルだ。HVでは意識に上らない(というか、トヨタのHVはモーターのみで走行するいわゆる“EVモード”では採用していないこともある)、アクセルペダルの操作のみで速度を変化させるいわゆる“ワンペダル制御”は、燃費を良くするうえで効果はあるのだろうか。

 ワンペダル制御を推しているのは周知の通り、日産だ。日産のEVであるリーフで「eペダル」としてワンペダル制御を採用、ノートやセレナ、キックスで採用する「e-POWER drive」で走行モードのなかに組み込まれている。

 輸入車ではBMW i3が採用するのはよく知られている(いずれ日本でも登場するミニeのセッティングも同様のはず)。

 扱いには「慣れが必要」だが「慣れれば有効」という操作感だが、想像する以上に手前で停車する違和感は万人向けとは思えない。停車位置を調整するためにアクセルを踏み直すという操作には引っかかる。

 減速しようとアクセルからブレーキへとペダルを踏み替え中も回生ブレーキが作動しているということを安全面に有効と考え、燃費向上のうえでも回生エネルギーの増加が見込まれるから、ワンペダルは燃費に有効である。

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みんなのコメント

82件
  • えぇっと
    余計な荷物を載せないなど負荷を減らすのはいいとして

    アクセルワークは燃費を基準にしない方が良いでしょう
    いかに危険な運転にならないかを基準にすること
    必要ならためらわずに踏むことです

    おかしな常識が広まってるせいか、HV系で常に反応の遅い車が目立つようになった
    多少お金が浮いても事故になったら全部チャラです
  • こうして エコランならぬエゴランを推奨し

    渋滞をさらに悪化させ他車の燃費を悪化させる
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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