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<WSBK> King is back!~ドゥカティの連勝、4戦11レースでストップ!~

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<WSBK> King is back!~ドゥカティの連勝、4戦11レースでストップ!~

この週末はワールドスーパーバイク第5戦・イタリア大会が開催されました。ここまでオーストラリア→タイ→スペイン・アラゴン→オランダと続いてきたWSBK、レース1/スーパーポールレース(SPR)/レース2と、1戦に3レース行なわれる(オランダ大会はスーパーポールレースが雨…っていうか雪のため中止)から、ここまで4戦11レース。
ご存じのとおり、ここまでARUBA.ITドゥカティのアルバロ・バウティスタとパニガーレV4Rが全勝するという、すさまじいリザルトになっています。
ここまでの4戦のリザルトをもう1回、振り返ります。

■開幕戦 2・24オーストラリア
レース1:(1)バウティスタ(D)(2)レイ(K)(3)メランドリ(Y)
SPR :(1)バウティスタ(D)(2)レイ(K)(3)ハスラム(K)
レース2:(1)バウティスタ(D)(2)レイ(K)(3)ハスラム(K)
■第2戦 3・17タイ
レース1:(1)バウティスタ(D)(2)レイ(K)(3)ロウズ(Y)
SPR :(1)バウティスタ(D)(2)レイ(K)(3)ロウズ(Y)
レース2:(1)バウティスタ(D)(2)レイ(K)(3)ロウズ(Y)
■第3戦 4・7スペイン・アラゴン
レース1:(1)バウティスタ(D)(2)レイ(K)(3)デイビス(D)
SPR :(1)バウティスタ(D)(2)レイ(K)(3)ロウズ(Y)
レース2:(1)バウティスタ(D)(2)レイ(K)(3)デイビス(D)
■第4戦 4・14オランダ
レース1:(1)バウティスタ(D)(2)レイ(K)(3)ファン・デル・マーク(Y)
SPR : 悪天候のため中止
レース2:(1)バウティスタ(D)(2)ファン・デル・マーク(Y)(3)レイ(K)

峠道でこそ輝く!? 新型「KATANA」試乗インプレッション!

ここまでの全レースでバウティスタが優勝、オランダ大会のレース2を除いて10レース、ジョナサン・レイ(カワサキ)が2位になり、そのレースではマイケル・ファン・デル・マーク(ヤマハ)が2位入賞。各レースの3位にはマルコ・メランドリ(ヤマハ)が1回、レオン・ハスラム(カワサキ)が2回、チャズ・デイビス(ドゥカティ)が2回、アレックス・ロウズ(ヤマハ)が4回、ファン・デル・マークが1回、レイが1回入っています。
つまり、4戦11レースで、表彰台に乗っているライダーは、ドゥカティとカワサキとヤマハの、計7人しかいない、ということ。これは、なかなか戦力が偏っている選手権だといえるでしょうね。
バウティスタの圧勝劇が続くことから、3戦を終わったオランダ大会前には、ドゥカティ・パニガーレV4Rにハンディが課せられることになりました。それがエンジン回転数制限。言うまでもなく、最高回転を規制すればパワーダウン=戦力の均等化が図れるわけなので、ハンディとういうか、戦力調整ですね。ルールに定められたラインを越えたポイントを越えると、3戦ごとにハンディが決められ、発表されます。

ちなみに、獲得ポイントが低い場合には逆にハンディキャップが与えられ、エンジン回転数があげられ、ルールブックにある車体系のキットパーツなどの規制が緩やかになります。
そして、オランダ大会前に発表されたハンディは以下の通り。

(1)ドゥカティ・パニガーレV4Rのレブリミットを-250rpm
(2)ホンダCBR1000RR-SP2のレブリミットを+500rpm

ハッキリ言って、エンジン回転数を250rpm規制されたからって、そう大きく戦力調整にはなりませんが、まずは第一段階。次の3戦を終わって(第6戦ヘレス終了後ですね)同じような不均等が見られるなら、ドゥカティはもう1段階(250rpm)下げられるはずです。ホンダは、成績が振るわないから、あと500rpm上げていいよ、ということです。
ここのところ、先日ちょうど編集部に撮影にいらしていた伊藤真一さんに聞いてみました。
――伊藤さん、一般論だけど、250rpmってパワー的にそんなに抑えられるの?
伊藤「一般論って、パニガーレでしょ(笑)。いやー、250rpmじゃほとんど変わらないですよ」
ってことです(笑) 500rpm変わったら体感できるかな、ってくらいらしいので、まだまだパニガーレV4R優勢に大きな変化はなさそうです。

そして迎えた、第5戦イタリア・イモラ大会。このレースがこれまでの4戦と違うのは、現在MotoGPでは、ここイモラでの開催がないこと。つまり、MotoGPからスイッチしてきたバウティスタにとっては初コースのため、ドゥカティファクトリーは2週間前にイモラテストを敢行。テスト終盤には雨も降り、バウティスタは雨、晴れの両方のテストができたようでした。

「レース前にイモラを走れたのはすごく重要。しかもテスト終盤には雨も降って、レインタイヤでの走行も経験できたのはラッキーだったね」とはバウティスタ。
対するレイは、カワサキに移籍して4シーズン8レース、ここイモラではすべて優勝か2位で表彰台に立っていて、ホンダ時代を含めて3度のダブルウィンを飾った得意中の得意なサーキット。両者がっぷり!な戦前評だったのです。

金曜にスタートしたFP1では、まずはレイがトップタイムをマーク。2番手にデイビス、バウティスタ、ハスラムと、まずはカワサキvsドゥカティがバッチバチ。FP2では、またもレイ→デイビスに、今度はトム・サイクス(BMW)が3番手に、バウティスタは4番手。土曜のFP3では、またもレイ→デイビス→バウティスタとなり、予選グリッドを決めるスーパーポールでは、デイビスがトップタイムをマーク! レイが2番手、バウティスタが3番手と、注目の3人がフロントローに並びます。

しかし、バウティスタがプラクティスとスーパーポールで、ここまでレイに後れを取ったの、初めてじゃないでしょうか。セッションごとのレイとバウティスタのタイム差も0秒634→0秒692→0秒907→0秒774と縮まらず、これは今度こそバウティスタの連勝が止まるかもしれないぞ――そう思わせた決勝前だったのです。

土曜のうちに行なわれたレース1では、その思いが的中します。ポールポジションのデイビスがホールショットを奪い、すぐにレイがトップに浮上してのオープニングラップ。バウティスタが3番手、4番手にはサイクスが上がってきます。
しかし、1周を終えないうちにデイビスのマシンに電気系トラブルが起こり、デイビスはリタイヤ。逃げるレイをバウティスタが追い始める、よく見た光景が繰り広げられますが、ロングストレートでもツイスティなシケイン区間でも、バウティスタはいつものように「アッという間に」追いつくことがありません。
むしろレイがジリジリと2番手以下との差を広げ始める展開となり、レイとバウティスタの間隔は、3周目に1秒6、5周目には3秒、9周目には5秒にまで広がってしまいます。
結局レースは、このままレイが独走! ついに5戦12レース目でシーズン初優勝を挙げました。2位にレイから8秒近く遅れてバウティスタ、3位にトプラック・ラズガトリオグル(カワサキ)が今シーズン初表彰台。今シーズン8人目のポウディアムフィニッシャーが現われたことになりますね。

「信じられない! 待ち望んだ結果だよ! イモラは去年のチェコテストで作り上げた新しいベースセッティングを持ち込んで、去年からカワサキのバイクによく合っているんだ。今年はタイヤが変わったけど、そのベースセッティングがきちんと機能してくれた。チームにも、カワサキにも感謝したい。これでマシンは1ステップ進化できたと思うよ」とレイ。

明けて日曜は朝から小雨が降り、ウェットコンディションの朝フリーは、レイ→ハスラム→アレサンドロ・デルビアンコ(ホンダ)の順。清成龍一(ホンダ)も6番手まで上げてきていますね。バウティスタは8番手、デイビスは11番手。雨のパニガーレは、今のところドライの時ほどのスピードを見せていません。

11時スタートのスーパーポールレースは、10周勝負のスーパースプリント。朝のうちの雨が上がり、所どころにウェットパッチが残る路面コンディションでした。
ここでも、土曜のレース1と同じく、ポールシッターのデイビスが飛び出し、オープニングラップ終わりのシケインでレイがパッシング! バウティスタも3番手から2番手に浮上、デイビスは3番手にダウン、4番手にハスラムがつけます。

ここからは、またしてもレイの独壇場。追いすがるバウティスタをジリジリと引き離し、ラップタイムも1分46秒台にピタリと揃えて、ラスト2周にベストラップをマークするという理想的なレースペースで、またもバウティスタを退けました。バウティスタは、レース中盤にデイビスにもかわされ、3位でフィニッシュ。ここまで11連勝を続けてきた最速男が、ついに2/3位と一敗地にまみれたレースとなりました。

バウティスタは、もちろん速いには速いんですが、レイに追いつけず、デイビスにもあっさりかわされるなど、ちょっとこれまでの最強っぷりを感じさせませんでした。これが「どうもうまくいかないからここは2位3位でも充分」とでも考えての結果だとしたら、やはりバウティスタ、怖いですね。

レースは、スーパースポーツクラス(=WSSP)が終了すると、イモラは豪雨に見舞われ、日曜のメインイベントであるWSBKレース2は、何度かのデイレィ(=スケジュール遅延)のあと、中止となりました。ものすごい豪雨の時間帯とかありましたから、いい判断だったと思います。

ひとまず、これでバウティスタ+パニガーレV4Rの連勝はストップしました。ランキングトップのバウティスタと2位レイのポイント差は、前戦までの53ポイントから43ポイントへ、イッキに10ポイント縮まりました。1戦で最大62ポイント(レース1/2=各25ポイント×2、SPR=12ポイント)が獲得できるWSBKでは、まだまだセーフティリードではありません。ただ、ここまでまったく歯が立たなかった印象しかなかったレイが、ようやく一矢報いた、そんなレースとなりました。

もちろん、バウティスタがここから失速、レイの連勝が始まるなんてドラマチックなことは起こらないでしょうが、あとはどちらがミスをするか――そんなチャンピオン争いが続いていきそうです。
「ここまでずっと勝てなかったけど、チームの誰一人弱音を吐かなかったよ。ピットのムードも良くて、僕はずっとサポートされていた。イモラはバイクのフィーリングも良かったし、最高の結果が出せた。2つ勝てて嬉しいよ。イモラは勝つチャンスがあるコースだって思っていたし、勝たなきゃいけなかった。それができたのは良かったね。また次のチャンスをつかめると信じているよ」とレイ。

「今回は勝てなかったけれど、たくさんのドゥカティファンに声援をもらって、僕のレースキャリアの中でも最高のレースのひとつになった。レース2がキャンセルになったのは残念だったけれど、サーキットは危険な状況で、ライダーの安全も大事だからね。(勝てなくて)ドゥカティスタのみんなには申し訳なかったけれど、きっと状況は理解してもらえると思う」とバウティスタ。

WSBK開幕からの連戦連勝で、まさかこのままバウティスタの全勝チャンピオンか――なんて予想も少しはしたけれど、レースはそんな甘いものじゃありません。そしてチャンピオンを獲るためには、バウティスタの今回のように、優勝を狙って無理をするより、2位3位でいい、っていう「捨てレース」が大事なのももはや常識です。

バウティスタが再び連勝街道を走るのか、それともレイがイモラを逆転への足掛かりにするのか、デイビスの上昇機運とヤマハ勢の躍進はあるのか、WSBKの見どころになりそうです。

このイモラで、少し風が変わったのかな……。

■WSBK 第5戦 イタリア・イモラ大会結果
レース1
1 ジョナサン・レイ        カワサキ  
2 アルバロ・バウティスタ     ドゥカティ +7.832s
3 トプラック・ラズガトリオグル  カワサキ  +19.291s
4 マイケル・ファン・デル・マーク  ヤマハ   +19.968s
5 レオン・ハスラム        カワサキ  +20.111s
6 マルコ・メランドリ       ヤマハ   +31.846s
7 アレックス・ロウズ       ヤマハ   +32.024s
8 マイケル・リナルディ      ドゥカティ +34.107s
9 ロレンツォ・ザネッティ     ドゥカティ +34.814s
10 マイケル・レイテルバーガー   BMW    +40.196s

スーパーポールレース
1 ジョナサン・レイ        カワサキ  
2 チャズ・デイビス        ドゥカティ +2.141s
3 アルバロ・バウティスタ     ドゥカティ +6.864s
4 マイケル・ファン・デル・マーク  ヤマハ   +10.817s
5 アレックス・ロウズ       ヤマハ   +14.212s
6 レオン・ハスラム        カワサキ  +14.522s
7 トプラック・ラズガトリオグル  カワサキ  +20.484s
8 トム・サイクス         BMW    +20.764s
9 ジョルディ・トーレス      カワサキ  +20.957s
10 マイケル・レイテルバーガー   BMW    +25.917s

■ポイントランキング(5戦終了時)
1:バウティスタ/263P 2:レイ/220P 3:ロウズ:140P 4:ファン・デル・マーク/134P 5:ハスラム/108P 6:デイビス/85P 7:メランドリ/79P 8:ラズガトリオグル/65P 9:コルテセ/64P 10:サイクス/56P

写真/WSBK Kawasaki DUCATI Yamaha 文責/中村浩史

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