■伸びやかフォルムの往年のスタイリッシュセダンを振り返る
日本の自動車市場では、1990年代の半ばから急激にミニバンの普及が拡大しました。また、2000年代からはSUVの人気が徐々に高くなり始め、近年は世界的なSUVブームにまでなっています。
その一方、人気の低迷著しいのがセダンで、各メーカーともセダンのラインナップが減少したままの状態が続いています。
クルマに対するニーズは時代とともに変化しているため、セダンが売れなくなってしまったことはある意味仕方のないことですが、今後好転する気配は今のところありません。
セダンの全盛期といえたのは1980年代の終わりから1990年代の始めにかけてで、次々と新型セダンが発売されていました。
そこで、そんな時代に登場したセダンのなかから、伸びやかでスタイリッシュなフォルムが特徴だったモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
●三菱「ギャランΣ ハードトップ」
三菱は1969年に、新時代のセダンとして「コルトギャラン」を発売。それまでの三菱製セダンと一線を画するスタイリッシュなデザインと、同社初のSOHCエンジンを搭載して優れた走行性能を発揮するなど、大ヒットを記録。
その後「ギャラン」の名に改め、三菱の主力車種の1台となり、代を重ねました。
そして、ギャランシリーズが大きな転機を迎えたのが1983年に発売された5代目の「ギャランΣ(シグマ)」で、駆動方式がFRからFFとなり、まさに時代の変化に対応したモデルでした。
外観デザインもコンセプトを一新してロングホイールベースの伸びやかなフォルムとなり、よりスポーティなセダンへと変貌を遂げました。
さらに1984年には、よりラグジュアリーな派生車として「ギャランΣ ハードトップ」が登場。
ボディサイズは全長4660mm×全幅1695mm×全高1375mmで三菱初の4ドアハードトップであり、基本的なフォルムはセダンから引き継いでいましたが、フロントフェイスとリアまわり、キャビンに至るまで専用にデザインされ、ウェッジシェイプを強調したスタイリングによって大きく雰囲気は異なりました。
エンジンは全車2リッターの直列4気筒SOHC(後にV型6気筒が追加)で、トップグレードの「VR」には「スタリオン GSR-V」にも採用された2リッター直列4気筒SOHCターボの「シリウスダッシュ 3×2」を搭載。
このエンジンは吸気バルブ側に可変バルブ機構を採用して最高出力200馬力(グロス)を誇り、トランスミッションは5速MTのみとされるなど、高性能FF車の先駆けでした。
ギャランΣ ハードトップはほかにも、電子制御サスペンション、電子制御パワーステアリング、ABSなど先進的な技術を搭載し、余裕のある走りと機能性を高めながらハイグレードなイメージを確立しました。
●フォルクスワーゲン「サンタナ」
現在、日産はルノーと三菱がアライアンスパートナーとなっていますが、1980年代初頭には、フォルクスワーゲンは業務提携契約を締結。
その合弁事業のひとつとして、日産はフォルクスワーゲンのグローバルセダン「サンタナ」を日本でノックダウン生産し、日産ディーラーでも販売していました。
ボディサイズは全長4530mm×全幅1690mm×全高1395mmと、本来は全幅が1710mmだったところ、当時の日本では3ナンバー車の自動車税が高額だったことから、外装パーツを一部変更して5ナンバーサイズに改められました。
全体のフォルムは直線基調の伸びやかなスタイルで、欧州車らしいスタイリッシュな6ライトウインドウのキャビンが特徴となっていました。
エンジンは2リッター直列5気筒と、1.8リッター直列4気筒、1.8リッター直列4気筒ディーゼルをラインナップ。1987年には最高出力140馬力を発揮する、スポーティな2リッター直列5気筒DOHCエンジンを搭載した「アウトバーンDOHC」グレードが加わりました。
サンタナはフォルクスワーゲンブランドの強みもあり、発売当初は好調なセールスを記録しました。
しかし、バブル景気の到来で好景が上向いていくと、「外車信仰」の代表的なモデルだったBMWやメルセデス・ベンツに人気が集中し、サンタナの販売台数は下降してしまい、1990年に国内での生産を終了。日産とフォルクスワーゲンの提携関係も解消されました。
●ホンダ「アコードインスパイア」
ホンダは1989年に、「アコード」と「レジェンド」の間に位置する4ドアハードトップセダンの「アコードインスパイア」を発売しました。
その名のとおりアコードの派生車でしたが、よりラグジュアリーなモデルとして開発されました。
ボディは全長4690mm×全幅1695mm×全高1355mm、ホイールベースは2805mmとロングホイールベースの伸びやかなデザインが特徴で、低く構えたフォルムは落ち着いた雰囲気の高級感を醸していました。
エンジンはFF車として理想的な前後重量配分とするため、フロントミッドシップに2リッターもしくは2.5リッター直列5気筒を縦置きに搭載。
アコードのスポーティ路線と異なり、エンジンの多気筒化による高い静粛性と滑らかな回転の上昇を実現しました。
ほかにも内装には天然木、本革、エクセーヌなど上質な素材が惜しみなく使われ、レジェンドに匹敵する本物指向の上品で贅沢な味わいを表現。まさにバブル経済絶頂期の賜物といえました。
アコードインスパイアは洗練されたデザインと、優れた走りから好調なセールスを記録。1992年には時代の要求に応えるかたちで、ボディサイズを拡大した3ナンバー専用車となる「インスパイア」を追加して併売されました。
※ ※ ※
最後に紹介したアコードインスパイアが販売されていた1990年代初頭といえば、ホンダは、レジェンド、アコード、アコードインスパイア、ビガー、アスコット、アスコットイノーバ、ラファーガ、インテグラ、ドマーニ、シビックフェリオと、実に10車種ものセダンをラインナップしていました。
販売チャネルによって車種が分かれていた時代だったとはいえ、いかにセダンが売れていたかがよくわかります。
ホンダに限らず他メーカーも同様の状況で、まさに「セダンバブル」だったといえるでしょう。
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みんなのコメント
それでも日本の自動車メディアは、「さすがアウトバーン育ち!」「これぞ質実剛健!」「チャチな日本車はこれ見習うべき!」と大絶賛だったものです。
で、サンタナの販売があっという間に盛り下がったのは、書かれてるみたいにバブル景気で人気がベンツ・ベンベに移行したからなわけはなくて(そもそも、価格も客層も全然違う)、たんにクソ車の悪評が知れ渡ったからでしたね。
それにしても日本の自動車メディア、、、、35年経っても全く成長も変化もしてませんわな。