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アバルト500e x ミニ・クーパー SE(2) 新型を直接比較 内燃ホットハッチへ「別れ」は告げられる?

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アバルト500e x ミニ・クーパー SE(2) 新型を直接比較 内燃ホットハッチへ「別れ」は告げられる?

一方は小さな高級車 他方はおしゃれな小型車

ミニ・クーパー SEの航続距離は、392km。駆動用バッテリーの容量は49.2kWhある。現実的に、充電が切れるまで320kmは走れるようだ。新しいクーパーには、302kmで183psのEもあるが、今回はアバルト500eと英国価格が近い、218psのSEを選んだ。

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電費効率は、同等の条件で走らせて、6.4km/kWh対6.7km/kWhでクーパー SEが僅かに優れた。ちなみに英国価格は、アバルト500eの方が高いものの、残価設定型プランでの支払額は同等だ。

2台を並べると、そもそもミニが好きなこともあるが、クーパー SEの方がプロポーションは整っているように映る。丁寧に開発されたことが、細部から伝わってくる。インテリアには、小さな高級車といった雰囲気が漂う。

コスト削減の結果もゼロではなく、実際に押せるハードボタンは限られ、メーター用モニターもない。ここで、開発・製造費はだいぶ節約できているはず。快適なシートの形状もシンプルで、調整できる範囲は先代より少ない。

とはいえ、ダッシュボードやドアパネルを覆う粗い織り目のクロスと、大きく丸いタッチモニターが生む印象は好ましい。ステアリングホイールやドアハンドルなどからは、上質さが伝わってくる。

インフォテインメント・システムは、扱いにくいといわざるを得ない。長方形ではないモニターが、デザイン哲学の延長だとしても。

アバルト500eのインテリアは、おしゃれなコンパクトカーといった感じ。アルカンターラが上手に利用されているものの、硬質なプラスティック製部品も多い。インフォテインメント・システムの操作性は、こちらの方が優れる。

クーパー SEの活発な前輪駆動らしい走り

発進させてみると、クーパー SEのドライバーとの一体感が光る。回生ブレーキの制御が滑らかで、アクセルペダルの加減で違和感なく速度を調整できる。対する500eは、オン/オフの制御といった反応で、スムーズなスピード調整が少し難しい。

速度の上昇とともに、クーパー SEではステアリングホイールへグリップ状態がやんわり伝わってくる。コーナーへ飛び込み、アクセルペダルを緩めると、内燃ホットハッチのように旋回していくのが気持ちいい。

濡れた路面で巧みにパワーを制限する、トラクション/スタビリティ・コントロールの制御も優秀。スポーツプラス・モードなら、活発な前輪駆動らしい走りを楽しめる。

アバルト500eは、ステアリングの第一印象は良かったのだが、速度が増してもフィードバックは変わらない様子。コーナーで右足を一気に戻しても、淡々とラインは維持される。路面次第では、アクセルオンでフロントタイヤが一瞬スピンすることもあった。

路面が荒れてくると、サスペンションの特性の違いも顕になる。乗り心地が硬い方はクーパー SEだが、衝撃を吸収しきれないのは500eの方。ストロークが短めで、全高が高いため、ドライバーが揺さぶられるような振動を伴う。

というわけで、クーパー SEへ筆者は軍配を上げたい。このクラスのリーダーとして、内燃ホットハッチへお別れを告げてもいいと思える、優れたバッテリーEVだといえる。

純粋なドライバーズ・ハッチバックには届かない

ところが、同僚のジェームス・ディスデイルが口を挟んだ。このクーパー SEは、ミニというより小さなBMWだと。スタイリングはシンプルすぎるし、車重は重すぎる。アクセルオンでラインが変化する、トルクステアが大きいことも指摘した。

確かに、彼の発言は間違っていない。また、かつてのホットハッチと同じ名前を受け継いでいるが、ひと昔前ならクラス上のモデルを選べた価格帯にあることも事実。最高出力や動的能力が、従来より引き上げられているとしても。

ヒョンデi20 Nなら、レスポンスや操縦性のバランスが生む、2台以上の一体感を味わえるはず。それでも、既に英国へ新たに正規輸入される予定はない。

英国人的なミニ愛を抑え、俯瞰して評価するなら、500eもクーパー SEも純粋なドライバーズ・ハッチバックの領域には届いていないだろう。でも、いい線は行っている。0-100km/h加速だけではない、バッテリーEVが生まれ始めたことは間違いない。

普段使いのクルマとして、2台は不満なく魅力的。本気の走りは、熱々な「ホット」ではなく、少し加熱された「ウォーム」くらい。

アバルト500eは、電動スポーツ・ハッチバックの先鋒として、意欲的な仕上がりにある。対するクーパー SEは熟成された仕上がりで、個性的なデザインや充分な航続距離、開けた道での喜びがある。まだ電動「ウォーム」ハッチかもしれないけれど。

ミニ・クーパー SEとアバルト500e 2台のスペック

ミニ・クーパー SE エクスクルーシブ(英国仕様)

英国価格:3万6700ポンド(約749万円)
全長:3876mm
全幅:1744mm
全高:1432mm
最高速度:170km/h
0-100km/h加速:6.7秒
航続距離:392km
電費:7.0km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1605kg
パワートレイン:同期他励電気モーター
駆動用バッテリー:49.2kWh(実容量)
急速充電能力:95kW(DC)
最高出力:218ps
最大トルク:33.5kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)

英国価格:3万8195ポンド(約779万円)
全長:3631mm
全幅:1683mm
全高:1529mm
最高速度:154km/h
0-100km/h加速:7.0秒
航続距離:251km
電費:5.4km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:1410kg
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:37.3kWh(実容量)
急速充電能力:85kW(DC)
最高出力:154ps
最大トルク:23.8kg-m
ギアボックス:シングルスピード(前輪駆動)

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