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かつて叩き売り状態で下取り価格もイマイチ……マツダオーナー過去の苦悩と今

掲載 202
かつて叩き売り状態で下取り価格もイマイチ……マツダオーナー過去の苦悩と今

 かつてマツダの新車は「大幅値引き」が代名詞となっており、数十万円引きといった数字が全国の読者から報告があった(高級車ならまだ分かるが総額300万円代前半級のクルマでもそれくらの値引きが飛び交っていました。すごい時代ですよね…)。そうなると下取り価格も下がり、一度買うとマツダ車を乗り継がざるをえない状況に(クルマの出来はよかったので)。そんな「マツダ車ループ」というような実例が90年代後半~00年代前半まで続いていたのだ。今やすっかり高級ブランドになったが、あれは一体なんだったのか!?

文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部

かつて叩き売り状態で下取り価格もイマイチ……マツダオーナー過去の苦悩と今

■5チャネル体制の失敗でユーザーも悲劇!! 長く続く負のスパイラルに

当時参加であったフォードと共同開発の車種などを多く展開したが、ブランド回復はかなり厳しい道のりであった。そのおかげで大幅値引きなどの作戦に出たのだ

 最近では黒を基調としたシックな店構えを持った店舗も増えているマツダディーラー。車両のラインナップもミニバンや商用車の自社開発・生産を中止し、「魂動デザイン」と呼ばれるエモーショナルなデザインを纏った車種が中心となっている。

 これは万人受けするクルマではなく、一部のユーザーにとことん刺さるクルマを作るという、いわゆる“選択と集中”を実施した結果であり、現在はそんなマツダの考え方に共鳴するユーザーが増えてきている印象だ。

 しかしそんなマツダも、80年代後半から90年代にかけて販路を拡大しようと5つの販売チャネルを設置。チャネルごとに異なるキャラクターを持った兄弟車を多く配置するなど、万人受けを狙ったこともあった。

 ただその拡大路線は成功することなく、経営が傾くほどの大打撃を。当時のマツダユーザーも抜け出すのが大変な無限回廊に迷い込むこととなってしまったのである。

■同じ予算で上級者も射程圏内に!? 大幅値引きの功罪

コンパクトミニバンのプレマシーを検討していたひとが大幅値引きのおかげで1ランク上のMPVを購入できたといったケースも

 当時のマツダの経営危機の話をする上で避けて通ることができない“ユーザーの悲劇”。これは果たしてどういうことを指しているのかを解説しよう。

 当時多数の兄弟車種を乱発したのだが、残念ながら多くの車種は市場に広く受け入れられることはなく、平たく言ってしまえば“不人気車種”となっていた。

 消費者側も同じクラスの車種で魅力的なモデルが他メーカーに存在していれば、わざわざ不人気なマツダ車を選ぶ可能性は低い。そこでマツダディーラーが採った作戦は“大幅値下げ”で車両を販売するという手法だったのだ。

 クルマに強いこだわりを持つコアなマニアであれば、いくら値引きするとはいえ、不人気な車種を選択することはほとんどないはず。だが、なんとなく移動の手段としてクルマを探しているというユーザーにとっては価格が安いというのは魅力的なもの。

 場合によっては他メーカーよりも1クラス上の車種が同じ予算で狙えてしまうということもあったようで、価格に釣られたユーザーがマツダ車を購入するというケース少なからず存在していたのだ。

■安く売られた車両の市場価値はどうなるか?

2010年代に入ると初代CX-5やアテンザ(現MAZDA6)などが誕生し、見事ブランド力が回復。値引きなどこれまでの手法ではなく、クルマの良さを前面に打ち出す戦略が功を奏したのだ

 当時のユーザーとしては希望のクラスの車両(もしくは1クラス上の車両)を安く購入することができたということで、得をしたと感じたかもしれない。

 しかし、不人気で安く販売された車両というのは、当然次に乗り換えをしようとしたときの下取り価格も安くなるのが通例だ。

 そもそも当時はほとんどのマツダディーラーで大幅値引きをして販売していたため、中古車のベースとなる価格もその大幅値下げ後のものがベースとなる。そこに不人気であるという事実もプラスされてしまったため、下取りなどをして次の車両を買おうと思っても予想以上の低値となってしまうケースが後を絶たなかった。

 そこでマツダディーラーに車両を持ち込んでみると、他メーカーよりも高値で下取ってくれる上に、次のクルマも大幅値下げを提示。

 結局そのユーザーは次もマツダ車に乗り換えることとなり、ある意味負のスパイラルに陥ってマツダ車以外に乗ることができなくなってしまう……これが負のスパイラルを生む原因でもあったのだ。

 ただ当時のマツダ車は、確かに不人気ではあったものの、クルマの仕上がりとしてはそこまで悪いものではなかった。こだわりを持たないユーザーであれば少ない出費で新しいクルマに乗り換えることができるというメリットもあった。

 またマツダとしても利益は薄かったものの、この手法である程度の販売台数を稼ぐことができ、会社を存続することができたというのは紛れもない事実と言えるだろう。

 その後、マツダは初代デミオの爆発的ヒットなどもあって経営状況も徐々に回復し、2000年代初頭に登場した新世代マツダを象徴するアテンザやアクセラなど、商品力も確実に向上。

 その結果、大幅な値引きをしなくても他メーカーの車種と対等に渡り合うことができるようになり、冒頭にお伝えしたように「魂動デザイン」などを採用した唯一無二のメーカーに成長したことで、負のスパイラルから脱することができたのである。

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みんなのコメント

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  • マツダ・・・金太郎飴デザインと英数字の名前があぶなっかしいね
    金太郎飴デザインは一歩間違えば全車種が不人気になるし、英数字の車名はマニア以外はマツダ車の車種を認識出来なくなっちゃう
  • いまも続くマツダ地獄(笑)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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