1999年に登場したBMW X5はまったく新しいカテゴリーのクルマとして大成功したが、2004年にデビューしたX3もまたどのジャンルにも属さない不思議な魅力を持ったモデルだった。単にコンパクトなX5でもなく、類い稀なオリジナリティを持ったモデルとして大きな話題を呼んだ。さて、このX3はデビュー当時、どんな評価を受けていたのか?(以下の試乗記は、Motor Magazine 2005年1月号より)
小さなX5ではなく、より身近な雰囲気を醸し出すモデルと見るべき
車名だけを見ると、たとえば5シリーズと3シリーズの関係と同じく、X5の小型版を想像するところだが、実際のところX3のボディサイズは、X5に対して全長は100mm、全高は15mm小さいだけ。普通の感覚で言えば、全然小さいクルマではない。
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しかし実際に触れてみると、X3はX5より、はるかに扱いが容易に感じられる。その違いは、既に乗り込む時から明らか。着座位置が高く、這い上がるように乗らなければいけないX5に対して、X3は腰の位置を横にずらすだけでスムーズに乗り込むことができるのである。さらに、いざ乗り込めば、視界は一般的なセダンより広々としている一方、X5ほど見下ろす感じではなく、当然、違和感も少ない。
そして、X5との違いがもっとも端的に表れているのが、その走りっぷりである。ステアリング操作に対する反応がきわめて素直で、ボディの屈強な筋肉を思わせる極めて高い剛性感のおかげで、ロール感も非常にタイト。そのハンドリングは背の高さを忘れさせる。対してX5は、ステアリングを切ってからコーナリングが始まるまでのタイムラグをどうしても意識させられる。
ついでに報告しておこう。このX3にはオプションでサマータイヤと、より固められたサスペンションを組み合わせたスポーツパッケージが用意される。しかしお勧めは断然、ノーマル。とくに乗り心地を考えると、もともと硬めの足まわりにはM+Sタイヤの方がバランスが良い。
こうしたいい意味でのコンパクト感、軽快感は、見た目にも表れている。最新のBMWモードをまとったスタイリングは、とりわけボディ下半分を覆う樹脂製ガーニッシュが印象的だ。これがX3の印象を、とてもカジュアルなものとしている。X5が都市の中で際立った存在感を放っているとするならば、X3はもっとしっくり景色の中に溶け込んでいるという感じだ。
つまりX3は、単なる小さなX5ではなく、より身近な雰囲気を醸し出すモデルとして生み出されたと見るべきなのだろう。X5の持つある種の威圧感は、とくに女性にとっては敬遠する要素にもなり得る。X3は、そこにもうまくハマるだろう。そして男性の目から見ても、ワイルドさが際立つX5より、より緻密でドイツ車らしい雰囲気のX3に魅力を感じるという人は少なくないはず。
そうなるとX3は、これまでなら3シリーズのツーリングを買っていた人にもアピールしそうだ。実は価格も、それを後押しする。何しろX3 2.5iは、より新しく、より大きく、ツーリングはおろかX5よりも大きなラゲッジスペースを持ち、そしてもちろん4WDでありながら、車両価格は税込み513万円と、325lツーリングの523万9500円を下回るのだ。これを戦略的と言わずに何と言おう。
こうした諸々を考えあわせると、少なくとも今の時点で、このX3と直接競合するライバルは、ちょっと思い浮かばない。そう、ここでもBMWは、カテゴリーを創出する類い稀なオリジナリティを発揮してみせたのである。(文:島下泰久/Motor Magazine 2005年1月号より)
BMW X3 2.5i(2004年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4565×1855×1675mm
●ホイールベース:2795mm
●重量:1760kg
●エンジン:直6DOHC
●排気量:2493cc
●最高出力:192ps/6000rpm
●最大トルク:245Nm/3500rpm
●トランスミッション:5速AT
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