フレーム(=骨格)で、自転車の乗り心地は変わる
自転車の構造について、みなさんはどれぐらい知っているでしょうか? 自転車はバイクやクルマと比べるとその構造は圧倒的にシンプルで、根本的な機能である「走る・曲がる・停まる」に必要な箇所は、ほぼ目に見えていると言えます。いまさら言われるまでもなく、それぞれの名称などを説明できると思いますが、日常生活に当たり前に存在するからこそ、意外と知らないこともあるかもしれません。
あらためて自転車の理解を深めることは、より気持ち良く自転車に乗るための手助けにもなってくれるような気もします。そこで、自転車の基本構造を再確認するために、まずは自転車の骨格である「フレーム」に注目します。
自転車の基本とも言える「フレーム」は、直訳して「骨組み」の意味の通り、パイプ(管)を組み合わせたフレームに必要なパーツが取り付けられていくことになります。また、フレームと同じ並びの存在として、ハンドルと前輪をつなぐ「フロントフォーク」があります。自転車の直進性や曲がり性能などに影響するパーツであり、フレームと合わせて「フレームセット」と呼ばれることもあります。
一言で「フレーム」と言っても、実際はパイプのそれぞれにも名前がついており、車種によって異なったり省略されることもあります。簡単に説明すると、ハンドルを支える「ヘッドチューブ」、ハンドル下からサドル下をつなぐ「トップチューブ」、ハンドル下からペダル(クランク)の根元へと続く「ダウンチューブ」、サドル下からペダルの根元につながる「シートチューブ(立管)」、サドル下から後輪の中心に伸びる「シートステー」、ペダルの根元から後輪の中心に伸びる「チェーンステー」といった6つのパーツで構成されています。
自転車の黎明期において、フレームは基本的には6本の各パイプを組み合わせた2つの三角形で作られたひし形が一般的でしたが、現在では各パーツの組み合わせの角度を変化させたり、1本を2つに分割させたり、逆に1本で2本分の役割を果たしたり、直線ではなく湾曲した素材を使用したりするなど、多種多様な種類が存在しています。
形状とともにフレームの種類や性能、特徴を決める大きな要素としては、素材の違いがあげられます。こちらもさまざまな種類が存在しており、すべてを紹介するのは難しいのですが、アルミやステンレスをはじめ、クロームモリブデン鋼(通称:クロモリ)などの合金、軽さを追求するスポーツタイプではチタンやカーボンなどが使われています。
最近では軽さと強度が要求されるe-BIKE(電動アシスト自転車)で、アルミより軽くてカーボンと同じぐらいの強度を持つと言われるマグネシウムが使われることもあります。
また、さらに細かく見ていくと、パイプ自体の形状や厚みの違いによっても性能が変わります。それぞれのパイプを溶接でつなぐのか、それともフレーム丸ごとを一体成型するのかなど、パイプの結合方法の違いでもフレームの特徴が異なってきます。
これらの要素を組み合わせることで、無限とも言えるフレームのバリエーションが存在しているのです。
一見、フレームは頑丈でちょっとやそっとでは曲がったりしないように見えますが、じつは人が乗車したり走行中に衝撃を受けたときに、ほんのわずかにたわんだり、ゆがんだりしてサスペンションのような役割を果たしています。
かなり感覚的な話ですが、自分が乗っている自転車フレームの特性(材質や形状)などを理解して意識するようになると、たわんだ後の反発の伸びを利用して脚力を使わずに加速するといった高度な乗り方ができるようになるかもしれません(ママチャリでも!)。
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