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新次元の疾走体験 ポルシェ911 ダカールへ試乗 ベースは479psのカレラ4 GTS 後編

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新次元の疾走体験 ポルシェ911 ダカールへ試乗 ベースは479psのカレラ4 GTS 後編

多くのアイテムを装備しつつ車重は10kg増

ポルシェによれば、オフロードで求められる柔軟性を考慮し、911 ダカールのスプリングレートは911 カレラ4 GTSの半分程度へ落とされているという。ピレリ・スコーピオン・タイヤのサイドウォール剛性も、それに影響を与えているだろう。

【画像】新次元の疾走体験 ポルシェ911 ダカール 高性能な同社のクロスオーバー 競合モデルも 全116枚

とはいえ、乗り心地がソフトだという印象は受けなかった。スタッドレスタイヤのようにノイズは大きくもなく、硬すぎることもなく、適度にタイトといっていい。

基本的には、スポーツシートが組まれたカレラ4 GTSの体験に近い。すべてが洗練されている。ピレリは、ダカール用にサマータイヤとスタッドレスタイヤも開発しているが、こちらは試せていない。

アクティブ・アンチロールバーと後輪操舵システム、サスペンション・リフトシステム、アンダーボディ・プロテクションなど、多くの装備を得ながら、ダカールの車重は10kg増に留まっている。ポルシェは軽量化にも注力したと主張する。

高速道路をしばらく走り、ステアリングホイールを左へ回し、広大な荒れ地へ足を踏み入れる。特に身構える必要はないが、普通に考えると異常な行為だ。非日常過ぎて、難しく考える余地がない。

一般的な公道用モデルではなし得ないほど、容易くオフロードを堪能できる。砂利が浮いた路面では、50mmかさ増しされた車高で充分。タイヤが跳ね上げた小石が、ボディを守るサイドシルやアンダーガードに当たり、パラパラと鳴る。

後方にも盛大に砂埃と小石が舞う。ダカールのすぐ後ろは、走らない方が良さそうだ。

スピードを上げて砂漠へ飛び込んでいける

ラリー・モードを選ぶと、479psという豊かなパワーを活かし、リアタイヤのトラクションを抜きながら思い切りドリフトに興じれる。違う景色が見たくなったら、猛スピードで突進もできる。

ステアリングや前後のアクスルを見守るソフトウエアは、悪ふざけの限界値を見極め、電子的なアシストを加えてくれる。必要になればフロントアクスルにトルクを加えて、体勢を整えてくれる。

オフロード・モードでも基本的には同じことができるものの、しきい値が低くなる。ハイスピードで暴れまわるのではなく、シリアスな悪路で前進し続けるための設定が与えられている。

ダカールは最高だな、と感じながら、いよいよ目前に砂の山がそびえだす。もちろん、怯む必要はない。車重は一般的なオフロードモデルより500kgから1000kg近く軽い、1610kg。重心は低く、パワーウエイトレシオは高い。タイヤも専用品だ。

足がすくわれるような砂地では、勢いがすべて。可能な限りスピードを上げて、飛び込んでいくのがベスト。ダカールが受け止めてくれると信じて。

8速PDKをマニュアルモードにし、アクセルペダルを蹴飛ばす。3.0L水平対向6気筒ツインターボがうなり、レブリミットに当たる。ボディの前後左右に細かい砂が巻き上がる。一般的なSUVなら横転を恐れ、注意深く進むような場面だと思う。

ポルシェ911の所有体験に新しい次元

広大な砂丘を横断する必要があるなら、そのままステアリングホイールを握り疾走すればいい。高い速度域を保ちながら、猛然とダカールは駆け抜けるはず。クルマの限界を迎える前に、ドライバーの精神が燃え尽きてしまいそうだが。

弱点もゼロではない。着座位置が低いため、周囲の状況を見渡すことが難しい。でも、他には思い浮かばなかった。

ポルシェは、ダカールをアフリカや中東地域で販売していない。技術者が意図した環境を、実際に走る機会は少ないといえる。

当初は、お金持ちのおもちゃのような、ファッション重視の911だと考えていた。しかし、ひとしきり体感して考えを変えた。厳しい環境に住んでいる人や、ウインタースポーツを毎年の楽しみにしている人にとっては、最高のポルシェかもしれない。

派手なカラーリングに目が行きがちだが、落ち着いた塗装色でサマータイヤやスタッドレスタイヤを履く姿なら、違う印象を受けるはず。911は、世界で最も日常使いしやすいスポーツカーの1台といえる。そのダカールは、最も多用途な仕様といえる。

パリ・ダカール・ラリーとは、直接的な関係性はないかもしれない。だとしても、ポルシェ911の所有体験に、新しい次元が追加されたことは間違いないだろう。

番外編:リフトシステム付きの専用サス

ポルシェ911 ダカールのサスペンションには、車高を30mm持ち上げる機能的なリフトシステムが備わる。前後アクスルで同時に車高が高くなるため、一般的なノーズリフト・システムのように空力的なデメリットが大きくは生じない。

ポルシェは、走行速度が175km/h前後を超えると自動的に低くなるよう設定しているが、それは空気抵抗などが理由ではない。ピレリ・スコーピオンが、オフロードを許容できる限界の速度なのだという。

前後同時に1610kgの911 ダカールを持ち上げるため、リフトシステムには高圧のアキュムレータが用いられた。圧力は、110barから135barへ強化されている。

最低地上高は、リフトシステムを機能させない状態で161mm。機能させると191mmへ増すが、それにより、SUVのポルシェ・カイエンと同等のブレークオーバー・アングル、ホイールベース間で峰を越えられる角度を得られる。その走破性は確実に高い。

ポルシェ911 ダカール(欧州仕様)のスペック

英国価格:17万3000ポンド(約2768万円)
全長:4530mm
全幅:1864mm
全高:1338mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:256g/km
車両重量:1610kg
パワートレイン:水平対向6気筒2981ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:479ps/6500rpm
最大トルク:57.9kg-m/2300rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

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