製造コストは従来のリチウムイオン電池の半分
GM(ゼネラルモーターズ)のプレミアムブランド「キャデラック」が、ブランド初のフル電気自動車となる「リリック(LYRIQ)」を発表しました。GMが「スーパークルーズ」と呼ぶ先進運転支援システムのアドバンスバージョンを搭載していること、10億色を超える表示が可能という33インチの大型LEDスクリーンによる先進コクピットなど見どころ満載の電気自動車ですが、ここでは電池に注目してみましょう。
リリックが搭載するのは「アルティウム」というGMが独自に開発した新世代リチウムイオン電池です。この電池については、同社の次世代電気自動車アーキテクチャのコアテクノロジーとして発表されていますし、燃料電池でパートナーシップを組むホンダが供給を受けることも発表されています。
なにより注目なのは、製造コストが従来品の半分程度に抑えられているであろうという情報があったことです。今回、リリックの発表に伴い、そのローコストの秘密が公開されました。
正極にアルミを使って高価なコバルトの使用量を7割削減
この新しいリチウムイオン電池では正極にアルミニウムを使用することで、コバルトなどのレアアースの使用を減らしているというのです。
コバルトは、アフリカ中部のコンゴ民主共和国が埋蔵量の半数を占めるという状況にあります。その意味ではコバルトへの依存度が高い状態というのはコスト、生産の両面において課題となっています。ここ数年、コバルトの価格は乱高下していますが、自動車業界に限らず、世界的にリチウムイオン電池へのニーズが高まる中で長期的には上昇傾向にあるのは間違いありません。
そうした状況下で、アルティウムでは、正極で使用するコバルトを70%減らすことに成功。一般論ですが、リチウムイオン電池のコストの7割はコバルトが占めるという話もあります。コスト要因の70%となるコバルトを70%削減したということは、単純計算で約50%のコスト減につながります。たしかに、それならば従来品に対して生産コストが半減したという話も納得ですね。
また、アルティウムを搭載する新プラットフォームでは配線や冷却といったバッテリーの肝になる部分をシンプルな設計とすることで軽量化や車両全体のローコスト化も図っているといいます。具体的には、バッテリーパックに関する配線の90%を削減したというほど。そうした効率的な設計とすることで、リリックには100kWhものアルティウムを搭載することが可能になったというわけです。
FFもFRも4WDも可能。ホンダがどう使いこなすかも注目
リリックの一充電走行距離は300マイル(480km)ということです。日本で見かけるカタログ値と比べると、バッテリー総電力量に対して走行距離が短めに感じますが、そもそもアメリカのEPAの表示は辛い傾向にあります。おそらく、日本のJC08モードで測定すれば800km程度の数字が出ることでしょう。
リリックはリアのモーターを置いたRWDとなりますが、ハイパフォーマンスバージョンではフロントにもモーターを配したAWD仕様となるそうです。こうした設計思想は「日産 アリア」やテスラの各モデルにも通じるものがあり、いまどきのBEVとしては珍しくないものですが、FWDも可能というのがこのアーキテクチャの特徴。
そして、前述したようにGMのBEVプラットフォームはアルティウムバッテリーも含めてホンダに供給されます。はたして、ホンダからどのようなパフォーマンス系BEVが登場するのか、そちらも注目といえそうです。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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