F1カタールGPでは、予選でも決勝レースでも、レッドブル+マックス・フェルスタッペンが圧倒的な速さを見せた。まさに開幕直後を思い起こさせるような、そんな強さだった。メルセデスのジョージ・ラッセルに対して抱えていた怒りの感情が、そんなスーパーパフォーマンスを発揮する上での一助になったのかもしれない。
今シーズン開幕直後は圧倒的な強さを誇っていたフェルスタッペン。しかしシーズンが進むにつれ、その勢いはどんどん失われていき、マクラーレンやフェラーリ、そしてメルセデスの後塵を拝するレースが増えていった。
■ノリス、黄旗無視ペナルティは正しい裁定と納得。勝利争ったフェルスタッペンが“チクリ”も「逆の立場なら僕もやる」
しかしカタールGPでは、金曜日~F1スプリントまでは厳しい戦いを強いられたものの、予選では一転トップタイムをマーク。決勝レースでもランド・ノリス(マクラーレン)と激しい戦いを繰り広げ、ノリスがペナルティを受けて後退した後は、後続を寄せ付けぬ走りで完勝。シーズン序盤のような強さを取り戻した。
しかし予選では、前述の通りトップタイムを記録しつつも、不必要なスロー走行をしたとして、1グリッド降格ペナルティを科された。これにより2番グリッドからのスタートを強いられたのだ。
このインシデントは、予選Q3最終アタックに入る前のウォームアップラップでで起きた。最終アタックに向けてペースを落として走行していたフェルスタッペンに追いついたラッセルは、接触を避けるために急減速しなければいけなかったのだ。
この件は審議対象となり、フェルスタッペンとラッセルがスチュワードルームに呼び出され、聞き取り調査が行われた。
フェルスタッペンはこの件でペナルティを受けるとは到底信じられず、他のドライバーの邪魔をしないように細心の注意を払って走っていたと説明した。しかしスチュワードはこれを聞き入れなかった。またフェルスタッペンは、ラッセルがスチュワードを騙すような説明をしたことについても非難した。
「ペナルティを受けるなんて信じられなかった。でも自分が生きている世界の中では、それはもう驚きでもなんでもないよ。裁定に満足はしていないけど、いつかは次のページに進まなければいけない」
そうフェルスタッペンは語る。
「ああいうことが起きるのを見るのは、あまり楽しいことではないね。スローラップを走っている時にペナルティが科されるのは、初めてだったと思う」
「実際、僕はただ正しいことをしようとしただけだ。そういうことをすべきではなかったのかもしれない。アタックの準備のために、誰かの邪魔をしたくないと思っていたんだ。そして正しいことをしたのに、ペナルティを受けることになった」
「僕はそれについて説明しようとした。でも、レンガ造りの壁に向かって話しているみたいだったんだ」
「スチュワード・ルームに座っていた時、起きていることにとても驚いた。正直、とってもがっかりしたんだ。ここにいる誰もがみんな、お互いのことに敬意を払っていると思うからだ」
「これまでのキャリアの中で、何度もその会議室に行ったことがある。でも、誰かがあれほど酷く誰かを騙そうとしているのを見たことがない。彼に対する全ての尊敬を失ったよ」
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はskyのインタビューに対し、フェルスタッペンはラッセルに対する怒りの気持ちを活かして、スタート直後にラッセルを攻略して首位に立ったのだろうと推測した。
「マックスは昨日のジョージとスチュワートの前で起きた展開に苛立っていた。そのモチベーションを、レースに活かしたんだ」
「彼はこのレースに向けてとても意欲的だった。それは明らかなことだった。素晴らしいスタートを切り、1速、2速、3速とギヤを上げていく中で、ターン1をトップで駆け抜ける1台になるだろうと予想していたんだ」
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