日本展開もある? 欧州最新LCV「シタン」
text:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】新たなLCVを予習【新型シタン/カングーを見る】 全184枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
ドイツとフランスでの小型商用車(LCV)のつながりから、クルマの新たなる可能性が見えてきた。
この話は、日本市場にも大きな影響を及ぼしそうだ。
メルセデス・ベンツは2021年7月26日、新型「シタン」とEVの「eシタン」を2021年8月25日にワールドプレミアし、2021年9月中旬から欧州で販売を開始することを明らかにした。
公開された画像は、赤いボディ後部のシタンとメルセデス・ベンツ双方のロゴマークを強調したイメージショットだ。
資料によれば、新型シタンには予防安全技術に関するカメラや超音波センサー、メルセデス・ベンツCクラスやSクラスでも採用しているアクティブレーンキーピングアシスト、ヒルスタートアシスト、ブラインドスポットアシスト、スピ―ドリミットアシスト、そして緊急時のエマージェンシーコールシステムなどが最新技術が標準装備されている。
また、「ハイ、メルセデス」と発話して機能がオンになる音声認識システムも搭載し、廉価でシンプルといったイメージが残るLCVの常識を大きく変えるクルマであることを強調した。
ただ、車体、サスペンション、そしてエンジンやモーターなどの駆動系に関する具体的なデータをワールドプレミアまでお預けとなった。
こうした新型欧州LCVが日本市場にも展開されるのか?
フランス車の切り開いた乗用LCV さらに進化?
新型シタンが日本で正規販売される可能性はゼロとは言い切れない。
なぜならば、新型シタンと車体やパワートレインを共通化するMPV(マルチパーパスヴィークル)のTクラスが2022年上期にグローバルで発売されるからだ。
メルセデス・ベンツが2020年7月28日に明らかにしている。
この時点で、新型シタンと新設されるTクラスは、現行モデルである初代シタンと同様にルノー/日産/三菱アライアンスとの共同開発となることが分かっている。
初代シタンは、ルノー「カングー」の兄弟車であるので、新型シタンとTクラス、さらに新型カングーが兄弟車ということになる。
とれば、ルノーにTクラスとの兄弟車も登場するかもしれない。
周知のとおり、日本ではカングーを商用車としてではなく、ミニバン感覚で楽しむ愛好家が大勢いる。
また、直近ではシトロエン「ベルランゴ」が広い世代で静かなブームとなるなど、欧州MPVがLCV本来の枠組みを超えた乗用小型ミニバンとして日本市場でも定着し始めている。
ここに販売力が強いメルセデス・ベンツが日本でも、Tクラス、新型シタン、さらにはそれぞれのEVモデルまでフルラインナップすることもあり得ると思う。
日本ではフランス車が切り開いてきたLCVの乗用化の波がドイツ車にも及んできそうだ。
近しい関係 メルセデスとルノー/日産
それにしても、なぜメルセデス・ベンツがルノー/日産/三菱と協業してLCVを販売しているのか?
時計の針を2010年代初頭まで戻してみよう。
当時、日産はゴーン体制による事業変革の真っ只中にいた。鳴り物入りで発売した大量生産型EVの「リーフ」ではルノーと車体や電動パワートレインの共通化を図るなど、ルノー/日産としての協業体制が強まっていった。
一方、日産としてはグローバルでのさらなる成長を狙い、新たなる仲間づくりを進めた。
それが、ダイムラーとの連携だ。
具体的には、スカイラインでメルセデス・ベンツの直列4気筒ターボエンジンを搭載モデルを設定。
日産の担当エンジニアが「制御システムなど、メーカーが違うとこれほど社内規定が違うことに驚いた」とエンジン移植の難しさを指摘した。
また、中近東、中南米、東南アジアなどを念頭に導入された、ピックアップトラックのメルセデス・ベンツXクラスも誕生した。
日産がタイで生産する「ナバラ」をベースだったが、市場からはメルセデス・ベンツのブランドイメージに対する反応は極めて厳しく、2年ほどで撤退する事態に陥っている。
そうした中で、2012年に登場したカングーをベースとしたシタンは欧州市場を中心に安定した需要を確保できたからこそ、今回の2代目登場へとつながった。
EV化? 鍵を握るはカングー/ベルランゴ愛好家
さて、メルセデス・ベンツは2021年7月22日、2030年までに全モデルEV化に向けた準備に入ったと表明した。
これに伴い、2022年から2030年までに総額40ビリオンユーロ(約5兆2000億円)もの研究開発費用をEV向けに一気に投入する。
欧州では欧州委員会(EC)が2035年までに欧州域内で発売する新車100%EV化を達成目標に掲げており、ハイブリッド車すら販売できない状況となりそうだ。
こうした欧州での急激なEVシフトの波は日本にも影響を与えることは間違いなく、その中で世界自動車産業界のベンチマークであるメルセデスベンツが果たす役割はとても大きい。
とくに、LCVの電動化については日本でも企業での需要が高く、eシタンの日本市場導入の可能性は十分あるといえるだろう。
そうなってくると、カングーのEV化はもちろんのこと、ベルランゴEVについても乗用化の波が日本市場で広がる可能性が出てくる。
これまで、欧州LCV市場の動向について、日本のユーザーは遠い国での出来事として捉えてきたが、グローバルでのEVシフト加速という社会変化の中で、日本での状況は大きく
変わるのかもしれない。
その鍵を握っているのは、カングーやベルランゴの愛好家だと思う。日本市場の変化を、これからもしっかりと見ていきたい。
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