塗膜が「放熱」する機能ペイントがガンコート
気が付けば750RS/Z2-A後期モデルを購入してから1年以上が経過しました。購入直後からしばらくの間は、現状確認として試運転を繰り返し行い、ウイークポイントと呼ばれる箇所を中心に、メンテナンスおよび予防メンテナンスを行いました。
【画像】シャープな仕上がりも特徴!! Z2エンジンに施されたガンコートペイントを画像で見る(10枚)
エンジンに車体、そして鬼門の電気系を含めて「外から手を入れられる部分」に関しては、徹底的に予防メンテナンスを実践しました。乗りっ放しではなく、普段からメンテナンス&気配りが行き届いていれば、そうは簡単にトラブルを起こさないのがバイクだと思います。特に、初代空冷Zシリーズの750RSは、頑丈なことでも有名なので、尚更のことです。
しかし、いくらメンテナンスに気を配っても、如何ともし難い部分がありました。それは、車体の骨格でもあるフレーム関連や、エンジン外観のペイントコンディションです。バイクの程度や美しさを判断する上で、重要なポイントになるのがフレームや足周りパーツの輝き=美しさ、それと同時にエンジン本体の存在感=美しさも評価ポイントになります。
そんな評価ポイントと現状を照らし合わせると、このZ2Eエンジンは「薄汚さ満点!!」と呼べるコンディションです。外装パーツは、青玉虫カラーで美しく仕上がりましたが、その一方で、細部のコンディションの悪さが逆に目立ってしまいました。薄汚くサビが多いフレームや、ブラックエンジンのペイントコンディションが、あまりにも良くない=お世辞にも美しいとは言えないコンディションだったのです。
そこで、フレームペイントを決意しました。過去にフレームのDIY塗りは何度も経験しましたが、さすがに750RSということもあって、ヘタクソな仕上がりにはできません。そこで、迷わずプロペインターへ依頼することにしました。愛知県豊田市のパウダーコーティング・カトーさんにて、カワサキ純正調のブラック仕上げでオーダーしました。
エンジンに関しては、すでに車体から降ろしていたので、迷うことなくオーバーホールします。よく見えるエンジンパーツのブラックペイントも美しく仕上げないといけません。ペイント作業はDIYで行いますが、以前から興味津々のガンコートペイントを利用します。
ガンコートペイントの塗膜は、エンジン熱を積極的に冷却する「高い放熱効果」を持つ高機能ペイントとしても知られています。過去にレース用空冷4ミニエンジンで体感していて、その素晴らしさを空冷4気筒でも味わいたいと考え、施工することにしました。しかも今回は、ボアアップによって1000cc化するので(あくまでトルク重視仕様のエンジンですが)、熱対策も施しておきたいと考えています。
気になる耐ガソリン性や耐溶剤性に関しても、高いアドバンテージを持つのがガンコートペイントてす。吹き付け後には高温乾燥器で塗膜を「焼き付け乾燥」しなくてはいけませんが、その工程をクリアできる設備があれば、ガンコートほどエンジン部品に対して素晴らしい効果を発揮するペイントは無いと思います。
作業手順と乾燥温度は、ペイント施工後に10~15分程度の自然乾燥で塗膜を落ち着かせます。その後、高温乾燥器に入れて180℃に温度設定し、乾燥器内温度が180℃に達してから、1時間以上焼き付け乾燥させるのが手順になります。
個人的な印象では、クランクケースなどの大物部品は、手順通りに焼き付け乾燥させ、自然冷却で常温へ戻ってから、再度、同じ手順で焼き付け乾燥させることで、より一層、良い仕上がりになる印象です。小物部品やエンジンカバーなどは、部品が小さく薄いため、1回の乾燥で十分な仕上がりになると思います。
仮に、小物部品の焼き付け乾燥であれば、卓上サイズの小型高温乾燥機もあります。ガンコートペイントの発売元であるカーベックでは「CVジュニア」のネーミングで商品ラインナップしていて、DIYユーザー向けにすでに3000機以上の販売実績を誇るそうです。過去にミニバイク耐久レースへエントリーしていたときには、ホンダ4ミニエンジンのガンコートペイントは、すべてDIYかつCVジュニアで仕上げました。
もうひとつ触れておきたいのは、ガンコートペイントは1液性で、シンナーや硬化剤など、他の溶剤を混ぜることなく施工できる点です。自分自身だけの特色を作りたければ、標準色をベースに混ぜ合わせて調色することも可能です。過去に異なる2種類のゴールドを混ぜ合わせて、標準色には無い特性ゴールドを作ったこともありました。
また、ペイント完了後のペイントガンのカップや容器内に余ったガンコート塗料は、もとの容器内に戻して再利用することができます。もちろん硬化するなどの反応が起こることも無ありません。
今回利用したのはガンコートのブラックになります。標準で2種類のブラックがありますが、ピカピカに輝く艶ありのグロスブラックではなく、半ツヤ仕上げになる「サテンブラック」をチョイスしました。
実作業にあたっては、ヘンな仕上がりにならないように、スタッドボルトの座やスパークプラグの締め付け座など、マスキングすべきところは徹底的に施しました。そして、慎重にペイント作業を行いました。
そうは言っても「DIYのサンメカペイント」であることに変わりありません。それでも満足できる仕上がりなるように、ひたすら慎重に作業し、納得できる仕上がりを得られました。次項では、空冷Z2Eエンジンへ施した、ガンコートペイント実践をリポートいたします。
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みんなのコメント
見た目はZ900RSより良いと思う。