クルマに限らず、大半のモノは購入後その価値は下がっていく。クルマの場合、車種によって値落ち額はさまざまではあるが、クルマそのものの価値は総務省が発表している「中古車残価率表」が目安となる。
この数字は中古車を購入した場合の自動車取得税を算出する時に使用されるもの。下のとおり自家用の場合、普通乗用車は6年、軽自動車は4年の耐用年数で計算され、それぞれ、6年、4年で残価率は10%まで下がる。
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クルマの下取り価格はこの数字をベースに算出されているが、「人気」という不確定要素が価格に大きな影響を与え、残価率に差が出るのだ。
今回は、さまざまな要因によって話題となっているメーカーのクルマの「値落ち率」、その事情に迫ってみよう。
※本稿は2019年1月のものです
文:萩原文博(中古車事情に詳しい自動車ライター)/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年2月26日号
■昔から値落ちが少ないといわれるトヨタ車は今もそうなのか?
トヨタ車は国内市場で約30%、登録車では約45%を占めるほど新車販売の人気を誇っている。実際に日本自動車販売協会連合会が発表している、2018年暦年の新車登録台数のベスト10を見てみると、2位のアクアをはじめ、3位プリウス、5位シエンタ、6位ヴォクシー、8位カローラ、9位ヴィッツそして10位にルーミーと、7台もランクインしているのだ。
中古車は人気のあるなしが価格に反映されるもの。これだけ人気の高いトヨタ車の残価率はどれくらいなのかを調べてみた。
調べたのは新車販売台数、2位のアクア、3位のプリウス、12位のC-HR、25位のヴェルファイア、そして23位のハリアーの5車種だ。モデルライフが長くなっていて、中古車が多く流通しているアクアの1年目の残価率が唯一58.8%と60%を切っているが、そのほかはプリウスが69.9%と人気車の基準といえる残価率70%近くをラクラクキープ。なかでも人気の高いLLサイズミニバンのヴェルファイアは80%に迫る驚異の79.7%を記録している。
コンパクトカーの人気モデルである日産ノートe-POWERの残価率が1年目は64.7%、3年目が60.3%なので、これ以上をアクアを除く4車種はラクラクとクリア。ヴェルファイアとハリアーは5年目でも約55~約60%と高い残価率をキープしているのである。これだけの高い数値はなかなか出ないものなので、やはりトヨタ車の残価率は高いといえる。
ただし、トヨタ車すべてが高いわけではないということはアクアが証明している。長いモデルライフの末期になっている車種や、トヨタ車とはいえ販売が苦戦しているモデルは、これほど高い残価率は維持できない。
■“マツダ地獄”といわれたマツダ車の値落ちは止まった?
一度マツダ車に乗ると、他社のクルマに乗り替えることができなくなる。それを自動車業界では「マツダ地獄」と呼んでいた。マツダ地獄の原因は新車販売時に大幅な値引きを行うことにより、他社での下取り(買い取り)価格が低くなってしまい、結局マツダ車を乗り継ぐというスパイラルのことを指すのだ。
実は、このマツダ地獄は2012年に登場した、マツダの新世代技術群「SKYACTIVテクノロジー」をフル搭載した初代CX-5によって終止符が打たれたのだった。SKYACTIVテクノロジーによって商品力が向上したマツダ車は大幅な値引きをしなくても、セールスが好調となったからだ。販売店のCIも変更し、長年続いたマツダ地獄から脱却したように見えた。
しかし、現在は新たなマツダ地獄が始まっているのかもしれない。表を見てほしい。新型マツダ3が公開されたモデル末期のアクセラスポーツは1年落ちの平成30年式の残価率が58.9%と低くなっている。
しかし、デミオでも64.6%、人気のSUV、CX-5は70%超えという高い残価率を示している。同じコンパクトカーのノートe-POWERが64.7%、アクアが55.4%なので、デミオの高さがわかる。しかし、3年落ちの平成28年式になると、グンと下がってしまう。この残価率の下落幅の大きさが新マツダ地獄の正体といえる。
マツダは年次改良に加えて、さまざまな改良を短いタームで行っている。しかし、その真面目な姿勢が旧モデルの残価率を下げてしまうのである。
例えば、同じモデルであっても初期型と最新型では安全性能や走行性能に大きな差が生じてしまうため、年式の進んだモデルの値落ち幅が大きくなってしまう傾向にある。
■中古の値崩れが激しいと噂のBMWは実際どうなの?
中古車相場が値崩れを起こす最大の要因は、市場に中古車が大量に出回ること。その理由は中古車には定価がないため、需要と供給のバランスによって相場が形成されているから。欲しいと思うユーザーの数に対して、莫大な量の中古車が発生すれば、中古車は値崩れを起こすということなのだ。
BMWの中古車で値崩れが起きているというので調べてみた。表のとおり、人気の高いコンパクトSUV、X1の残価率だけは、1年目で72.7%、3年目で62.6%とい高い数値となっているが、そのほかはかなり厳しい。
モデル末期の3シリーズの残価率は1年目で62.5%、3年目で46%、5年目で36.1%まで下がっている。同じドイツプレミアムブランドのメルセデスベンツCクラスでは1年目の残価率が72.7%、3年目が64.2%。そして5年目でも46.7%と高水準をキープし、BMW3シリーズに大きく水を開けているのだ。
もともと、BMW3シリーズもCクラスに近い数値だったのだが、新車の100万円を超える値引き販売、そして未使用中古車を大量に市場に流出させたために残価率が大きく下がってしまったのだ。今年は新型3シリーズが発売される予定なので、旧型となる3シリーズはさらに値落ちが進んでしまうはず。
そして最も厳しい状況なのが、2018年にマイナーチェンジを行ったBMW2シリーズアクティブツアラー。マイナーチェンジと重なった1年目ですでに59.5%。3年目で42.6%まで下がってしまっているのだ。
ドイツプレミアム御三家と呼ばれ、駆け抜ける歓びを味わえることで人気を博したBMWだが、現在は中古車相場の値崩れで苦しんでいる。
■最近新型車が人気のボルボは値落ちが少ないのか?
一年間に発表、発売されたクルマのなかから、ナンバー1を決めるのが日本カー・オブ・ザ・イヤー。ボルボは2017年にXC60、そして2018年はXC40で輸入車ブランドとして初めて2年連続でイヤーカーに輝く偉業を達成した。
その効果は絶大で、XC60そしてXC40の納車は長期に及んでおり、納車までの間、別のボルボ車に乗るブリッジ「SMAVO」というサービスを展開。こちらのサービスもユーザーに好評となっている。
2017年に登場したフラッグシップモデルXC90から始まったボルボの新商品群だが、どれだけ人気なのか残価率を調べてみた。残念ながら話題のXC40は数値を出すことができなかったが、そのほかのボルボ車も驚異的な数値を記録していたのだ。
エントリーモデルとなるV40。現行モデルとして最終型ともいえるクラシックが登場したが、2018年式の残価率を調べてみると3カ月前が73.1%。今月でも66.4%と非常に高くなっている。そして新世代ボルボの幕開けを告げたXC90も3カ月前が74.1%、今月が70.9%と70%超えの高水準となっている。
そのなかでも最も高い残価率を示しているのが、イヤーカーに輝いたXC60。3カ月前の残価率は驚異の83.5%で、今月でも79.2%と高水準。メルセデスベンツやBMWといったプレミアムブランドの人気車種でも72~73%なので、このXC60の残価率は凄すぎる。
賞の獲得もひとつの要因だが、新プラットフォームの採用により、高い走行性能そして安全性能を両立させたこともこのボルボ人気を支えている。そして、シンプルかつ上品なスカンジナビアデザインに惹かれるユーザーを獲得できたのも大きい。
このボルボの台頭はクルマ選びの指向性が変わったことを表している。
■ゴーン会長逮捕の影響で日産車は値落ちしている?
2018年11月19日、日産自動車のカルロス・ゴーン会長が金融商品取引法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕され起こった「ゴーンショック」。2019年1月8日には会社法違反(特別背任)の疑いで再逮捕され、現在も東京拘置所に勾留されている。
企業トップのスキャンダルだけに、販売に影響が出るかと思っていたが、日産ノートが’18年暦年の新車登録台数で13万6324台を達成し、初のトップに輝いた。また、同じく暦年でセレナが9万9865台でミニバントップに輝くなどゴーンショックの影響は個人向け新車販売への影響は少ないようだ。
しかし、日産関係者に話を聞くと、ノートとセレナの偉業を手放しで喜んではいられないという。その理由は法人需要が大きく下がっているからだ。やはり、企業トップのスキャンダルはクリーンなイメージを大事にする法人需要に影響が出ていて、現場は驚異を感じているという。
新車では好調だったが、中古車の影響はどうなのかと調べてみた。下の表はゴーン元会長の逮捕前と逮捕後、そして現在の中古車の平均価格の推移だ。
チェックしてみると、人気のノート、セレナに加えて、エクストレイル、エルグランド、スカイラインといった日産の主要5車種を調べてみると、エクストレイルやエルグランド、スカイラインは値落ちしているものの、これは通常の値落ちで、逮捕の影響は小さい。
注目なのは、新車販売台数ナンバー1に輝いたノートだ。中古車市場に未使用中古車が大量に出回ったため、平均価格が上昇している。いくら名誉が欲しいとしても、これはちょっといただけない。しかし、ユーザーにしてみれば、新車とほとんど変わらない高コンディション車が割安で手に入るというのはおいしい話なので、見逃せない。
【番外コラム】 値引き大なら値落ちが大きくても納得!今、新車値引きが大きいのは?
(テキスト/遠藤徹)
新車購入時に値引き幅が大きいと4~5年後に代替えする時に値落ち幅が大きくなり、結果的に損をしてしまうことがある。ただし、これはすべての車種に当てはまるわけではない。値引き幅が大きくても中古車価格が高い(=値落ち幅が小さい)車種もある。人気の高いSUV、ミニバンなどがこれに相当する。
人気の高いモデルでも値引き幅が大きくなるのは、戦略モデルでライバル車が多く存在する場合、モデルが古くなったりした時などだ。大幅値引きになった車種で、下取りに出す時に値落ち幅が小さく高値がつくかどうか? その目安は販売台数の多い人気モデルのケースが多い。購入予定車の値落ち幅については、その車種やライバル車の営業マンに聞いてみるのもいい。
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また、新車選びでは買いたいクルマの将来的な値落ちが気になるが、値引きが大きければお買い得ともいえる。そこで今、値引きが大きい国産車の10車種を表で紹介。
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