クルマの故郷であり雇用の場
自動車工場は産業の要であり、大きいところでは1年間に100万台以上を生産している。
【画像】生産台数の多い車種は?【カローラ、F150など5車種を見る】 全118枚
数百万平米という広大な敷地に、数千人から数万人もの従業員が働く巨大工場は、自動車メーカーだけでなく地域の産業・雇用面でも重要な役割を担っている。
ここでは、2019年のデータをもとに(2020年はごたごたしていたので、そのデータを使っても意味がないだろう)年間生産台数の多い工場を昇順に紹介する。クルマの故郷に思いを馳せてみよう。
ステランティス:米イリノイ州ベルビディア – 20万8000台
ベルビディアで初めてクルマが作られたのは、1965年。プリマスとダッジの生産に使われたのが始まりだ。2016年に3億5000万ドル(約400億円)をかけて行われた改装により、工場はジープ・チェロキーの製造に専念するようになり、2019年には20万8000台が出荷された。
現在、ステランティス(フィアット・クライスラーとPSAグループの統合会社)の傘下にあるベルビディア工場には2500人が働いている。
ジーリー:中国湖南省湘潭市 – 24万台
ジーリー(吉利汽車)は、中国では珍しく国が関与しない民営の会社だ。そのおかげで会社は急速に発展し、ボルボを除く年間総生産台数約130万台のうち、湘潭(しょうたん)工場では年間24万台もの自動車を生産している。主なモデルは、小型SUVのヴィジョンやセダンのSC7、GC7だ。
メルセデス・ベンツ:米アラバマ州タスカルーサ – 30万台
メルセデスは、米国アラバマ州のタスカルーサで、年間約30万台のSUVを生産している。現在、4400人の従業員がGLEとGLS、そしてメルセデス・マイバッハGLSの生産にあたっている。
また、EVモデルであるEQEとEQSの生産もこの工場で行われている。1995年に設立されたこの工場は、メルセデスにとってドイツ国外における最初の主要生産拠点となった。
フォード:米ケンタッキー州ルイビル – 30万台
ケンタッキー州ルイビル工場は、フォードが米国内に持つ大規模な工場網の中で最も長い歴史を持つ工場の1つであり、1913年のT型フォードを皮切りに自動車製造を続けている。現在はエスケープとリンカーン・コルセアが生産されている。
ルイビル国際空港のすぐ隣にある同工場では、4500人が働いている。工場内には、部品を運ぶベルトコンベアーが32kmも続いている。
上海フォルクスワーゲン:中国湖南省長沙市 – 30万台
上海から西へ約880km、上海フォルクスワーゲン社が運営する長沙工場は、中国におけるフォルクスワーゲンの20番目の工場である。同社は、SAIC(上海汽車)とフォルクスワーゲンの合弁会社だ。中国市場向けにフォルクスワーゲン・ラヴィダやシュコダのモデルを生産しており、4000人を雇用している。
太陽光発電で1万MWhの電力を賄っており、世界で最もエネルギー効率の高い自動車工場の1つとされる。また、雨水利用や生産工程での水の再利用を行い、工場全体の水消費量を20%削減している。
ゼネラル・モーターズ:米国インディアナ州フォートウェイン市 – 30万1000台
インディアナ州フォートウェイン工場が、米国で最も人気のあるピックアップトラック2台を生産しているとなれば、その規模が世界最大級であることも何ら不思議ではない。2019年には、30万台以上のGMCシエラ1500とシボレー・シルバラード1500が、約65kmに及ぶベルトコンベアと2276台のロボットのサポートを得て生産・出荷されていった。
敷地内のトラックヤードには97か所のトラックドックがあり、2.6分ごとに配送が行われているという事実から、この工場でどれだけの材料を消費しているかが伺えるだろう。
メルセデス・ベンツ:ドイツ・バーデン=ヴュルテンベルク州ジンデルフィンゲン – 31万台
シュトゥットガルトの南西に位置するメルセデスのジンデルフィンゲン工場では、1915年から自動車製造が行われている。生産ラインでは2万5000人のスタッフが働いており、さらにメルセデスの研究本部としても使用されているため、敷地内にはこの他に1万人のスタッフがいる。
ジンデルフィンゲンでは、2019年にSクラス、Eクラス、AMG GTモデルなど31万台を生産した。2022年には、新型GLCもこの工場からラインオフする予定だ。
ホンダ:米アラバマ州リンカーン – 34万台
ホンダは、米国アラバマ州リンカーン工場で、オデッセイ、パイロット、リッジライン、パスポートを約34万台生産している。建設費は26億ドル(約2970億円)で、2001年に操業を開始した。工場は約550万平米の敷地にあり、4500人の従業員が働いている。なお、従業員の平均給与は、アラバマ州の平均給与より67%も高い。
ヒュンダイ:米アラバマ州 – 39万9500台
2005年に開設されたヒュンダイのアラバマ工場は、毎年最大39万9500台を生産しており、これによりアラバマ州は米国最大の自動車生産州の1つとなっている。工場では3000人の従業員が働いており、敷地面積は約718万平米に及ぶ。また、自動車を製造する工場であると同時に、敷地内に3kmのテストコースを持っている。
日産:英タインアンドウィア州サンダーランド – 34万6535台
日産は1984年にサンダーランド工場を設立。2019年にはSUVのキャシュカイとジュークを中心に、EVのリーフなど34万6535台を生産した。約7000人が働いており、敷地内は車体組立、塗装、最終組立の3つのエリアに大きく分かれている。
サンダーランド工場で働く生産ライン作業員は、全員が3種類の仕事の訓練を受けている。これにより日常的に仕事を変えることができ、退屈の軽減やスタッフの欠勤にも対応している。
キア:スロバキア・ジリナ – 35万0000台
1984年に設立されたスロバキアのジリナ工場は、キアにとって欧州で最初の製造拠点であった。現在では全世界の従業員の8%となる3800人が働いている。長さ8kmの生産ラインがあり、530台のロボットによって年間35万台の自動車が生産されている。
ジリナ工場で生産されたモデルは76か国で販売され、キアの1年間の欧州販売台数の半分を占めている。
キア:米ジョージア州 – 36万台
ジョージア州で唯一の自動車生産工場が、キアの工場だ。敷地面積はおよそ890万平米で、18億ドル(約2000億円)をかけて作られた。敷地内では2700人が働いており、3交代制で24時間稼動している。
同工場で製造されている主なオデルは、テルライド、ソレント、K5など。ここからカナダ、メキシコ、中東に輸出されるほか、国内市場向けにも販売されている。
トヨタ:英ダービーシャー州 – 36万台
英国のダービーシャー州バーナストンにあるトヨタの工場では3800人の従業員が働いており、1992年末から自動車を生産している。最初に作られたのはカリーナEで、現在はカローラとOEM供給のスズキ・スウェイスを生産している。
フル稼働の場合、年間36万台の生産が可能だが、ここ数年間はそれ以下の生産量にとどまっている。2020年6月に累計生産450万台を達成した。
フォード:米イリノイ州シカゴ – 38万2000台
45万7000平米の敷地を持つフォードのシカゴ工場では、エクスプローラー、リンカーン・アビエーター、そしてパトカーのポリス・インターセプター・ユーティリティが生産されている。エクスプローラーの需要の高まりから、フォードは同工場の従業員を増員し、現在では約5700人の従業員を擁している。
工場は1924年に設立され、最も長い歴史を持つ工場の1つだ。現在では、3Dプリンターを使って生産スピードを高めている。
フォード:米ミシガン州ディアボーン・ルージュセンター – 40万台
フォードのルージュセンターで最初に製造されたのは、第一次世界大戦中の米国海軍用の潜水艦だった。その後、「ザ・ルージュ」と呼ばれるようになった現在のルージュセンターは、EVのF-150ライトニングの生産工場を含む複数の工場から構成されている。
工場は4万平米のセダム(万年草)が敷き詰められた屋根を持ち、そこに生える植物に雨水を供給することで、環境保全に配慮している。この水は工場内で使用されるため、別途処理する必要がない。
ゼネラル・モーターズ:米テキサス州アーリントン – 40万台
アーリントンは、GMがシボレー・タホやサバーバン、GMCユーコン、キャデラック・エスカレードなどの大型SUVを製造している場所だ。テキサス州に100万平米の敷地を持ち、毎日約1200台のSUVが工場の門をくぐっている。
工場では4225人の従業員を擁し、毎日100万ドル(約1億1400万円)以上の賃金を従業員に支払っている。
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