警視庁に在籍した33年間中、実に22年間もの日々を白バイに捧げた元警察官の洋吾(ようご)氏。取り締まり件数において3年連続で警視庁トップに輝き、警視総監じきじきの表彰も受けた伝説の白バイ隊員だ。洋吾氏の警察時代の悲喜こもごも、厳しくも「とほほ」な日常を綴った著書『白バイ隊員 交通取り締まり とほほ日記』も上梓(小社刊)。
今回は、暑い日も寒い日もぶっ通し! 泊まり込み夜勤のウラ側に密着! 白バイを使わない理由とは?
白バイ隊員なのに白バイを降りて……!? まさに警察24時 酒気帯び運転取り締まりの日々
文/洋吾、写真/洋吾、Adobestock(メイン写真=naka@Adobestock ※画像はイメージです)
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■まさに「警察24時」!? 泊まり込み夜勤のウラ側
暗黒の夜へ。交通機動隊 泊まり込み夜勤のウラ側をご紹介
警察官の世界は24時間営業である。
交番のお巡りさん同様に、交機隊員も泊まり込みの夜勤がある。これは4日に1日で、1985年(昭和60年)当時、交機隊の泊まりの日の出勤時間は15時30分だった。
新隊員は、日勤帯同様諸々の雑用に加え、仮眠室の布団敷きや、飲酒検知器などの夜間飲酒取り締まり時に使う重要アイテムの準備を行う。
全員集合して時間になったら、以降の流れは日勤帯とほぼ同じだ。
「1回目警ら」の時間は日勤昼間帯の勤務と同じ2時間半で、白バイか交パによる警らである。帰隊する頃は、冬場ならもう真っ暗だ。全員無事に帰隊した後は夕食だ。
夕食後は夜の警ら出向まで、各自のんびり待機の時間となる。だいたいやることは決まっており、まずは書類整理(交通切符整理)だ。
早々に片付けば、後はテレビを見たり、仮眠室でごろ寝したり……と自由である。
そしていよいよ暗黒の夜の活動となる「2回目の警ら出向」となる。
昼間帯と大きく違うのは、夜間なので白バイではなく、交パと覆面パトカーになることだ。というのも、安全を考え、白バイは原則、雨天時と夜間は運用しないのだ。
交機隊の顔的な存在だったZ31フェアレディZパトカー。班長時代にけっこう乗った記憶がある
私の在職中、白バイの夜間運用が幾度か試行されたが、結局は危険ということで本格的な夜間運用は実現しなかった。
実際、私が所属していた旧第三交通機動隊では、過去に本格的な白バイ夜間運用実施中に、不幸にも白バイ隊員の殉職事案が発生してしまった経緯がある。
■ひたすらクルマを停止→酒気帯び検査の繰り返しで夜が明けてゆく
夜間の警らは、深夜までぶっ通しで行われていた。スタートはだいたい21時半頃からで終了は翌日の午前3時頃。やることは、ひたすら飲酒検問だった。
暑い夜も、寒い夜も関係ない。雨の夜は高架下やトンネル内で実施した。1台、1台、走っているクルマを停止させては、運転手や車内の匂いを嗅ぐだけの作業である。
いちいち免許証の提示など求めず、これの繰り返しだった。それにしても平成初期の当時、酒気帯び運転の多かったこと!
警ら終了後は帰隊して、各車の車両清掃。その後、中隊部屋に全員揃ったところでその日の活動は事実上、終了となる。
後は書類整理等のデスクワークだ。また各自それぞれ仮眠室にて仮眠をとり、朝9時半の定時退庁時刻に全員揃って「お疲れさまでした~」と解散となる。
なお、実際は仮眠前に反省検討会的な時間も設けられていた。
実は、交機隊は所轄と違って110番による事件、事故等の扱いは一切しない。交通取り締まりだけをひたすらやっていればいい部署なのだ。
極端な話、強盗殺人等、凶悪事件が管内、すなわち縄張り内で発生しても所轄任せであって、交機隊が動くことはない(もちろん、目の前でまさに犯罪が行われているのであれば警察官として対処はするわけだが)。
そんな事情もあって、基本的に警ら中に逮捕事案にでも発展しない限り、ルーティンをこなすだけの毎日となるのだ。
ちなみに、クソつかみ(編集部註:処理に膨大な時間がかかってしまう案件。現場の大きな負担となる)の逮捕事案等が発生してしまうと仮眠なしの徹夜作業になる。逮捕後48時間以内に被疑者と立件に必要な書類等を検察庁に送らなければならないからだ。
このため全員作業となる。加えて、取調べ後の被疑者の留置にあっては、最寄り警察署の留置場へ移送しなければならない(留置施設は警視庁本部と警察署にしかないため)。
被疑者の移送だけでも3名の隊員を要するので、非常に面倒なのである。
一人乗車の違反者が無免許と酒気帯び運転のWパンチの場合。そのほか飲酒や無免許などの違反歴が複数回ある常習者(無線照会ですぐわかる)も、逮捕事案になることが多いという(Satoshi@Adobestock ※画像はイメージです)
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●洋吾(ようご):元警視庁の警察官。交通機動隊や警察署の白バイ隊員を長く務める。運転技術はいまいち、ドジでオッチョコチョイだが、3年連続で取り締まり件数トップの実績もあり。ブログ「脱公務員の部屋・元白バイ乗り親父の話」を公開中。2022年10月『白バイ隊員 交通取り締まり とほほ日記』を上梓。同書のイラストは同ブログのマスコットキャラクター「ニャンコ白バイ隊」。
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みんなのコメント
と酒気帯び運転に跳ねられた事のある俺は強く思う。
このライター脳内ドック請けないと!