■ついにGRカローラに試乗! その魅力とは
12代目となる現行カローラは「ロングセラーだからこそ、変わる必要がある」を開発テーマに、トヨタのクルマづくりの構造改革「TNGA」をフル活用して刷新されました。
【画像】カローラといえば「AE86」の時代から次へ。 最強のカローラ誕生! 実車はこんな感じ!(26枚)
2019年に登場のハッチバック(スポーツ)を皮切りに、セダン、ワゴン(ツーリング)、クロスオーバー(カローラクロス)とバリエーションを増やしてきましたが、そのフラッグシップとなるのが「GRカローラ」です。
このモデルはGRスープラ、GRヤリス、GR86に続く、トヨタのスポーツブランド「GR」のオリジナルスポーツカー第4弾でもあります。
このクルマが生まれたキッカケは豊田章男社長の「お客様を虜にするカローラを取り戻したい」という強い想いでした。
そこで開発陣はGRヤリスで開発されたパワートレイン(G16E-GTS)とAWD(GR-FOUR)を水平展開しながら検討をスタート。
とはいっても、ヤリスより大きく重いカローラがベースのため開発は難航。
メンバーの心のなかは「リソースが限られているから、仕方ないよね」でしたが、豊田社長は開発車両からそれを感じ取り「スポーツカーとしては野性味が足りない」と企画は完全に頓挫。
実はプロジェクト中止の危機まであったそうです。
そんなとき、ほぼ同じタイミングで水素カローラのプロジェクトが立ち上がりました。
そこで豊田社長は「この場(=サーキット)を使ってGRカローラを鍛えてみてはどうか?」と提案。
つまり、水素カローラの開発とGRカローラの開発をリンクさせることで、GRが提唱する「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」をリアルに進めようと考えたのです。
そこから約1年、極限状態でパワートレイン/シャシーをはじめとするさまざまな検証・評価を通常の開発を超えるスピードでアジャイルに進められました。
その結果、水素カローラは大きな進化を遂げましたが、それはGRカローラの熟成にも大きく繋がっているのはいうまでもないでしょう。
そんなGRカローラですが、正式発売に先駆けて試乗をおこなってきました。
場所は千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイとなり、試乗モデルは「RZ」と「モリゾウエディション」の2台です。
まずはRZからです。エクステリアは専用ワイドボディ採用で全幅はノーマル+60mmとなる1850mm。
只者ではない雰囲気がプラスされていますが、後付け感の強いリアのフェンダー周りは賛否が分かれる所です。
この辺りを開発陣に聞いてみると「メインマーケットの北米の嗜好に合わせた」とのことですが、個人的には専用リアフェンダー(というより専用ボディ)を採用するGRヤリスのほうが洗練&スマートに見えるかなと感じました。
インテリアはカローラスポーツをベースに、随所に専用アイテムをプラスすることでスポーツモデルらしさを演出。
とくに専用メーターは2タイプの表示が可能となっており、事務的なデザインでガッカリのGRヤリスと比べると大きな進化といえるでしょう。
運転席に座ります。シートはスポーツモデルにしては少々高めのポジションのGRヤリスに対して自然です。
ちなみに。シートはGRヤリスと共通の物が装着されますが、着座姿勢の違いなのかフィット感はより高く感じました。
後席は割り切りのGRヤリスに対して実用性も高さも強みのひとつといえるでしょう。
サーキット走行なのでVSCは「全OFF」、1速に入れてスタートです。
乗る前はGRヤリス+200kgの車両重量ということで「さすがに1.6リッターターボだと厳しいかな?」、「出力が上がっているからよりピーキーな特性?」と予想していましたが、いい意味で裏切られました。
エンジンはGRカローラ用に最適化がおこなわれ、最高出力が272馬力から304馬力に出力アップ(トルクは370Nmで変更なし)、更に6速MTのファイナルもローギアード化されています。
ただ、乗り比べると出力アップよりもエンジンの特性の違いのほうが大きいかなと。
具体的にはターボラグが抑えられたうえで実用域のトルクバンドがより広がったような印象を受けました。
恐らくGRヤリスが2速か3速か悩むコーナーでもGRカローラは迷うことなく3速を選べるくらいの粘り強さが感じられます。
ちなみにゼロ発進からの加速力はGRヤリスとほぼ同等レベルですが、そこから先は車重で相殺されているのか+32馬力はいうほど体感できず。
また、高回転域の伸びが苦しそうなので早めのシフトアップのほうが速く走れるかなと思いました。
■GRカローラのフットワークはどんな感じ?
フットワークはどうでしょうか。
ステア系はスポーツモデルにしては軽めの操舵力ですが、ベース車でも定評のある第3世代EPS制御を活かしたスムーズで繋がりの良い操舵フィールと直結感の高さに加えて、まるでステアリングシャフトが一回り太くなったかのような芯の強さを感じました。
車体はTNGA「GA-C」をベースにスポット溶接(+349点)、構造用接着剤塗布範囲追加(+2748mm)を実施。
サスペンション周りは専用のスプリング/ショックアブソーバーに加えて、専用サスペンションメンバー(5kg軽量化+ロアアーム取り付けポイント15mmアップ)、ブッシュのピロボール化、トルセンLSD(前後)などを採用。
AWDシステムは電子制御油圧多板クラッチ採用の「GR-FOUR」はGRヤリスと共通ですが、GRカローラのパッケージやディメンジョンに合わせた専用の駆動力制御を採用。
ブレーキは前後対向キャリパー(フロント:4ポット/リア:2ポット)、タイヤは235/40R18サイズのADVAN APEX V601です。
ちなみにこのタイヤが選定されたのは性能的な部分はもちろんですが、「カローラ=ADVAN」のイメージの継承もあるそうです。
車体剛性の高さはいわずもがなですが、ドイツ系のようなガチっとした印象とは違い剛のなかに柔(=しなやかさ)がある印象です。
ハンドリングはAWDらしからぬノーズの入りの良さとAWDらしいリアの安心感の絶妙なバランスのよる一体感の高さ、ドライバーの操作次第でアンダーもオーバーも自由自在なコントロール性の高さなどはGRヤリスと共通ですが、GRカローラはそれに加えて、GRヤリスより「扱いやすい」、「ストライクゾーンが広い」走りが備わっています。
もう少し具体的にいうと、GRカローラはクルマの動きが穏やかで挙動変化が予測しやすいのでコントロールがしやすい走り、つまり「スイートスポットが広く、多くの人が安心して楽しめる」懐の深い走りです。
対するGRヤリスはクルマの軽さを活かした俊敏な動きですが挙動変化に対してドライバーの腕も求められる走り、つまり「スイートスポットは狭いが、ハマると超絶楽しい」挑戦的な走りといったらいいでしょうか。
この辺りはカローラのディメンジョンの良さ、ロングホイールベース、ワイドトレッド、スタビリティの良さがGRカローラのセットアップにも活きているのでしょう。
ただ、勘違いしてほしくないのはGRカローラがGRヤリスに対して「ダル」、「鈍感」な走りになったのではなく、GRヤリスの兄貴分となるGRカローラのキャラクターに合わせた味付けとしては正しく、クルマの動きに僅かな「間」、「タメ」ができたといったイメージです。
とはいえ、GRカローラが甘口化というとそうではなく、筆者レベルのドライバーが中・高速コーナーで意図的にスライドさせるようなシーンだと、GRヤリスは「ドキっ」と手に汗握ることもありますが、GRカローラはむしろ「ニヤッ」としてしまうくらい安心感があります。
つまり、穏やかな挙動が逆に手の内感を生んでいるというわけです。
ちなみにGRヤリス+200kgの車両重量はブレーキング時やRがキツいコーナーで感じますが、それ以外の所では想像しているよりも気にならないレベルに抑えられています。この辺りはコーナリング中に4輪に荷重を上手く分散させるAWDの駆動力制御や専用チューニングのタイヤなども貢献しているはずです。
乗り心地はサーキットなので断定はできませんが、凹凸ある路面を通過した際の目線のブレなさや、縁石に乗り上げたときの入力のまろやかさやスッキリとした足の動きなどから、かなり良さそうな予感。
開発ドライバーの1人である石浦宏明選手は、「自分が買うつもりでセットアップしたので、乗り心地もかなり気を使いました」と教えてくれたので、期待していいでしょう。
■本気の2人乗り仕様「GRカローラ モリゾウエディション」はどう?
続いて、モリゾウエディションに乗り換えます。
一般道からサーキットまで万能なパフォーマンスを備えたRZに対し、サーキットに軸足を置いたモデルになります。
エクステリアは専用色・マッドスティールのボディカラーが特徴です。
インテリアは専用セミバケットシートやウルトラスエードのステアリングなどが奢られますが、驚きなのはリアシートレスの2シーター仕様であること。
3ドアのGRMNヤリスならまだしも5ドアのGRカローラでやるとは驚きしかありません。
これによりRZに対して約30kgの軽量化で車両重量は1440kgとなっています。
パワートレインも抜かりなしで、エンジンのトルクアップ(370→400Nm)に加えて、6速MTは1~3速のクロスレシオ化とファイナルのローギアード化がおこなわれています。
フットワークは車体の更なる剛性アップのために構造用接着剤追加(3.3m)とボディ補強ブレースを追加。
サスペンションはフロント・倒立式モノチューブダンパー、リア・モノチューブダンパー採用の専用セッティングに加えて、タイヤはRZより10mm幅広となる245/40R18サイズのミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2を採用しています。
エンジンのトルクアップとギア比&ファイナル変更の相乗効果で、実用域はRZ以上にトルクフルですが回転が増すにつれてパンチのある力強さでレッドゾーンまで一気に吹け上がります。
言葉として正しいか解りませんが「スムーズなのにターボらしさが増した」というのが素直な感想です。
ギア比の繋がりもバッチリで常にパワーバンドをキープしてくれます。ただ、RZよりもシフト操作は確実に忙しくなるため、個人的にはiMTをフル活用したほうがミスは少ないと思われます。
フットワークはRZのキレの良さと俊敏なクルマの動き、そしてダイレクトなフィーリングが増したハンドリングに仕上がっています。
車両重量は1440kgとRZ比で30kg軽量ですが、実際に走らせてみるとより軽いクルマに乗っているような感覚です。
ちなみにロードカーから無駄を削いでいくとピーキーな特性になりがちですが、モリゾウエディションはむしろその逆で、より精緻、より対話性が高く、より細かいコントロールが可能な走りに仕上がっています。
この辺りはスーパー耐久で培った知見や経験がフィードバックされているはずです。
恐らく水素エンジンを搭載したGRカローラのレーシングカーも、こんな走りなんだろうと。是非とも乗り比べてみたいものです。
モリゾウエディションは基本グリップでタイムを削るような走らせ方がもっとも得意とすると思いますが、欲をいえば大型ウイング装着など空気の力を借りてリアの安定性をもう少し高めた方が安心感はより高まるかなと。
ちなみに北米向けには大型リアウイングがオプション設定されているので、今後GRパーツで追加されることを期待したいところです。
実はRZと同じようにスライドさせながら姿勢変化を楽しむような走りも可能です。
ただ、シャシ性能とタイヤのレベルが高いので必然的に速度域も上がってしまうので、結果的にスライド時のコントロールはRZよりもシビアになってしまうので、より慎重に。
乗り心地はRZよりハードな設定なのは間違いないですが、脳天を突き破るような硬さではなく「しなやかな硬さ」といった印象です。
縁石に乗り上げた時もタイヤが路面から離れる感じもなかった上に入力もそれほど大きくなかったので、想像しているよりは快適じゃないかなと予測しています。
実は今回のサーキット試乗枠は1台につき30分が与えられていました。
「3周に一度ピットインすること」、「試乗後はクールダウンして戻ること」以外は自由で多くの同業者が連続走行をしていましたが、タイヤはともかくエンジンやブレーキなどがへこたれる様子は全くなし。
実はこれ、ナンバーが付いたロードカーとしてはかなり凄いことです。
■ダートでは性格が変わるGRカローラ
更に今回はモリゾウエディションがベースのラリー仕様検討用車両にダートコースで試乗することができました。
この車両はロールケージなどの安全装備に加えて、開発中のサスペンションや油圧式サイドブレーキなどを装備。
タイヤはダンロップ製ラリータイヤ(15インチ)を履いています。
今回は比較用としてGRヤリスのラリー仕様も用意され、「その違いを感じてほしい」とのことです。
その違いはサーキットで感じた印象と全く同じですが、路面μの低いダートだとその特性はより解りやすく表れました。
ちなみにタイトなコーナーは軽さを活かしてキビキビ曲がるGRヤリスのほうが速く、逆にRが大きなコーナーはフロントタイヤのグリップさえ意識できればスライドコントロールが楽なGRカローラのほうが速く走れるかなと。
ちなみに開発ドライバーの1人である勝田範彦選手に聞いてみると「GRヤリスとGRカローラ、同じコースを走らせてみるとタイムはほぼ同じなんですよ」と教えてくれました。
もちろんコースのレイアウトで変わると思いますが「軽さを取るか」「コントロール性を取るか」という選択が非常に難しい悩みです。
GRカローラはクルマ好きなら誰もが憧れる“最強のカローラ”といっていい一台だと思います。
また、歴代カローラのスポーツモデルを振り返ると「AE86」の存在が大き過ぎで、良くも悪くもカローラのスポーツモデルの時代がそこで止まっていた感も否めませんが、GRカローラの登場でやっと次のステップに進めたのかなと思っています。
多くの人は台数限定のモリゾウエディションに目がいきがちですが本命はRZだと思います。
個人的にはかつて初代カローラFX登場時のキャッチコピーは「2BOX上級生」でしたが、それを現代流に解釈するとGRカローラは「AWDスポーツハッチ上級生」かなと。
やんちゃなGRヤリスに対してちょっと大人なGRカローラというわけです。
勘違いしてほしくないのはRZがモリゾウエディションの廉価版ではなく、RZがロードカーベストでありモリゾウエディションは裏メニューのような存在であるということです。
個人的にはRZに現在GRヤリスで開発中の8速DAT(ダイレクト・オートマチック・トランスミッション)が追加されたら、スポーツモデルの裾野がより広がると思っているのですが、どうでしょうか。
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