現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「安全装置は設定どおりに作動」 水素エンジンマシンが水素漏れ……トヨタが包み隠さず明かした原因とは

ここから本文です

「安全装置は設定どおりに作動」 水素エンジンマシンが水素漏れ……トヨタが包み隠さず明かした原因とは

掲載 49
「安全装置は設定どおりに作動」 水素エンジンマシンが水素漏れ……トヨタが包み隠さず明かした原因とは

 トヨタが世界初の規模で挑んでいる水素エンジンレーシングカー。スーパー耐久レースでは今シーズンから液体水素での挑戦を表明していたが、ここにきて水素漏れが見つかり2023年3月18日からのスーパー耐久鈴鹿大会を欠場することが発表された。いったいなにが起こったのか?

文/写真:ベストカーWeb編集部

「安全装置は設定どおりに作動」 水素エンジンマシンが水素漏れ……トヨタが包み隠さず明かした原因とは

■トラブルも隠さず詳細な原因を語るトヨタの姿勢がすごい

参戦初期の水素カローラのコックピット。後部座席には水素タンクなどが収まるが隔壁で仕切られている

 水素エンジンを搭載したレーシングカー(水素カローラ)で、富士24時間レースをはじめとする国内最大級の耐久レース「スーパー耐久」に参戦しているトヨタ。年々その性能は進化しており、自動車業界内外から多くの注目を集めている。

 そんな水素カローラが富士スピードウェイでのテスト走行中に火災が発生。そしてスーパー耐久開幕戦の鈴鹿大会を欠場するという発表が2023年3月15日になされた。詳細をプレスリリースをベースに見ていこう。

「車両振動による配管結合部の緩みが生じたため、水素が漏れたことが分かっております。配管結合部がエンジン近辺にあったため、漏れた水素が熱されることで、引火しました」

水素カローラはレース中に決して「ゆっくり」周回することはない。開発も兼ねているからギリギリを攻める走りも見せ、時にはこのように縁石を飛び跳ねることも

 今シーズンからは気体水素に代わり液体水素を燃料としている水素カローラだが、水素漏れの要因は燃料の変更によるものではないことも発表があった。

 前述のとおり振動で水素配管結合部になんらかのゆるみが発生したことが要因だが、これは前後左右に強烈なGがかかるレーシングカーが置かれるハードな環境ならではのアクシデント。

 クルマはサーキットをレースペースで走ることで公道の数倍~数十倍の負荷がかかるが、もしかするとそれは市販車が公道で走る寿命では達しない負荷の領域かもしれない。それでも新しい技術開発のためにはそこまでの負荷をかける意義がある。

 今回のように水素漏れが起こったこと自体は残念だが、水素カローラでのレース参戦は本来の意味のカーボンニュートラルを達成するために「クルマを育てること」。こうしてひとつずつネガを消していくのも大切な作業になる。

■設計どおりに作動した安全装置の確実性

水素エンジンの公道仕様試作車も完成している。着々と技術が磨かれているのだ

 また今回のアクシデントで乗員にケガはなかったことも発表された。水素漏れを瞬時に検知する水素リークセンサーの作動が設計どおりになされたことで、水素供給は即座にシャットダウンされた。

 もちろん水素であろうがガソリンであろうが、大幅な延焼が起きていればより大きなアクシデントにつながっていた可能性もある。しかしセンサーが完全に作動したことでキャビンは確実に守られ、奇しくも安全装置の設計の正しさを証明する形になった。

 燃料電池自動車のMIRAIが発売された当時も、水素という燃料を使うことによって「危ないんじゃないの?」という声も少なからず存在した。トヨタはその際にも丁寧に水素タンク強度や水素を溜めないなどの安全策の説明をしてきた。

 だから今回の液体水素が漏れるというアクシデントでも、パワーユニットの現状の課題と対策を包み隠さず報告する決意をしたのだろう。

 失敗やミスは隠したくなるものだが、今回の発表は水素エンジンの信頼性をグッと増すキッカケになるだろう。そして鈴鹿大会は代替マシンとしてガソリンエンジンのヤリスを走らせるというあたりも、本当にクルマが好きな企業なんだな~と感じるばかり。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

49件
  • この事件は、液体ナトリウムが漏れてポシャってしまった高速増殖炉を想起させる。
    水素社会を目指すことは理想ではあるが、現実としては夢のまた夢であるのだろう。
    FCVのミライも月産3000台と整備したのに、実際は月30台も売れていない。
    このまま水素に拘ることはリスキーで、豊田章男の交代もここに原因があるのかも。
  • トヨタが包み隠さず明かした原因とは

    原因はまあ色々あるとして、明かした動機はEV信者と違いマトモに実用化をしたいからだよな。
    不都合な事実は隠蔽、不都合なデータは見ないふりの電厨とは違うから。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

202.9251.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

39.9450.0万円

中古車を検索
カローラの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

202.9251.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

39.9450.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村