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スピンも首位争いも経験。宮田莉朋が触れた「やっぱり簡単には勝たせてもらえない」ハイレベルなル・マンの世界

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スピンも首位争いも経験。宮田莉朋が触れた「やっぱり簡単には勝たせてもらえない」ハイレベルなル・マンの世界

 今季、TGR(トヨタGAZOO Racing) WECチャレンジプログラムのドライバーとしてFIA F2とELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズに参戦しながら、トヨタのハイパーカーチームのテスト&リザーブドライバーを務めている宮田莉朋。WEC第4戦ル・マン24時間では、決勝1週間前のテストデーで、ハイパーカーのドライバーとしてコースデビュー。5周の経験を積んだ後は、ELMSで所属するクール・レーシングへと戻り、マルテ・ヤコブセン、ロレンツォ・フルクサとともに37号車オレカ07・ギブソンをドライブして、自身初めてのル・マン24時間レースに挑んだ。

■「リスクを取らなければいけない」難しさ

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 37号車はプラクティスから好調を維持。もっと長いスパンで見れば、デビューウインを飾ったELMS第1戦バルセロナ、そしてトラブルが起きるまではトップを走行していた第2戦ポール・リカールから、彼ら3人はよい流れをル・マンに持ち込んだことになる。

 ヤコブセンは予選でトップ8に残る速さを披露し、ハイパーポールへと進出。クラス6番グリッドから、37号車はレースをスタートさせた。

 ヤコブセン、フルクサ、宮田のトリオは、ドライからウエットと何度も路面変化を繰り返した難しいレースにおいてたびたびトップ争いを演じ、上位フィニッシュの期待も高まったが、最後はワイパーのトラブルもあって後退。クラス首位から8ラップおくれの、クラス12番手でフィニッシュを果たすこととなった。

 初めてのル・マンを戦い終えた宮田の表情は、いい意味で『いつもどおり』。ガレージの外では紙吹雪舞う表彰式が進み、観客がコースになだれ込む喧騒のなか、平熱を維持しているように見えた。

「やっぱりスーパー耐久の(富士)24時間だったり、デイトナ24時間とはもう全然レベルが違うというか、ワンミスが命取りになるような、結構リスクが大きいコンディションでも走り切らなければいけない難しさは、他ではなかなかない経験だったと思います」と宮田。

「そこは経験積むだけかなと思いましたし、その中で走り切れたので、自分としてはやるべきことをやれたかなと思います」

 今回は、WECのシリーズ戦を戦うハイパーカーとLMGT3に加わる形でLMP2クラスが設けられたが、3クラスを総合した“レベルの高さ”、そしてル・マンならではの難しさが、宮田の印象に残ったようだ。

「やっぱりこれだけシートが限られているところに、各マニュファクチャラーを代表するトップドライバーが集まっていますし、GT3のブロンズドライバーも本当にプロのレベルで走れる人たちなので、本当にレベルが高いなと感じました」

「あとはコースも公道区間があり、どれだけ路面が濡れている・濡れていないというのも見づらいといった難しさもありました。デイトナはなかなか雨で走る機会もなかったですし、コースが短いので天気に対して影響されるリスクは少ないですから」

 宮田は夜、ウエットからスリックへと切り替わるタイミングでピットアウトし、翌周にスピンとコースオフを喫している。

「とくにホームストレートから7コーナーまでは路面が乾き切っていないなか、新品のウエットタイアでコースインしたのですが、前のクルマも真っ直ぐ行って、僕も真っ直ぐ行ってしまい、なんとか耐えようとしたところでグリップを完全に失い、スピンしてしまいました。結構リスクが大きい状況でしたね。でもスピンで済んでよかったですし、そこで止まることなく走行が続けられたのでよかったです」

 日曜の昼間には、最終的にクラス優勝を果たすことになるユナイテッド・オートスポーツの22号車ともバトルを繰り広げ、コース上で前に出ることにも成功。ル・マンの舞台でも、勝利を目指して戦えることを印象付けた。

 ユナイテッドとのバトルについて宮田は「もうちょっと早く、抜ききりたかったですけどね」と少し悔しそうな表情で振り返る。

「タイヤのストラテジーなどの違いがあったりしたと思うので、抜くのは難しかったです。ただ最終的には追い抜いて、ピットで抜かれることもなく前に行ける状況を作れたので、やるべきことはやれたかなと思っています」

 24時間レースは経験済みとあって、体力的には「意外と大丈夫でした。2時間くらいは寝ました」と宮田。「(ハイパーカーの)耐久テストの時にそういうのは慣れたというか、これが普通であって、(長時間の走行でも)集中を切らさないようにと考えて取り組んできたので、問題なくやれていると思います」。

 上位争いができ、クラス優勝も見えていただけに、リザルトは残念なものとなったが、宮田は今回のル・マン出場をポジティブな経験として総括した。

「24時間というレースでいえば、富士もデイトナも経験できていたので、そことの比較もでき、ル・マンの難しさを感じられました。やっぱり、そう簡単には勝たせてもらえないよな、と。でも、こういった経験ができたというのは、いろいろな人のおかげなので、関わってくれた皆さんに感謝しかないですね」

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