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愛し愛された「マイナー車」たち【リバイバル】長所と消えた理由7選

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愛し愛された「マイナー車」たち【リバイバル】長所と消えた理由7選

 華やかな新車が出れば、静かに新車市場から退場してゆく生産終了車があります。新車の紹介記事は多くのメディアで楽しめますが、消えていったクルマの記事は滅多に見ないもの。そこで先月「愛し愛された「マイナー車」たちの長所と消えた理由7選」という記事をお届けしたところ、多くの皆さまに反響をいただきました。
「あのクルマも取り上げてほしい」、「自分はあれに乗ってました」、「あのクルマにいつか乗りたいと思っていた」、そんな声を受けて、晴れて第2弾をお届けします。
 去っていったクルマたちのこと、時々でよいので思い返していきましょう。
文:渡辺陽一郎

 今回の「わたしの愛したマイナー車たち」には、スペース効率の優れた車種が多い。つまり売れ筋のカテゴリーとされるミニバンやSUVだが、いずれの車種も販売台数を伸ばせずに終わった。コンセプトが時期尚早で売れなかったが、今なら通用する掘り出しモノがあるかも知れない。そこで改めて取り上げてみたい。

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■トヨタマークXジオ 2007年発売

◎よかったところ

 マークXジオは、マークXのワゴン版として開発された。ただし駆動方式は異なり、マークXは後輪駆動のセダンだが、マークXジオは前輪駆動だ。当時のオーリスやヴァンガードと共通のプラットフォームを使った。

 開発のテーマは「Saloon's Future」で、車内の造りは「4+Free」とされた。サルーン(セダン)の将来像を追求したクルマで、4名の乗員が快適に乗車できる居住空間に加え、車内の最後部にフリースペースを備える。この部分には3列目のシートが装着された。

◎生産中止になった理由

 3列目のシートを使うとミニバン、畳むとワゴン、デュアル・トノボード(専用の間仕切り)で荷室を区分するとセダンになるという、「3モードキャビン」が特徴だった。

 しかし全高が立体駐車場を使いやすい1550mm(2WD)だったこともあり、3列目のシートが極端に狭く、ミニバンとしては非常に窮屈で使いにくかった。ワゴンとしても荷室が狭い。加えて内装の質感をセダンのマークXと同等まで引き上げたこともあり、直列4気筒の2.4Lエンジン搭載車としては価格が割高だった。そのために売れ行きは発売直後から伸び悩んだ。

■日産ムラーノ 2002年発売

◎よかったところ

 北米向けに開発されたLサイズのSUVで、宇宙船を連想させる丸みのある外観、2825mmのホイールベース(前輪と後輪の間隔)が生み出す広い室内、優れた走行安定性などを特徴としている。

 特に後席の足元空間の余裕が注目された。インパネなどの内装もていねいに造り込まれ、ゆったりと座れる前後席と相まって、上級ワゴンのような質感を味わえた。特に居住性は、当時のSUVではナンバーワンであった。

◎生産中止になった理由

 全長が4825mm、全幅が1885mmのボディは、当時の国産SUVとしてはサイズが大きすぎた。しかも丸みのある外観は個性が強い。当時のSUVといえば、2000年に同じ日産から発売された初代エクストレイルがオフロードSUV風の内外装で絶大な人気を誇っていた。ムラーノはその陰に埋もれた印象があった。

 しかし今はSUVが輸入車を含めて大型化され、オフロードSUV風の内外装は流行からはずれている。ムラーノのような個性派に、人気を集まる余地が生じてきた。

■三菱ミラージュディンゴ 1999年発売

◎よかったところ

 全長が4000mm以下のコンパクトカーだが、全高は1600mmを上まわり、空間効率が優れていた。今の車種でいえばキューブ、ポルテ&スペイド、ルーミー&タンクなどに相当する。背の高いボディだから、全長が短い割に車内は広く、大人4名が快適に乗車できた。後席を畳むとボックス状の荷室になる。

 そしてウインドーの下端を低く抑えた水平基調のボディは、前後左右ともに視界が良い。運転のしやすさと広い室内空間の両立は、コンパクトカーが持つ魅力の本質でもあった。

◎生産中止になった理由

 視界の優れたコンパクトなボディは運転がしやすく、高い天井によって前後席ともに居住性が優れている。乗降時に腰の移動量が少ないから、乗り降りもしやすい。このようにミラージュディンゴは優れた特徴を備えたが、ランプが縦長に配置されたフロントマスクは不評で、売れ行きが伸び悩んだ。そこでマイナーチェンジでフロントマスクを変更すると、横長のヘッドランプを備えた平凡な顔立ちになってしまった。結局売れずに生産を終えた。

■マツダベリーサ 2004年発売

◎よかったところ

 2代目デミオをベースに開発された上級指向のコンパクトカーで、「小さな高級車」の雰囲気を感じさせた。女性ユーザーをターゲットに開発され、内外装をシックな雰囲気に仕上げている。収納ボックスの内部に化粧用の鏡を備えるなど、女性に対する気配りも特徴だった。インパネやシートはシックな雰囲気に仕上げている。

 また2代目デミオがベースだから天井が高めに設定されて後席の頭上と足元の空間も広く、ファミリーカーとしても快適に使えた。

◎生産中止になった理由

 クルマの基本スタイルは、2代目デミオがベースとあって、空間効率の優れたコンパクトカーだった。後席も広くファミリーカーとして使いやすい。それなのに開発コンセプトは女性がターゲットにされ、価格は少し高い。車両のコーディネーションと機能が噛み合わず、結局は魅力の分かりにくい商品になってしまった。女性向けにするなら、ボディスタイルに特徴を持たせる必要があった。

■スバルR1 2005年発売

◎よかったところ

 スバルは2003年に5ドアハッチバックの軽自動車としてR2を発売した。このプラットフォームを使って、2005年に発売されたユニークな3ドアハッチバックがR1であった。

 軽自動車のボディサイズは規格枠ギリギリで造られるが、R1は110mm短い3285mmだ。ホイールベースも短く、切れの良い機敏な運転感覚と優れた安定性を両立させた。内装はR2に準じるデザインだったが、上質に造り込まれ、クルマ好きの間で話題になった。

◎生産中止になった理由

 2003年から2005年の時点で、軽自動車の売れ筋は全高が1600mmを超える背の高い車種になっていた。そのためにR2、さらにR1の売れ行きは伸び悩んだ。R1は前述のようにクルマ好きの間で話題になったが、クルマの好きな人達が購入するのはインプレッサやレガシィで、軽自動車ではない。R1はいかにもスバルらしい走りの良い上質な軽自動車だったが、売れ行きは伸び悩み、スバルは2006年に背の高いステラを発売した。

■ホンダアヴァンシア 1999年発売

◎よかったところ

 アヴァンシアはLサイズの5ドアハッチバックだ。全長が4700mm、全幅が1790mmの大柄なボディに、2列のシートと荷室を備える。

 注目されたのは後席の広さで、全高が1500mm、ホイールベースは2765mmに達するため、頭上と足元には十分な余裕がある。開発コンセプトは「リムジン空間の創造」とされ、後席の中央にはアームレストやコンパクトなテーブルも内蔵した。大人4名が乗車して、快適な長距離ドライブを満喫できた。

◎生産中止になった理由

 アヴァンシアが発売された時代には、ミニバンが人気を集めていた。実際に使うか否かは別にして、3列のシートが装着され、多人数が乗車できることが必要だった。従ってホイールベースをミニバン並みに長く設定しながら、シートの配列が2列となるアヴァンシアは、売れ行きが伸び悩んだ。

 またアヴァンシアは2列シート車の割にボディが重く、車両重量は1500kgを軽く超えていた。そのために2.3Lエンジン搭載車の10・15モード燃費が12km/Lを下まわるなど、燃料の消費量が多いことも人気を低迷させた。

■トヨタナディア 1998年発売

◎よかったところ

 イプサムのプラットフォームを使った2列シート車で、外観のデザインに特徴があった。リヤゲートの角度を寝かせることで、ボンネットからルーフ、ボディの後端まで、円弧を描くような滑らかなラインで繋げられている。

 車内にも特徴があり、後席は反転させて畳むことで、フラットで広い荷室に変更できた。前席は180度回転して、駐車中には車内をリビングスペースのようにアレンジできる。2列シートで車内が広く、多彩な荷室のアレンジを可能にしていた。

◎生産中止になった理由

 「車内が広いのにシートは2列」という造りは、当時のユーザーニーズには合わなかった。前席を回転させて後席と向き合わせるアレンジも、便利とはいえず、通常の配置に比べると足元空間が狭くなってしまう。さらに後席に反転して畳める機能を持たせたことで、背もたれの高さが足りず、背中の支え方に違和感が伴った。

 そしてナディアの発売は1998年8月だったが、2000年5月には同じような特徴を備えたオーパが同じトヨタから発売され、ナディアは一層苦戦を強いられた。販売店はナディアがトヨタカローラ店、オーパがトヨペット店で、値引きなどの競争も発生した。

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