ラグナ・セカではマクラーレンP1とほぼ同等のタイムを記録
2024年3月1日~2日、RMサザビーズがアメリカ・マイアミで開催したオークションにおいてポルシェ「911レストモッドbyガンサー ヴェルクス」が出品されました。ガンサー・ヴェルクス社が、「ポルシェが1998年以降も993型911の生産を継続していれば……」ということをイメージして開発されたモデルです。25台が生産されたうちの1号車はいったいいくらでハンマープライスが打たれたのでしょうか。
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もしも993型911が継続販売されていたら……
カリフォルニアのハンティントン・ビーチに本社を置くガンサー・ヴェルクス社が、10年以上もの時間を投じて開発・製作したファーストモデル「400Rスポーティング・ツーリング・チェルシー・グレー・コミッション」を世界初公開したのは、2018年8月に開催されたクエイル・モータースポーツ・ギャザリングでのことだった。
特徴的なボディシルエットからも想像できるように、ポルシェ911の最後の空冷モデルである、993型911をリマスター、すなわち現代の最新の技術を用いてさらにハイパフォーマンスで魅力的なモデルへと進化させたもの。ガンサー・ヴェルクス社によれば、それはポルシェが1998年以降も993型911の生産を継続していれば、現在の911はこのようなモデルになっただろうということをイメージして開発されたものだ。
ガンサー・ヴェルクスの仕事に妥協の余地などなかったことは、じっさいに使用されたカーボンファイバー素材の量からも明らかだ。多くのボディパネルとインテリアの部品はこの軽量複合材に変更され、インテリアを例にとれば、80%はガンサー・ヴェルクスによるスペシャル・パーツになっている。残りの20%は新品のポルシェ製装備品に交換されているという。
サスペンションはリモートリザーバー付きのJRZアジャスタブルコイルオーバー、カスタムリアコントロールアーム、アップレートアンチロールバー、軽量アップライト、フロントストラットブレース、そして最先端の油圧式フロントリフトシステムを組み合わせた仕様。オンロードからサーキットまでその魅力は幅広い。
エンジンは4Lに排気量を拡大
リアに搭載されるエンジンは、オレゴン州のシャーウッドにあるロススポーツ・ロード・アンド・レース社によって製作されたもの。ベースの3.6L水平対向6気筒エンジンは4Lに排気量拡大され、2ステージのMoTecエンジン・マネージメント・システム、個別のスロットル・ボディ、996型911GT3のインテーク・プレナムをベースにした独自の吸気システム、そして鍛造のエンジン内部部品やレース仕様の装備が幅広く採用されている。
最高出力は400psを大きく超え、最大トルクも400Nm以上を達成。組み合わせるトランスミッションはゲトラグ製のG50型6速と、これはノーマルの993型911に等しいが、内部構造の強化やフライホイールの軽量化、さらには第二世代の997型911GT3からクラッチを移植するなど、パワートレインの強化にも万全の対応を施している。
この400Rスポーティング・ツーリング・チェルシー・グレー・コミッションのパフォーマンスが証明されたのは、発表直後にウェザーテック・ラグナセカ・レースウェイで行われたラップタイム・チャレンジだった。
ここでプロドライバーのランディ・ポブストが記録した1分30秒99のタイムは、マクラーレンP1にわずか0.2秒及ばないだけのもの。そもそも25台の限定車としてこのモデルを生産する計画だったガンサー・ヴェルクスのもとへ、その後ソールドアウトとなるまで多くのオーダーが舞い込んだのは想像に難くないところである。
今回マイアミ・オークションに出品されたモデルは、まさに2018年に発表されたその第1号車で、RMサザビーズによるエスティメートは100~130万ドル(約1億4900万円~1億9370万円)。じっさいの落札価格は102万2500ドル(邦貨換算約1億5235万円)となったが、それでも1998年式のRUF ターボRが、151万7500ドル(約2億2610万円)で落札されたことを考えれば、まだまだそのネームバリューと実績には大きな差があるのかもしれない。今後の評価次第では、さらに値が上がっていくことも想像に難くないだろう。
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ルーフ自動車のポルシェ911の形をしたヤツ欲しいフルパワーが最高だ