フルモデルチェンジしたBMWの新型「7シリーズ」のデザインを見て、驚いた人も多いはずだ。モータージャーナリストの今尾直樹の感想とは?
端正なフォーマル・サルーン的プロポーション
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超カッコいい!
新型BMW 7シリーズの写真をパッと見て、そう思った。スマホの小さな画面だったから、ということはあったかもしれない。フロント7:3の写真は、後輪駆動のサルーンとして縦横比が完璧で、1986年に発表の2代目、1994年発表の3代目のような、ロー&ワイドな7シリーズの復活だと思った。
もっともこれは私の早とちりで、もうちょっと大きな画面のPCでしかと見直してみると、クーペというより、端正なフォーマル・サルーン的プロポーションであることがわかった。
実際、ボディのサイズは先代比で130mm長く、48mmワイドになっているものの、51mm高くもなっている。もちろん、居住空間は背が高いほうが断然確保しやすいから、きちんとしたサルーンを望むユーザーにとっては朗報だ。
で、ロー&ワイドではないことを知った私がガッカリしたかというと、ま、少々……というのがホントのところです。それでも、BMWのホームページをつらつら眺めていると、スポーツ・サルーンというより、グループのひとつのロールス・ロイスのDNAが入り込んでいるみたいで、これはこれで大いなる説得力があって、実物を見るのが楽しみになってきた。
最大の特徴は、だれもが思うように大きなキドニー・グリルと、“なんとなくクリスタル”、ではなくて、スワロフスキーのホンモノのクリスタルをあしらったというヘッドライトで構成される、近未来的なフロント・マスクであろう。
それ以外は、ロング・ノーズ、ショート・デッキの後輪駆動プロポーションも、Cピラーのホフマイスター・キンクなるBMWの伝統的デザイン言語も、きっちり守っていて、むしろ保守的というべきだ。
折衷様式
つまるところ、新型7シリーズのエクステリア・デザインというのは、バイエルンの伝統を踏まえつつ、そこにアイアンマンみたいというか、スター・ウォーズのマンダロリアンみたいというか、スーパー・ヒーロー的なマスクをくっつけている。いわば、過去と未来、伝統と革新の折衷様式なのだ。
この折衷様式こそ、i7なる高級サルーン初のBEVもあれば、従来型3.0リッター直6ガソリン・エンジンもある、という新型7シリーズの立ち位置を示すものだろう。
念のため、折衷様式がいけない、と申し上げているわけではない。ある日、突然、すべてがそっくり未来になるわけではない。内燃機関から電気モーターへと移行しつつある大変革期ならではのデザインである。
という、われながら、ごく当たり前のことを指摘しているに過ぎなかったのでした。
とはいえ、その大変革期に、チェンジ、イエス・ウィ・キャン! を感じさせる、大変革期らしいデザインを実現したのだから、BMWは称賛されてしかるべきだ。
BMWはBMW
もうひとつ、「X7」や「4シリーズ」、「M3」などにも採用されている大型キドニー・グリルに違和感を抱かれる方もいらっしゃるようである。
だけど、あれはもともと、違和感を抱かせることを狙ったものなのだ。私の解釈によると、キドニー・グリルはデザインとして美しいわけでも、機能的な必然性があるわけでもない。
カッコいいとか、きれいだとか、そういうものではなくて、あれはBMWがBMWであることを主張するための、アイコンなのである。
私もX7と初めて対面したときには、あのクロームの巨大なグリルにゲゲっと度肝を抜かれた。もしかしたら、ロールス・ロイスのパルテノン・グリルの影響もあるのかもしれない。ともかく、どこのメーカーのグリルよりも大きくしたことで、アイコンとしての存在感、力強さが爆上がりした。シンプルな手法こそ、もっともインパクトがある、のかもしれない。スマホの小さな画面でも、すぐさま、あ、BMWだとわかっちゃう。これから広がるというメタ・ワールドでだって、どう使うのかはともかく(じつはよく知らないので)、有力なアイテムになるのではあるまいか。
新型7シリーズのデザインはすばらしいです。
文・今尾直樹
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みんなのコメント
ホンモノのガラスってなんですか?
ガラスに偽物なんてあるんですか?
近年のBMWはエグみと押し出ししかない。コンセプトカーは上品さを持つがコンセプトの良さを全部削ぎ落としたのが量産型。
7SiriはE38を頂点に酷くなる一方だな