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コース上で“停車リセット”もなお最速。フォードの怪物EVトラック『F-150』が総合優勝/PPIHC

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コース上で“停車リセット”もなお最速。フォードの怪物EVトラック『F-150』が総合優勝/PPIHC

 第102回大会を迎えた2024年のPPIHCパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムは、今季も“怪物EV”を投入したフォード・パフォーマンスが雪辱を果たす結果に。

 総合記録保持者ロマン・デュマがドライブした新型電動ピックアップトラック『フォード・F-150ライトニング・スーパートラック』が、前年度で総合2位と惜敗を喫した『フォード・パフォーマンス・スーパーバン4.2』の仇討ちとばかりに、8分53秒553のタイムでアメリカの山を登り切り総合優勝を手にしている。

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 フォルクスワーゲンと参戦した2018年に専用フル電動モデル『フォルクスワーゲンID.R パイクスピーク』をドライブし、パイクスピークの山頂へ到達したデュマは、全長12.42マイル(約20km)、スタートラインの9300フィート(海抜約2830m)からフィニッシュ地点の14115フィート(同4302m)まで駆け上がる全156のコーナーを制覇し、現在も総合7分57秒148のレコードを保持している。

 しかし昨季はフォード・パフォーマンス・スーパーバン4.2で8分47秒682を記録してPPIHCオープン部門を制覇したものの、全体では2番手と惜しくもオーバーオールウインを逃す結果となっていた。

 そんな総合優勝4回の記録も誇るフランス出身のスペシャリストは、フォード・パフォーマンスとの“忘れ物”を取り戻すべく第102回大会の予選に挑むと、その初日にロワーセクションで新記録を叩き出す好調な滑り出しを見せる。

 ここで前年度のフォード・パフォーマンス・スーパーバン4.2が記録した3分39秒939を7秒更新する、オープンクラス予選新記録3分32秒831をマークしたEVトラックは、さらなる総合記録更新を狙って6月23日に全61台が挑んだ本戦のスタートラインへと駒を進めた。

 しかし、発進直後に技術的な問題に遭遇したF-150ライトニング・スーパートラックは、コース上で完全に停止する事態に。緊急アクシデントに見舞われたデュマはここでパイクス百戦錬磨の経験を総動員し、素早い判断により問題を最小限に抑えるべく、新型EVトラックの完全なリセットを迅速に完了。ほぼコース全域が残った再スタート後に、後続を11秒近く上回るタイムで山を駆け上がった。

「走行は非常に困難だったよ……」と、まさかのハプニングに燃え尽きた表情で、自身5回目のPPIHC総合優勝の喜びを噛み締めたデュマ。

「スタートで何が起こったのかはわからない。クルマが勝手に完全停止してしまったんだ。これは今までになかったことだ」と状況を説明する。

「パニックにならず、数字を見てすべて問題ないように思えたから、自分でパワーサイクルを実行して再始動することができた。無線では『赤旗が出ている』と伝えられていたね。おそらく、僕がコース上で停止していることに気づいたのだろうが、すでに再始動していたから停止すべきかどうかわからなかったよ」

「その点で少し混乱したが、最初のスプリットで暫定タイムと比較して26秒遅いことがわかったから『大丈夫』だと。あとはプッシュすれば大丈夫だとわかった。でも、ここはパイクスピークだ……結果は何も予測できないんだよ!」

 昨年のEVバンに続き、元WRC世界ラリー選手権ドライバーのマンフレッド・ストール率いるSTARD(ストール・アドバンスト・リサーチ・アンド・デベロップメント)がパワートレイン開発で協業し、およそ1600PSを発生するF-150ライトニング・スーパートラックは、強化サスペンションやカーボン複合パネル、スキッドプレートなどを追加したボディワークにおいて、ドリフトを筆頭にフォードと組んで競技車両を開発するRTRビークルスとの共同開発も敢行。特注のピレリP-Zeroも奏功し、この2024年第102回大会での最速車両となった。

■初めて直面したトラブルに決意を強める

「フォードのEVがもっとも困難な課題に取り組み、それを完遂する進化の過程は、我々のチームがプログラムに注いできた努力と献​​身の大きな証だ」と語るのは、おなじみフォード・パフォーマンスのモータースポーツ部門でグローバルディレクターを務めるマーク・ラッシュブルック。

「昨年のパイクスピークではスーパーバン4.2から多くのことを学び、その知識を今年のレースに応用することができた。ここから先は、さらに上を目指すよ」

 その言葉を受けたデュマも「フォード・パフォーマンスとともにこの勝利を達成できたことを光栄に思う」と、任務完遂に胸を撫で下ろす。

「このイベントのすべてがチャレンジなんだ。他のレースとは異なり、チャンスは1回切りだからね。僕らは序盤で困難に直面したが、それが残りのレースで失われた時間を取り戻すという決意をさらに強めるキッカケとなったんだ」

 その他の主要クラスでは、ダニ・ソルド(エキシビション)が9分30秒852、コール・パウエルソン(オープンホイール)が9分33秒222、デイビッド・ドナヒュー(タイムアタック1)が9分49秒029で、それぞれクラス優勝を達成。そのタイムアタック1にDE5型『アキュラ・インテグラ・タイプS』で参戦したインディカーやIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のスターであるキャサリン・レッグは、雨混じりの冷涼な予選から決勝は快晴で高温となり、山岳高地のエンジン吸気と冷却面で厳しい条件のもと、10分51秒359のタイムでクラス5位フィニッシュを果たしている。

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みんなのコメント

1件
  • きらら、慈英くん
    全てが舗装路になったパイクスピークは
    つまらなくなったから
    見なくなった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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