オーストラリア最高峰のツーリングカー選手権、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの2023年第8戦『ザ・ベンド・スーパースプリント』が8月18~20日に開催され、念願だったNASCARカップシリーズへの初挑戦を果たしたブロディ・コステッキ(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロZL1)が、凱旋した“ザ・ベンド”で土日3ヒート完全制覇のクリーンスイープを達成。北米帰りの週末を圧倒的な戦績で制圧し、チャンピオンシップポイントのリードを確固たるものにしている。
アメリカが誇るインディアナポリス(IMS)のロードコースにて、8月11~13日の週末に開催されたNASCARカップシリーズ第24戦『ベライゾン200・アット・ザ・ブリックヤード』では、小林可夢偉を筆頭にジェンソン・バトンやマイク・ロッケンフェラー、さらには最新のスター候補である同郷の3冠王者“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トリプリエイト・レースエンジニアリング/シボレー・カマロZL1)ら豪華ゲストが顔を揃えるなか、コステッキもそのメンバーに混ざって「夢の舞台」に挑んだ。
来季RSCでSVG後任の初代王者ウィル・ブラウンが予選最速からの連勝劇/TCRオーストラリア第4戦
「僕は2011年から2015年まで、実際にノースカロライナ州シャーロットに住んでいたんだ」と、かつてはNASCARの“本場”で腕を磨いてきたコステッキ。
地元の高校に通いながら登竜門のミゼットカーで2度のタイトルを獲得した若者は、その後もK&Nイースト・シリーズなどで腕を磨くと、2019年にはオーストラリアに戻って“聖地”マウントパノラマの『バサースト1000』で、今に続くスーパーカーのキャリアを歩み始めることになる。
「ひさびさに戻ったシャーロットでの1週間は、真に刺激的だったよ。GMの最新シミュレーターでの訓練では、すぐに(週末のチームメイトだった)カイル・ブッシュやオースティン・ディロンのタイムに迫れた。当時(K&Nイースト時代)は僕のクルーチーフだったコリー・ラジョイとポッドキャストで共演できたのもうれしかったね」と、怒涛のレースウイークを振り返ったコステッキ。
しかし本戦自体は公式練習から33号車シボレー・カマロZL1にスロットルの固着が発生し、修復後の予選ではシングル圏内で進めていた最終アタックでわずかに姿勢を乱し、左サイド前後にダメージを追ってしまう。これでリチャード・チルドレス・レーシングのバックアップカーに切り替えることを余儀なくされた影響もあり、最終的に最後尾から追い上げ22位でレースを終えた。
■一皮剥けたドライビングで圧巻の週末3連勝
そんな濃密な時間を経て、サウスオーストラリア州タイレムベンドに戻ったコステッキは、今季のRSCでタイトル戦線を牽引する、好調コカ・コーラ・バイ・エレバスのダブルエースとしてさらに“一皮剥けた”ドライビングを披露。FP1で最速だったトーマス・ランドル(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)を退け、まずは土曜ポールポジションを奪ってみせる。
迎えた週末最初のヒートでは、スタートで出遅れ後続に飲み込まれる苦しい展開となりながらも、僚友ウィル・ブラウン(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロZL1)らが絡んだクラッシュにより、セーフティカーでのリスタートを追い風に仕切り直しに成功。中盤のクリーンエアも最大限に活用し、義務ストップ後にはランドルとチャズ・モスタート(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/フォード・マスタング)のマスタング・デュオを振り切り、最初の勝利を手にした。
「自分自身で難しい状況に追い込んでしまった。僕自身は良い蹴り出しができず、代わりにチャズ(・モスタート)とトム(・ランドル)が良いスタートを切ったからね」と、シグナルグリーンの状況を振り返ったコステッキ。
「ストップ前までにふたりを追い上げる必要があったが、今日の“コカ・コーラ・カマロ”には充分なペースがあった。チームの全員を誇りに思うし、今日ポールポジションを獲得して勝てたことは素晴らしいことさ」
明けた日曜の2ヒートに向けても、初ポール獲得のランドルと予選最速を分けたコステッキは、フロントロウのレコードライン上から発進したレース2でポールシッターを出し抜き、これで土曜に続く2勝目を記録。さらに最終ヒートでは迫り来る復調フォード陣営を振り払い、キャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)を降して勝利をさらい、週末完全制覇の偉業を成し遂げた。
これで選手権首位の座を固めた新チャンピオン候補は、この週末にふたたびシャシー不調に見舞われ表彰台獲得さえ逃したSVGに対し、130点以上のリードを築くことに成功。続く8月18~20日開催のRSC第9戦『ペンライトオイル・サンダウン500』は、聖典『レプコ・バサースト1000』の前哨戦であると同時に、今季の耐久カップ初戦として、各陣営とも登録コドライバーとの協調がカギを握ることとなる。
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