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ワインディングで思わずニンマリ!スバル「WRX S4」試乗記(STI Sport R EX & GT-H EX)

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ワインディングで思わずニンマリ!スバル「WRX S4」試乗記(STI Sport R EX & GT-H EX)

SUBARU WRX S4に試乗した。「STI Sport R EX」と「GT-H EX」の2タイプで、いずれも袖ヶ浦フォレストレースウエイでプロトタイプをサーキット試乗している。今回は一般公道を走行しての市販車WRX S4のレポートをお伝えしよう。

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最初は「GT-H EX」から。ファーストインプレッションは「こっちもこんなにスポーティなの?」という印象。それはトップグレードにWRX STI Sport Rがあるからで、GT-Hはもう少しソフトなモデルではないかと思っていたからだ。が、公道を走ると「WRXというモデルは全てスポーツセダンである」ことが鮮明になる。

サーキットではSTI Sport Rの楽しさに目が奪われ、GT-Hで物足りなさを感じていたものの、やはりサーキットと公道では印象は異なるものだ。走り出して伝わってくるのは、低速時のひょこひょこした動きだ。高性能スポーツ車にあるあの動きで、まさにスポーツカーの動きを体験する。そしてスポーツカーにありがちな走行ノイズの大きさも感じる。

舗装状態の良くない路面を走ると後席との会話、助手席との会話、オーディオのボリュームを上げないと聞こえない。舗装が良くても音は入ってくるので彼女とのデートでは使いにくいが、1人で運転を楽しむにはいい相棒かもしれない。スポーツタイヤを装着していることにも起因していると思うが、S4がここまでスポーティなのかと。

WRX GT-Hのサスペンションはコンベンショナルなタイプで、フロントダンパーにリバウンドスプリングを内蔵したタイプが装着されている。ハンドリングは言うまでもなくスポーティで、ロールも抑えられ狙ったラインを気持ちよくトレースできる。リヤの接地感も常にあり、安心感の高いコーナリングをする。まさにスポーツセダンなのだ。

一方、トップグレードの「STI Sport R EX」はZF製可変ダンパーを搭載し、RECAROシートを装備するなどマニア心をくすぐる装備が万全。そのダンパーは逆にGT-H EXより、しなやかでひょこひょこした動きはない。可変ダンパー故にそうした入力の違いに対応していることがわかる。

気になるCVTは驚くほどダイレクト感がある。言われなければCVTとはわからない。唯一レッドゾーン付近ではラバーバンドフィールというかスリップ感が少し出てくるが、公道走行でその回転域を使うのは速度が速すぎる。だから実際の公道でのスポーティな走りでは、CVTのスリップ感はなくダイレクト感を得て快適に走れるのだ。

それは発進から中間加速、フル加速といろいろ試しても、どの領域でも不満はなかった。また前モデルより出力がダウンしているスペックだが、エンジンとアクセルとのレスポンスがよりリニアになったため、パワーダウンを感じるより逆に速く走れる感覚になる。おそらくサーキットでも同様に、タイムアップすると思う。

STI Sport R EXをワインディングで走らせると、顔がにやけてくる。サーキットより全体の速度が低いことなどからも、全ての動きに余裕があり、言うことを全て素直にきいてくれる満足感が沸き起こる。不思議なことにGT-Hで感じていたロードノイズは全く気にならない。

それは、ここまでの高性能スポーツカーになると脳内がスポーツカーであることに綺麗に書き換えられ、レーシーな動きや音になればなるほど、ニヤニヤしてしまうのだ。

これほどまでにスポーティに仕上がっているSTI Sport R EXになると、さまざまなクルマに求める性能の中で走り以外は完全に振り切っていると納得できるわけで、走りさえ良ければ痘痕もエクボになる。だからロードノイズが気にならなくなると思う。

反面GT-HはSTI Sport Rより仕様をダウンさせている分、落とし所というか、ドライバーの要求をどこまで反映させるのか難しいことになっていると感じた。だから走行音や乗り心地が気になるわけで、振り切れないポジショニングをどう料理したかということだ。

ちなみにSTIが作る特装車「WRX STI」はSUBARU of America(北米スバル)から、発売がないことが発表されたが、S4がこのレベルになると仮に作るとしたら競技車両ベースのRA以外イメージできない。WRX S4 STI Sport Rのパフォーマンスがあまりに高く、それが量産ラインで生産できているわけで、これ以上のストリートパフォーマンスモデルはもはやホモロゲモデルになるだろうというわけだ。

FA24型ターボ+スバルパフォーマンストランスミッション(CVT)の組み合わせだからMTですら不要だと感じるのだ。近年のモータースポーツは2ペダルが主流でトップカテゴリーのF-1も左足ブレーキだ。だからこのWRX S4にMTを搭載したとしてもタイムはCVTより落ちる可能性は高い。もっともCVTを競技に使うとすれば、常にトルクバンド内に維持されるような制御変更は必要になる。それとWRX S4はボディの大きさは課題になる。軽量化したとしても慣性マスの影響はあり、モータースポーツでは苦しい。ホワイトボディで+30kgの重量増はモータースポーツには厳しいと想像する。

一方、ストリートで考えた場合、WRX S4は欧州プレミアムのスポーツセダンをターゲットにできるレベルで、スポーティなハンドリングやクルマとの一体感では引けを取らない。しかし、プレミアムモデルにはスポーティな走行性能以外にも感性に響くモノや価値観が詰め込まれており、そうした違いはあると感じる。

ボディをインナーフレーム構造にして剛性感たっぷりにし、ZF製ダンパーの採用や専用タイヤの装着などハードな部分はまさに肩を並べている。だが数値化しにくい満足感、達成感、羨望、欲など数値化しにくい人が感じる領域ではプレミアムモデルとの違いはまだ存在しているようだ。

ボディ側面を流れる空気を整流するオーバーフェンダー。ディンプルが刻まれているのが分かるだろうか量産スポーツセダンでは飛び抜けた性能を持っていることは間違いない。が、それをモータースポーツに使用するには高い壁があると思うし、プレミアムモデルの領域には足りないものがあると感じる。ニッチなマーケットを得意とするSUBARUだからこそ作れたスポーツセダンWRX S4の反響に注目したい。<レポート:高橋アキラ/Takahashi Akira>

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